
ブラック企業に勤める若手社員が、“霊が見えなければクビ”という理不尽すぎる条件を突きつけられる。そんなカオスな状況から始まるのが、新田せん(@nittasen)さんによる『逆に僕だけ見えない』である。ホラーのようでいて、実はラブコメだという本作。恐怖と笑いが絶妙に混ざり合う、不思議な魅力を放つ一作だ。
辞めたいのに辞められない…そこに始まる謎の“霊感研修”

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主人公は、ブラック企業とわかっていながらも、就職時の勢いで購入した新車のローンが理由で辞められない若手社員。そんな彼に追い打ちをかけるように、社長が「ビジネスはエネルギーだ。そして霊感もエネルギーだ」と言い出し、「1カ月以内に霊が見えるようにならない社員はクビ」と宣告する。
あまりにも突飛な方針だが、会社ではなぜか“霊感を鍛える研修”まで始まり、次第に「見える社員」が出てくるという異常事態に突入していく。
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見えないのは自分だけ…なのに霊からは好かれている!?
そんな中、主人公だけはどうしても霊が見えない。焦りと不安を抱えるなか、ある日ふと机を見ると「ガンバレ」と書かれた文字が…。しかもそれは“気色の悪い毛”で書かれていた。どうやら地縛霊が応援してくれているらしいが、方法が独特すぎる。
最初こそドン引きしていた主人公も、謝罪してくる霊の様子に少しずつ心を開いていく。この時点で、恐怖よりも「なんでその方法!?」というツッコミが勝ってくるのが本作の妙だ。
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元経理の幽霊とブラック企業のリアルな闇
その霊の正体は、かつてこの会社で働いていた経理担当の女性。過労死し、死後も会社に縛られた地縛霊となっていた。主人公が「お前、悪いこと何もしてないだろ!?」と問いかけると、彼女は例の毛で「フンしョクケっサン」と返す。重すぎる事実と軽すぎる伝達手段のギャップが、妙な笑いを誘う場面だ。
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ホラーの皮をかぶったラブコメ、その狙いとは
作者の新田せんさんは、「人間が日々“怖い”とか“嫌い”と思っているものも、よく知るとかわいいところがあるのでは」と語り、幽霊のヒロインをあえて“かわいく見せる”ことにこだわったという。「あの毛を所持できるのは幽霊だけで、彼女の必須アイテムです。気色悪いですが…(笑)」と語るなど、設定自体もユーモアたっぷりだ。
また、当初はモブだった“メガネの藤田”についても、「おかしいとわかっていながら流されてしまう感じが共感を呼んだのかもしれない」と振り返る。
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ヘビーな題材を扱いながらも、終始どこかズレた笑いが漂う本作。作者自身も「ラブコメです。それしか描けないとも言えます(笑)」と語る通り、恐怖と優しさが同居する独特な読後感を残す作品となっている。
取材協力:新田せん(@nittasen)
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