自身の発達障害に関する特性や体験談を発信している春野あめ(@AmeHaruno)さん。実習中、「はかりの上に物を置かないでね」と注意されただけなのに、「攻撃的な言葉を言われた」「責められた」と感じて泣いてしまった経験を漫画に描いている。今回は、春野さんの『発達障害が理解されにくいワケを自分で考えてみた』から「case.04 ちょっとした言葉を攻撃と感じる」を紹介するとともに、作品に込めた思いを聞いた。
「そこに置かないで」“ただの指示”を「攻撃された」と受け取る!?当事者が語る、言発達障害のリアルとは?
「なんで失敗を繰り返すの?」
春野さんは、特性による失敗や、そのときの思考回路を『発達障害が理解されにくいワケを自分で考えてみた』に描いている。「なんで失敗を繰り返すの?」「わざとやってるの?」と言われるなど、発達障害は周囲から理解されにくいことがある。当事者はそのたびに落ち込んだり傷ついたりし、そうした経験が積み重なることで、「自分はダメな人間」と自分を責めたり、怒りとして表れたりすることもあるという。
本作は、「トラブルの際にそのような言動をしたのはなぜなのか?当事者の思考回路を知りたい、知って納得できると周りとの関係も変わっていくのでは…?」という思いから制作が始まった。自身も周囲の人を振り回してしまった経験を持つ春野さんにとって、それを包み隠さず描くことには勇気が必要だったという。それでも、「『発達障害についてもっと詳しく描きたい』『いろんな人に知ってほしい』という気持ちがあったので、引き受けることにしました」と振り返る。
実際のトラブルから、特性と対処法をひもとく
作品では、自身が経験した対人関係のトラブルをもとに、当時どのような思考回路だったのか、発達障害の特性がどう関係していたのかを解説。さらに、自分をコントロールしやすくするための工夫や考え方、周囲との調和を図る方法、支援窓口など、さまざまな角度から改善策を描いている。専門的な内容については、臨床心理士・心理学博士の中島美鈴先生が監修し、コラムも収録されている。
春野さん自身、発達障害と診断されてから特性を理解し、二次障害と向き合える状態になるまでに8年かかったという。例えば、仕事中に手が空いた際、先輩から「適当にほかのことやってて」と言われてYouTubeを見ていたところ、「さすがにそれは…」とあきれられた経験も。「適当に、ほかのこと」といった曖昧な指示を、相手の意図をくみ取れず行動してしまうケースとして描いている。
「はかりの上に置かないで」が「攻撃された」に!?
実習生だった春野さんが物を片付けていたとき、「はかりの上に置かないで!」と注意されたことも作品に描かれている。相手は「精密機械だから置きっぱなしにするのはよくないんだよ」と注意喚起しただけだったが、春野さんは「攻撃された」と感じ、泣いてしまった。
「ちょっとした言葉を攻撃と感じる」という特性について、その背景まで丁寧に描いているのが本作の特徴だ。そのほかにも、「人との距離感がおかしい」「融通がきかない」「自覚なく人を不快にさせてしまう」「嘘をつく」など、ASD、ADHD傾向の特性に分けて13のケースを紹介している。
自己理解の助けになれば
春野さんは、発達障害について悩んでいる人に向けて、自分自身の特性を知ることの大切さを伝えている。「他人とは比べられないので『生きづらい』ってどれくらいなのか、『努力(自分なりに)や我慢』をしている人も多いと思うのですが、もし悩んだらすぐに心療内科に行ってみてください!発達検査を受けられるなら受けてみてください!でも、診断はあってもなくてもいいです!まず自分にはどんな特性があるのかを知ると、どこでつまづいてきたのか、どんどん芋づる式にわかってくるはずです」
さらに、自分でも気づいていなかったトラウマや、これまでの考え方、生き方、育ってきた環境、傷ついてきた経験などを一つずつ知っていくことが大切だと語る。
「どんな考え方を持って、どんな生き方をしてきたのか、どんな親にどんな風に育てられたのか、どんなことに傷ついてきたのか、一歩一歩自分を知っていくことが大切だと思っています。今回の漫画は、自己理解のちょっとした足しにしてもらえたらうれしいです」
■取材協力:春野あめ(@AmeHaruno)
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