真夏の太陽が照り付ける沖縄の亜熱帯林「やんばるの森」に、力強い太鼓の音が響き渡った。

2026年7月25日、開業1周年を迎えた「ジャングリア沖縄」。那覇空港から車で約1時間半、沖縄本島北部の今帰仁村にある総面積約60ヘクタールのテーマパークだ。この日の午前10時のオープンに合わせ、入口にある大木のオブジェ前で開かれた記念セレモニーでは地元の子どもたちが披露した創作エイサーが会場に花を添えた。
演舞が終わると、いよいよパークのゲートが開く。「ようこそ!」「行ってらっしゃい!」。100人以上のナビゲーターが弾けるような笑顔で迎える。列を成した来園者たちは高鳴る胸を押さえきれない様子で、足早に緑豊かなパーク内へ向かった。
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セレモニー後に行われた記者会見では、運営会社ジャパンエンターテイメントの加藤健史・代表取締役CEOをはじめ、地域関係者らも登壇。課題に向き合い続けた1年を振り返るとともに、「沖縄のみなさんと、次のジャングリアへ。」を掲げて歩む2年目への決意を語った。

改善を重ねた365日 開業時とは違った景色に
「開業当初は多くの反省があるスタートでした」。登壇した加藤CEOは振り返りの冒頭、神妙な面持ちでそう語った。
開業直後は暑さ対策や長時間の待機列、オペレーションなど、多くの課題が浮き彫りとなった。「期待して来ていただいたにもかかわらず、十分なサービスが提供できなかったことは本当に悔しかった。その一つひとつと愚直に向き合い、改善を積み重ねてきた1年でした」と振り返る。
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実際、パーク内の景色は開業時とは少し違っていた。この日は気温30度を超える厳しい暑さ。それでも、アトラクションの待機列では大型ミストファンが稼働し、無料レンタルの日傘を手に園内を歩くゲストの姿が目立った。数億円を投じた暑さ対策ひとつをとっても、この1年で大きく強化されていた。


さまざまな改善の成果は数字に表れた。当初、最大で300分に及ぶこともあった人気アトラクションの待ち時間は現在、約60分まで短縮。1日に体験できる平均アトラクション数は2.3個から4.5個へ、満足度は69%から89.2%へ向上した。
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恐竜から逃げる「ダイナソーサファリ」や、ジップラインで鳥のように飛ぶ「スカイフェニックス」などの人気アトラクションは健在で、今年4月には大回転しながら開放感を味わえる「やんばるトルネード」もオープン。7月18日から10月12日(祝)の間は、パーク内のさまざまな場所で水を使ったエンターテインメントが楽しめる「夏のびしょ濡れ大作戦」を期間限定で開催している。
来場者数は1年間で100万人(スパを含む)に達し、売上高は100億円を超える見通しだ。加藤CEOは、来場者数については冬季の閑散期や梅雨、台風などの影響もあり、「残念ながら思うような数字には至りませんでした」とした一方で、売上高は同じ沖縄本島北部の人気スポット「沖縄美ら海水族館」に近い数字だとし、「チケット施策をはじめ、飲食、物販においても高い評価をいただいた結果であり、着実な一歩だったと思います」と確かな手応えを口にした。
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経済効果は494億円!「もう1カ所」「もう1泊」で地域に波及
ジャングリア沖縄が見据える成長は、テーマパークだけで完結するわけではない。佐藤大介・取締役副社長COOは「沖縄から日本の“未来”をつくる」というミッションに触れたうえで、「地域の魅力を体験価値に変え、地域に還元していく。沖縄がもっともっと素晴らしい場所になるために、変化の起点を一歩一歩つくり始めています」と語り、地域とともに発展する未来を描く。

約500社に及ぶ取引登録事業者のうち半数が地元事業者であり、レストランメニューに占める地元食材の割合は70%。飲食と物販の初年度の取引額は約20億円に達した。そのほか、大学生を対象とした4〜6カ月に及ぶインターンシップなどによる高度観光人材の育成や、地域住民の生活に配慮した交通アクセスの工夫にも触れた。
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地元関係者も期待を寄せる。周辺12市町村が連携し、持続可能な観光や活性化を推進する沖縄やんばるDMOの中村靖代表理事は「ジャングリアを訪れた方に、やんばるでもう1カ所楽しんでもらう。そして、もう1泊していただく。ジャングリアから地域へ、地域からジャングリアへ。そんな人の流れをつくり、やんばる全体の価値を高めていきたいです」と今後を見据える。

応援団長を務める地元出身のガレッジセール・ゴリさんも、動画メッセージで「沖縄県民みんなで作り上げていけるジャングリア沖縄になれるよう、少しでも力になれたらうれしい」とコメント。地域とともに歩むテーマパークへの期待を寄せた。
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地元シンクタンクのりゅうぎん総合研究所によると、開業後1年間で来場者が沖縄にもたらした経済効果は494億円。いずれも2025年の沖縄における数字として、プロ野球春季キャンプは224億円、クルーズ船観光は161億円だった実績を挙げ、同社の安仁屋宗哲・取締役調査研究部長は「非常に大きな経済効果」と評した。さらに、今帰仁村への来訪者数は開業前後半年間の比較で61.1%増えたという。ジャングリア沖縄の誕生が、地域振興の起爆剤となりつつある。

「沖縄色」をさらに。2年目以降も新たな魅力づくりへ
試練の1年を乗り越え、進化の礎を築いたジャングリア沖縄。加藤CEOは「ジャングリアは1年で完成する場所ではありません」と強調し、次なる成長に向けた展望も描く。オリオンビールとのコラボTシャツや沖縄文化を取り入れたエンターテインメントが人気を集めていることを挙げ、地域性の強化を見据えている。
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「この1年を通して、旅行者の方は『沖縄でこれをしたい』という明確なイメージを持って行動していることがわかりました。より新しい体験を提供していくため、もっと沖縄色のある取り組みを広げていきたいです」
売上高、入場者数ともに「1年目以上の成果を挙げたい」と述べ、さらに高い目標を掲げる。ただ、来場者が増えれば、一日に体験できるアトラクション数の減少や待ち時間の増加は避けられない。だからこそ、「3年に1回程度の投資はぜひやっていきたいです」と新たな魅力づくりに前向きだ。要望が多い子ども向けアトラクションの充実も検討しているという。
スタートこそ順風満帆ではなかったかもしれない。それでも、来場者の声に真摯に耳を傾け、より愛されるパークを目指して課題をひとつずつクリアしてきたジャングリア沖縄。沖縄を訪れる機会があれば、北部まで足を伸ばし、アトラクションの興奮と豊かな自然が織りなす非日常空間を訪れてみよう。あっと驚くような体験が待っているはずだ。


取材・文・撮影=長嶺真輝
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