「SNSで見かけた人の見た目を気にする」「自分や有名人のルックスについて、つい優劣をつけてしまう」――。大人でも知らず知らずのうちにやってしまいがちな行為だ。しかし、そうした何気ない目線や言葉が、誰かを傷つけ、自分自身をも苦しめる“呪い”になってしまうことがある。
そんな複雑で繊細な現代社会の課題である「ルッキズム(外見至上主義)」は、子ども向けの学習漫画で一体どのように扱われているのだろうか?
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2026年7月に刊行された『角川まんが学習シリーズ+ 命を守る キケン回避術』は、事故や自然災害、犯罪といった身の回りの危険から身を守る知識をショート漫画とクイズで学べる一冊だ。本作では、命に関わる物理的な危険と並ぶ「心や人間関係を守るためのキケン」の1つとして、ルッキズムを取り上げている。
漫画の中で描かれる「ルッキズム」の正体
物語は、主人公たちが人気モデルを見て「かわいいと得」「背が高いほうがモテそう」と話す身近な場面から始まる。そこに登場する案内役が「太っているから運動が苦手」「かわいいからイイ子」といった見た目だけの決めつけを「ルッキズム」だと解説する。
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憧れる気持ち自体は悪くないが、囚われすぎると「自分は外見がよくないからダメだ」と心身の不調につながると警告。2つの箱から中身を当てるクイズなどを通じ、「見た目だけではわからない内面の魅力や行動に目を向ける大切さ」を視覚的に伝えている。

担当編集インタビュー:「呪い」に気づくことで気持ちは楽になる
この作品の担当編集者に狙いや思いを聞いてみた。
──ルッキズムをテーマに選んだ理由は?
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「子どもたちも、SNSや動画などを通じて、外見についてのさまざまな価値観に触れる機会が増えています。そんな中で、誰かと見た目を比べて自分に自信をなくしてしまうことも、決して珍しくない時代になったと思います。
『キケン回避術』というと、事故や犯罪など、身の回りにある具体的な危険を思い浮かべるかもしれませんが、子どもたちが傷ついたり、自分らしさを失ったりすることも、避けてほしい危険のひとつだと考えました。
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見た目についての何気ないひと言が、誰かを傷つけることもあれば、自分自身を苦しめることもあります。そうしたことに気づき、自分も相手も大切にできるようになってほしい。そして、『人には誰もがすてきなところがある』と気づいてほしい。そんな想いから、このテーマを取り上げました」
──本書のルッキズムの章で印象的だった部分は?
「見た目についての価値観は、知らず知らずのうちに自分の中にも入り込んでいます。それに対して、『これはルッキズムなんだ』と気づくだけでも、その呪いから自分を解放できるという点です。
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私の中学生の息子も、『目が細い』といじられることが多いのですが、『それはルッキズムだから、気にすることないよ』と伝えたところ、気持ちが楽になったようでした。自分が嫌だと感じていたことを言葉にして理解できるだけでも、受け止め方は変わるのだと実感しました。
また、SNSで広まっている価値観だけでなく、時代や文化、国が変われば、当たり前とされる美しさや価値観も大きく変わります。
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本書ではルッキズムをその一例として取り上げていますが、多様性が重視される今の時代だからこそ、世の中で当たり前のように広まっている価値観を、そのまま受け入れるのではなく、『本当にそうなのかな?』と立ち止まって考えられる力を、子どものうちから身につけてほしいと思っています」

当たり前を疑い、「自分らしさ」を守る力を育む
美しさや価値観は時代や文化で変化する。「これはルッキズムかも?」と言葉にして捉え直すだけでも、自分や他者を縛る固定観念の“呪い”は少しずつ解けていく。
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子どものころから「ルッキズム」という概念を知り、外見の捉え方に自覚的になる意義は大きい。外見にとらわれず相手や自分の内面に目を向ける視点を身につけることは、子どもたちが多様性の時代を自分らしく柔軟に生き抜くための大切な「心の守り方」と言えそうだ。

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