熊本県阿蘇郡小国町にある「わいた温泉郷」。山あいの豊かな自然に囲まれ、湯けむりが立ち上る温泉地には、昔ながらの温泉文化が息づいている。温泉好きはもちろん、一風変わった旅を希望する人におすすめしたいのが、そんな温泉地に佇む「豊礼の湯」である。
豊礼の湯の魅力は、ホワイトブルーに輝く美しい湯。小高い場所にある露天風呂からは涌蓋山(わいたさん)を望み、源泉かけ流しの湯につかることができる。しかも、貸切風呂は24時間利用可能(檜風呂を除く)。昼間は雄大な山の景色を眺め、夜は満天の星を見上げながら、誰にも気兼ねせず温泉を独占できるのだ。

さらに、豊礼の湯にはもうひとつ、旅の楽しみがある。それが、温泉の蒸気を利用して食材を蒸し上げる「地獄蒸し」だ。入浴客は無料で地獄蒸し器を利用できる。食材をセットしたあとに温泉へ入浴するのが常連客のルーティンである。湯上がりには、ちょうどよく蒸し上がった料理が味わえるという手順だ。
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温泉だけが旅の目的になるのではなく、その地ならではの文化まで体験できる豊礼の湯。自分たちで好きな食材を選んで持ち込み、地獄蒸しという料理法を体験し、貸切風呂で温泉を楽しんでいる間に完成した地獄蒸し料理を、湯上がりに食べる——。そんな“温泉地ならではの遊び方”ができる豊礼の湯の魅力を詳しく紹介しよう。

ホワイトブルーの湯に感動!涌蓋山を望む「豊礼の湯」
豊礼の湯があるのは、熊本県小国町の山あいに位置する「はげの湯温泉」。わいた温泉郷を構成する温泉地のひとつだ。周囲を豊かな自然に囲まれた温泉地で、露天風呂からは涌蓋山の雄大な景色を楽しめる。
なかでも目を引くのが、湯船を満たすホワイトブルーの湯だ。乳白色を帯びた青みがかった湯は、まるで絵の具を溶かしたような独特の色合い。外気温が比較的低い時期には、白く見えたり青く見えたりするというから、訪れる時期やその日の気候によって違った表情を楽しめるのもおもしろい。
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日帰り入浴では大浴場のほか、貸切内湯6室、貸切露天11室が利用できる。なかでも貸切露天は、プライベートな空間でゆっくり湯を楽しめるのが魅力だ。貸切風呂は、利用のたびに新しい源泉に入れ替えるコインタイマー式。つまり、前の利用者が入った湯ではなく、その都度新しい湯に入れるという贅沢なスタイルだ。

ホワイトブルーの湯はどうしてこんな色に?温泉の魅力を聞いてみた
豊礼の湯の温泉と地獄蒸しについて、ここからは日隈マネージャーに話を聞いてみよう。
――まずホワイトブルーに輝く美しい湯が目を引きます。湯の特徴や効能について教えてください。
泉質は塩化ナトリウム物泉で、100%自噴温泉です。「メタケイ酸」という保湿成分が多く含まれており、湯上がりは肌がしっとりと潤って美肌効果に期待できます。皮膚病や術後の傷跡の回復を促進するほか、虫刺されあとのかゆみを軽減してくれる温泉です。
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――「ホワイトブルー」とひと言に言っても、天候や時間帯などの条件によって色合いが変わって見えますね!
そうですね。外気温が比較的低い時期に、白く見えたり青く見えたりします。

――24時間利用可能な貸切露天は何室ありますか?また、昼間は涌蓋山を一望できる絶景ですが、夜になるとどんな景色が広がっているのでしょうか?
岩風呂の貸切風呂12室が24時間営業です。夜になると周囲が暗く、星が鮮やかに近くに見えます。

――貸切風呂は予約できますか?穴場の時間帯があれば教えてください。
誠に申し訳ございませんが電話、メールでのご予約はできません。穴場の時間帯は、休日であれば午前中が狙い目かと思います。

24時間利用できるということは、旅のスケジュールに合わせて温泉を楽しめるということでもある。観光を終えて夕方に到着しても、夜遅くなってからでも、早朝でも、自分たちのタイミングで温泉が楽しめる。昼間は涌蓋山、夜は星空と、同じ温泉でも時間帯によってまったく違う顔が待っているのもすてきなポイントだ。
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「休日なら午前中が比較的空いている」という情報をもらったので、朝のドライブを楽しみながら訪れるのもいいだろう。朝風呂をいただき、そのあと地獄蒸しで朝食を作る、という過ごし方も非日常である。地獄蒸しとは、温泉の高温の蒸気で一気に蒸し上げる、昔ながらの調理法である。素材の旨みが凝縮され、また余分な油を落とすのでおいしくてヘルシーだ。豊礼の湯では、入浴客なら無料で地獄蒸し器を利用可能。「食材をざるに入れて地獄窯にセットするだけ」というシンプルな方法なので料理ができない人でも問題はない。明治期にはすでに確立されていたという、温泉地ならではの調理法である。モクモクと湯けむりをあげる地獄蒸し器を見ていると、「ただ入浴して帰るのはもったいない」という気持ちがムクムクと芽生える。ここからはお得な地獄蒸しについて詳しく話を聞いてみた。

