
郵便局の窓口で、「なんでわかっちゃったのかな?紙に包んで封筒に入れたのに」と頭を抱えている客がいた。この客は普通郵便で現金を送ろうとしたことが発覚し、郵便物を返還されたところだった。当然のことだが、現金書留以外の郵便で現金を送ることはできない。郵便法などの規定により、発見された場合は配達されず差出人に返還されることになっている。



まさに今、返還されて頭を抱えている客に「それがわかっちゃうんだよね…」と不気味な笑みを送る郵便局員がいた。M支店のTさんである。実はTさんには不思議な能力があった。これはM支店に勤務する松田くんから届いた、郵便局員の不思議な体験談だ。
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今回のエピソード『Tさんのセンス』を描いたのは、現役の郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さん。送達ねこさんによると、長年仕分けの仕事をしている局員は、手触りや勘で現金が入っているかどうかわかるのだという。
「指がアツい」「じんわりくる」手紙に宿る見えない思い
この話をX(旧Twitter)に投稿したところ、全国の同業者たちから「自分もわかる!」「あったかくなるときある」と多くの声が寄せられた。しかし、今回のエピソードに登場するTさんは、現金以外にもいろいろなことを郵便物から察する能力を持っていた。
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「ん〜、指がアツい!きゅんきゅんする。こりゃラブレターだぜ」「これはじんわりくる。田舎のお袋さんからの便りだな」など、封書の中から感情のようなものを感じ取るのだ。松田くんは最初「ただの変なおじさんだな」と思っていたのだが、ある日Tさんの力を目の当たりにする。問題の手紙がM支店に届いた際、Tさんはすかさず「その手紙。悪意がすごい。持っていると具合悪くなるかも」と言い放ったのだ。
同業者からの反響について送達ねこさんに聞くと、ある配達員から「嫌な郵便の感覚を覚えている」という声が届いたという。ある家に手紙を届けるとき、たまに背中に冷水を浴びたようなゾッとする感覚があった。その後、その家の女性が別居していた元夫に刺殺される事件が起きたという。「嫌な感じの手紙は元夫からだったのかもしれない…」と複雑な心境になったものの、誰にも言えず10年以上も胸の内に秘めていたそうだ。
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開封してわかった「積年の怨み」…日常に潜む怪異
郵便自体が「人の思い」を包むものであるため、敏感な人なら感じ取ることがあるのかもしれない。送達ねこさんは、別の郵便内務員から聞いた話も明かしてくれた。「昔、自局の保管郵便のなかになんともいえない嫌な手紙があったそうです」
宛先不明で差出人の住所もない手紙は、局内でしばらく保管される。「郵便が届かない」と申告があった際に担当局員がその束を調べるが、どうしても不快で手が止まる封書があった。保管期限を過ぎ、手がかりを探すために開封したところ、名宛人への積年の怨みがびっしりと書かれていたのだという。
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「『この嫌な感じは?』と考えていたところに答え合わせがあるとき、往々にして周りには話せない事情としてわかったりするようです。不思議な感覚があっても、オープンにせず胸にしまっている人も少なくないのでは」(送達ねこさん)
現役の郵便局員たちが実際に経験した不思議な話や怖い話を漫画化した『郵便屋が集めた奇談』は、「けっこう背筋がゾクッとしたけど、めちゃくちゃおもしろい…!」と好評だ。日本のどこかの町でひっそりと起こっている“怪異”を覗き見してみてはいかがだろうか。
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取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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