
都心を一望できる眺望と、ホテルのような豪華な設備。そんなステータス感溢れるタワーマンションへ転勤を機に引っ越してきた渕上家。しかし、一歩足を踏み入れた先には、外側からは想像もつかないほど過酷な「階層ヒエラルキー」が待ち受けていた。2026年5月現在、SNSやWebメディアで大きな反響を呼んでいるのが、グラハム子(@gura_hamuco)さんの新刊『タワマンに住んで後悔してる』だ。
九州から上京した渕上家は、低層階の6階に入居。息子の悠真が地元の野球チームでエースになったことをきっかけに、最上階に住むボスママ・恵から執拗な風当たりを受けるようになる。同じマンションに住みながら、低層・中層・高層という「居住階」によって、親たちのステータスや価値観が残酷なまでに分断されていく様が描かれている。
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「東京と地方で価値観が違う」。漫画担当のグラハム子が東京出身のママ友に取材して描いた、リアルすぎる主婦の葛藤



本作の作画を担当したグラハム子さんは、原作をベースにしつつも、自身と同じ子持ち主婦としての視点を色濃く反映させたという。「ママたちの会話や仕事と母業の葛藤、教育への悩みは私の日常でもある。自然に情景が浮かんで描けた」と制作の裏側を語る。地方出身の主人公が、ニューヨーク帰りの42階住人が語る私立中学受験や夫の勤務先といった「マウント」に触発され、次第に都会の虚栄心に飲み込まれていく姿はあまりに生々しい。
グラハム子さんは「家以外の場所なら『タワマン住まい』という優越感を持てるのかもしれないが、せっかく買った家で心が休まらないのは辛い」と、タワマン特有の孤独に寄り添う。住人同士の会話ひとつをとっても、そこには見えない「ランク」が存在し、知らぬ間に家族全員が比較の渦に巻き込まれていく恐怖がプロローグから提示されている。
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「セレブの嫉妬劇」では終わらない。タワマンという箱に閉じ込められた“人間の複雑な心”を炙り出す
一見すると、自分とは縁遠いセレブたちのドロドロとした争いに見えるかもしれない。しかしグラハム子さんは、「本作の見どころはそこではない」と断言する。描かれているのは、外から見える華やかなイメージと、内側に抱える実情のギャップ。そして、他者と比較せずにはいられない人間の業だ。
「学校内のカーストや職場での嫉妬など、誰もが人生で一度は経験したことがある感情が、タワマンという舞台でわかりやすく表されている」とグラハム子さんは分析する。3つの家族が必死に見栄を張り、時に見下し、時に葛藤しながらも生きていく姿は、現代社会を生きる私たちの鏡写しといえるだろう。
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取材協力:グラハム子(@gura_hamuco)
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