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温泉に入っている間に料理が完成!?98.7度の蒸気で蒸しあげる「地獄蒸し」を体験
昨今の旅行トレンドでは単なる観光や温泉入浴で終わらない、その土地ならではの「体験」に価値が置かれている。温泉地ならではの食文化として根付いている地獄蒸しを体験すべく、調理法について話を聞いてみた。
――入浴客は、なんと無料で地獄蒸し器が利用できるそうですね。
はい。温泉に入ることが条件で、地獄蒸し器が無料で利用できます。もし体調不良で入浴ができなければ600円の入浴券を購入しても利用可能です。
――調理方法について教えてください。
調理法はいたって簡単です。食材をザルに入れて地獄窯に入れるだけです。地獄蒸し料理自体は、明治期からすでに確立されていたもので、とてもシンプルです。

――地獄蒸し初心者へ利用手順を簡単に教えていただけますか?
まずは地獄蒸し器に食材をセットしたら温泉へ入浴されてください。食材によって蒸し時間は異なりますが、専用のカゴに食材を入れて、蒸し上がるまで待つのみです。蒸し上がりまでの目安は、芋やトウモロコシで20~30分、ソーセージは15分、しいたけ、卵は5~7分、ブロッコリーで2分です。食材の味が最大限に引き出されて、塩やポン酢といったシンプルな味付けで絶品に仕上がります。
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地獄蒸しはプロの料理人のファンも付くほどのおいしさ!
ここで、ちょっと興味深いエピソードを耳にした。なんとプロの料理人が2日連続で大量の食材を持ち込んで地獄蒸しを楽しんでいたというエピソードが飛び出したのだ。温泉の地熱で蒸し上げる地獄蒸し料理のおいしさと使い勝手のよさがうかがえるエピソードである。
――地獄蒸しを体験しているお客様はどんな様子でしょうか?特に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
先日、板前さんが2日連続して山のように食材を持ち込んで、入浴後に地獄蒸しを利用していました。
――プロの料理人が2日通うとは本当においしかったんでしょうね!おすすめの食材を教えていただけますか?
冬は牡蠣、カニ、エビ等の海鮮がおすすめです。夏のおすすめはトウモロコシ、芋、カボチャ、人参などの根菜類です。ソーセージや手羽先、豚まんもおすすめです。
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――食材は持ち込みOKとのことですが、近くにスーパーはありますか?
小国町内に「マルミヤ」と「フレイン」というスーパーがあります。豊礼の湯からは車で15分ほどの場所になります。
――豊礼の湯の売店で販売している食材は?
鳥のモモ肉、手羽先、豚まん、卵、サツマイモです。

――調味料はありますか?
塩やマヨネーズなど、お好きな調味料や、ラップなどはご持参されることをおすすめします。売店では醤油、ポン酢を販売しています。

秋は紅葉も!ホワイトブルーの湯と山の紅葉を楽しむ
10月から秋の行楽シーズンに入ると、豊礼の湯はまた違った表情を見せる。露天風呂から望む涌蓋山の景色は季節によって変化するが、秋の紅葉シーズンはとりわけ美しい。日隈マネージャーに聞くと、紅葉の見頃は11月だという。秋色に染まる山々と、ホワイトブルーの湯の色の対比を一緒に楽しめる季節の到来はそろそろである。この辺りは夜は真っ暗になるので、紅葉を楽しむなら日没までとなるが、「夕方6時までに来られたらよろしいかと思います」というアドバイスをもらった。「紅葉+貸切露天+地獄蒸し料理」をお手頃価格で楽しめる“秋ならではの温泉旅”を計画してみるのもよさそうだ。
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泊まるなら素泊まりで、朝食はもちろん地獄蒸し!

豊礼の湯には「豊礼の宿」が隣接して建っており、日帰りだけでなく宿泊もできる。客室は洋室と和室があり、1室2名1万円から。宿泊は素泊まりスタイルなので、夕食や朝食は自分たちで用意することになる。とはいえ、ここではそれも楽しみのひとつ。「朝食の地獄蒸しには、豚まんと卵がおすすめですね」と日隈マネージャーが教えてくれた。朝から温泉に入り、地獄蒸し器に卵や豚まんをセットする。湯上がりにできたてを味わえば、いつもの朝食とはひと味違った旅の朝になるだろう。「温泉に入るために泊まる」だけでなく、「温泉地で朝ごはんを作る」という体験まで付いてくるのが、豊礼の宿の魅力で、宿泊スタイルだ。今年の秋は、普通の温泉旅でなく、ひと味違った“体験旅”をしてみてはいかがだろうか…?

【豊礼の湯】
熊本県阿蘇郡小国町西里2917/0967-46-5525
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〈大浴場〉
■入浴料:1人600円
■営業時間:8時~20時(最終受付19時)
■休館日:水曜日
■大浴場:露天男1女1
■泉質:塩化ナトリウム物泉
■湯の特徴・効能:ホワイトブルーの湯。皮膚病や術後の傷跡の回復を促進、虫刺されのあとのかゆみを軽減
〈貸切風呂〉
■入浴料:平日1室60分1000円~2000円
■営業時間:24時間(檜風呂のみ8時~18時)
■貸切風呂:貸切内湯6、貸切露天11
取材・文=大庭かおり
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