
真面目で人当たりもよく優しい学級委員長の海老原のことを、転校してきたばかりの不良女・蟹沢が突然「なあ?裏番さんよ」と呼んできた。教室がざわめくなか、「あの、裏番って一体…?」と戸惑う委員長に対し、彼女は「あたしには全部お見通しだ」と引かない。



しかしこの会話の数分後、彼女は心の中でガッツポーズを取っていた。実はただ海老原と話したかっただけなのだ。「我ながら言いがかりもええとこじゃ…はよツッコんでや、海老原クン」と内心ドギマギしながら話しかけた関西出身の彼女だったが、転校先は埼玉。誰一人ツッコんでくれず周囲は引いていたが、本人は「ついに話しかけたった!!」と浮かれていた。
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一方の海老原は、放課後に一人頭を抱えていた。「なぜバレたんだ?」と。実は彼が裏番だということはトップシークレットであり、「それをあの女、よりによってクラス全員の前でブッコんできやがって」と一人で焦っていたのである。
ギャップ全開!かわいさを意識したキャラ作り
本作『殻の向こうのナイショの話』は、2020年3月期新世代サンデー賞(小学館)で努力賞を受賞した作品だ。作者は、数々の新人賞受賞歴を持ち、「DLsite comipo」(viviON)にて『強がりユキヒト君はデレたくないのに』を連載していた漫画家・墨染清(@sumizomesei)さんである。
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言いがかりが意図せずクリーンヒットしてしまう面白さについて、墨染さんはキャラクター作りへのこだわりを明かす。「海老原は『温和な委員長っぽい裏ボス』、蟹沢は『ヤンキーっぽい恋する乙女』。当時はキャラクターにギャップを出す練習をしていて、そこに特に気を配っていました」。2人とも意外な一面を持ちつつ、読者が「かわいいな」と思えるような、読んでいて嫌な感じがしないキャラクターを目指したという。
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作者のルーツと謎の「埼玉愛」が生む世界観
作中で目を引くのが、転校生の主人公が話す関西弁だ。これについて墨染さんは「生まれも育ちも大阪なので、ついしゃべらせたくなるんです。方言キャラを描きたい欲が出たときは、理解している関西弁キャラにしてしまいます」と語る。
しかし、関西弁キャラが登場する一方で、墨染さんの作品の9割は埼玉が舞台だという。その理由を聞くと「一度も訪れたことはないのですが、埼玉県が好きだからです。なぜか惹かれるものがあります」と教えてくれた。
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描きたい世界観と埼玉のイメージがぴったり合うため、自然と舞台にすることが多くなったそうだ。墨染さんの作品を読む際は、「埼玉が舞台」ということを頭の片隅に置いて読んでみてほしい。背景や空気感などをより深く楽しめるはずだ。
取材協力:墨染清(@sumizomesei)
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