「葛藤やドラマがあると想像できれば、世界がやさしくなるかも…」本作に込められた思いを作者に聞いた
作者である福々さんは現在、夫婦エッセイや過保護ママをテーマにしたセミドキュメントを描く漫画家、そしてイラストレーターとして活動している。とあるカレー屋を通してつながるストーリーを描く本作、実は「昼間の駅で揉めてる人を見た」という福々さんの実体験が元になっているのだそうだ。
あるときサラリーマン同士の揉めごとに遭遇した福々さん。その状況に驚きながらも「私これ見なかったことにして通り過ぎていいのかな」と自問自答したという。それと同時に「こういう自分の『正しさ』が揺さぶられる瞬間ってあるなぁ」と感じた福々さんは本作を描くに至ったのだ。
福々さんは「私の漫画は、人間讃歌がテーマです。悪者はいません。悲しい人や弱い人がいるだけです」と漫画に込められた思いを語る。そこには自身の体験したご両親とのしがらみが関わっており「『親にも事情があったんだ』と気づいたら、怒りが溶けて消えた体験があって。この経験を読者さんにも疑似体験してもらえるような、そんな漫画を描いていきたいです」と話してくれた。
最後に福々さんは「それぞれ葛藤やドラマがあると想像できれば、世界がやさしくなるかも…なんて考えたりします」と教えてくれた。たまたま隣り合わせた、同じ場所にいた、すれ違った…、そんな人たちにもひとりひとりドラマがあるのだ。いつか現実世界を優しく受け止められるようになりたいと願う人は、ぜひ本作を読んでほしい。
■取材協力:福々ちえ(@fukufuku_comic)