
外階段のあるアパートでは、思いがけず隣人の生活が視界に入り込むことがある。そんな環境で起きた友人の実体験をもとに描かれたのが、退屈健(@taikutsu1)さんのホラー漫画「隣のアパートの外階段」である。明確な解決やオチはない。それでもなお、不気味さだけがじわじわと残る、“人の存在”の怖さを描いた1作だ。
外階段に立ち続ける“誰か”に気づいたときの違和感


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カーテンを開けたまま生活していると、外階段から部屋の中が見えてしまう構造のアパート。そんな部屋で過ごしていた友人は、あるとき何気ない行動の最中に異変を感じた。逆立ちをしていたことで、外からは足だけが見える奇妙な状態になっていたことに気づき、慌ててカーテンを閉めようとしたその瞬間、外階段に女性が立っているのを目撃するのだ。しかもその女性は、時間が経ってもその場から動かない。「まだいる!?」と違和感が膨らんでいく中で、友人はスマホで撮影しようと窓の隙間からカメラを向ける――。
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実話だからこそ残る“説明できなさ”の恐怖
本作は友人の体験談をもとにしているが、結末はすっきりとしたものではない。退屈さん自身も「スッキリと謎が解けたわけではなかったので、怖いより先に心配になりました」と振り返る。明確な正体や理由が提示されないからこそ、読後に残るのは不安の余韻だ。
さらに、「ホラー漫画の描き方はわからないのですが、自分なりに読んでゾッとする雰囲気になるよう描きました」と語るように、あくまで“空気”を重視した演出が、不気味さをより強めている。
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日常のすぐ隣にある怖さをどう描くか
印象的なシーンについては、「ありがとうございます!そう言っていただきうれしい限りです。僕自身は描いているときにずっとそのコマを眺めていたら、怖いのか怖くないのかわからなくなってました」と率直な感想を明かす。描く側ですら感覚が揺らぐほどのシーンが、読者には強烈なインパクトとして届いているのだろう。日常の延長線上にある出来事だからこそ、非現実よりも現実のほうが怖いと感じさせる。
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“偶然”で片づけられないタイミングの気味悪さ
なおラストについては、「女性が去ったタイミングとポストに投函されたタイミングがたまたま重なっただけで、チラシを投函した方は別だと思われます」と説明されている。しかし、その偶然があまりにも出来すぎていることが、かえって恐怖を際立たせる。説明はつくはずなのに、どこか納得しきれない。この“ズレ”こそが、本作独特の余韻を生んでいるのだろう。
取材協力:退屈健(@taikutsu1)
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