
続きを楽しみに待つ読者であふれかえっている話題のミステリー漫画がある。SNSで発表されている犯人を予想する漫画『仮門』だ。「めちゃくちゃおもしろい」「正直まだ犯人を予想すらできてないけどハマっている」「人物の関係とかすごくて何回も読み返しちゃう」とコメント欄には絶賛の声が並ぶ。





本作は10年前に失踪した4歳の娘の行方を追うミステリー漫画である。10年間何の進展もなく事故なのか事件なのかもわからぬまま歳月だけが過ぎていったが、10年後の現在になって止まっていた時間が動き出すのだ。作者は2023年2月に第2回朝日ホラーコミック大賞のマンガ部門で大賞を受賞した経歴を持つ鳩ヶ森(@hatogamori)である。
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第9話では亡くなった義母から生前に言われた「女なんて産んで」という言葉の本当の意味が描かれているのが印象的だ。著者はこのシーンについて、ほとんどの女性はなんで女に生まれちゃったんだろうとおそらく一度は思ったことがあるはずだと語る。生理痛で寝込んでいるときや、女性であるという理由で軽んじられたとき、セクハラや性犯罪の被害に遭ったときなどである。作中の麻衣と杏美もそうだが、嫁と姑という関係の二人もそういう感情を共有できる女どうしであり、そのあたりの絆のようなものを描きたくてこのシーンを入れたという。
とくに義母の世代は女としてつらい目に遭ったことも多いだろうから、嫁や孫娘がこれからどんな人生を送るのか心配し恐れつつも共闘する決意をしているという点をこのワンシーンに込めて表現したかったと著者は明かす。
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第4話でも主人公の記憶の断片で描かれていた同上のセリフだが、同じ言葉で受け取る印象が大きく変わる。著者は、嫁いびりをする嫌な姑と見せかけて実はよい姑だったという読者の意表をつく小ネタとして用意したものだと語る。いかにも嫌なことを言いそうな堅苦しい和服姿で描いているのもそのためだという。
作中ではさまざまなキーアイテムや登場人物たちの心情が細やかに描かれている。著者いわく、これまで序盤で撒いていた伏線を少しずつ回収していきながら解決編へとつなげていくとのことだ。序盤からさまざまな伏線が張り巡らされているので、一度すべての登場人物の動きに着目して最初から読み返してみると犯人の予想に役立つかもしれない。鳩ヶ森が描くホラー作品『呪いは効くのでしょうか』や『春の夜の友人』なども読み応え抜群なので、この機会にぜひ一読してみてほしい。
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取材協力:鳩ヶ森(@hatogamori)
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