
一つのテーマでさまざまな解釈やストーリーが描かれるのが競作の大きな魅力だ。「卒業」をテーマにしたX(旧Twitter)上の競作で、恋愛とは違う方向性で心を打つ情景を描いたオリジナルの4コマ漫画に「4コマでここまで綺麗な話を描けるなんてすごい」「惚れました」と、6000件以上の「いいね」が寄せられている。



反響を呼んだのは、作者の津夏なつな(@tunatu727)さんが自身のXに投稿した4コマ漫画「卒業」。Xユーザーの自主企画「キュンバト」(@kyunbato)への参加作として描かれ、初代優勝に輝いた作品だ。
続きを読む
卒業式を終え帰宅した不良少年。その手には花束が握られており、少年の母は「あんたみたいな不良にもお花を贈ってくれる後輩がいるんだ」と驚きを見せる。だが、少年は「ちげーって」とその花束を母に手渡し、背を向けながら「母ちゃんも今日で卒業ってこと!」と話す。
「苦労ばかりさせてごめんな」と、ぶっきらぼうに感謝と謝罪の気持ちを母に伝える少年。「これから俺がこの家守るから」という息子の言葉に、堰を切ったように涙する母。会話を交わす部屋の片隅には、父の遺影が飾られていた――。
続きを読む
恋愛の「キュン」ではなく、親の感じる「嬉しさと寂しさ」を描く


「卒業」という言葉でキュンと来るシチュエーションといえば、恋愛模様を想像してしまうもの。そんな予想を裏切り、家族の絆を描いた同作には「4コマ漫画で泣きそうになったこと初めて」「なんかぶわってきた」と、読者から感動のコメントが数多く集まった。
同じお題に沿って多人数で4コマを描く企画の場合、ほかの参加者が描かなそうなアイデアを考えるよう常に心がけていると津夏さんは語る。「卒業」と聞いたとき、男女の恋愛がパッと思い浮かんだため、それ以外のアイデアで作れないかと考えたという。
続きを読む
「卒業というイベントは子どもが主役ですが、親にとっても大きなイベントの1つだと思います。立派に育った子どもの姿を見て感じる親の“キュン”は、うれしさでもあり、また寂しさでもあると思います。そんな複雑な気持ちを表現できればと考え、この作品を描くに至りました」(津夏さん)
アイデアを生み出すプロセスについて、何気ないときに思いつくこともあれば、自分でテーマを設定してひねり出すことも多いという津夏さん。「どうしても思いつかないときは、ほかの人が描いている作品を参考にして、テーマだけ拝借することもあります。同じお題を多人数で描く場合は、他の方の作品を読むのがおもしろいですし、とても勉強になります」と競作ならではの刺激を明かす。
続きを読む
普段の「シュールなギャグ」とのギャップに驚きの声も
津夏さんは現在、「4コマ漫画1000本ノック」として日々作品を発表し続けている。Amazon Kindleインディーズにて無料の電子書籍『よりぬき4コマ1000本ノック』としても公開されているその作風は、シュールな構成やブラックなオチなど、笑える内容が多い。それだけに、今回の「卒業」はユーザーから「いつもの作風と全く違うから動揺してしまいます」という感想も寄せられていた。
これについて津夏さんは、「いつもは描かないような、思いっきりあざとい作品を描こうと思いました(笑)」と振り返る。感動を目的とした作品は気恥ずかしさがあり勇気がいったものの、未経験のジャンルに真面目に挑戦してみたかったのだという。
続きを読む
「できあがった作品は普段描く低次元なギャグ漫画と比べてものすごくギャップがありましたが(笑)、いつも読んでくれている人たちがこの作品を受け入れてくれたのはすごく安心しましたし、やっぱりいつものギャグが読みたいという声も同じくらいうれしかったです」(津夏さん)
今後の抱負について「とにかく多くの人に読んでもらえるような作品を今後も目指して描きたいです。また、今回のように今まで挑戦したことのないジャンルにも挑戦していきたいです」と意気込みを語ってくれた。
続きを読む
取材協力:津夏なつな(@tunatu727)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
記事一覧に戻る