ホームセンターで揃えた材料とハロウィンの衣装。就活に50回連続で失敗した聴村(ききむら)りすんが、ヤケクソで始めたのは「1回1万円」という法外な値段の懺悔室だった。社会をナメきった女子大生の小金稼ぎのはずが、その扉を叩くのは、常人の理解を超えた「本物の闇」を抱えた人々で――。
ホラー漫画界の鬼才・洋介犬(@yohsuken)さんが放つ新作『黒懺悔』。閉ざされた密室で語られる、殺戮、狂信、そして時に涙を誘う孤独。シチュエーションホラーの極致とも言える本作の制作秘話と、人間のダークサイドに切り込む意図について話を聞いた。
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「エクソシスト3」が原点。あえて“まがいもの”の懺悔室にした理由



本作誕生のきっかけは、洋介犬さんがかねてより温めていた「懺悔室」というシチュエーションへのこだわりだった。
「映画『エクソシスト3』の懺悔室で事件が起きるシーンに強く影響を受けました。ただ、本物の教会を舞台にすると宗教的な制約が出てしまう。そこで、主人公もりすんも部屋もあえて“まがいもの”に設定することで、あらゆるタブーを外して自由に描けるようにしました」
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「1回1万円」という絶妙に生々しい価格設定も、「もしかしたら現実でも払う人がいるかもしれない」というリアリティの境界線を狙ったものだ。
「ヤバい人」から逆算する2段オチ。サイコホラーと感動作の振れ幅
『黒懺悔』の物語は、一筋縄ではいかない。バラバラにした妻を「持ち歩けるようにした」と語る夫がいる一方で、病気の猫とホームレスを救う心温まる回も存在する。
「ホラー一辺倒ではなく、喜怒哀楽を詰め込んで、狭い懺悔室を幅広いテーマパークのようにしたかった。制作時はまず『ヤバい人』や『困っている人』というキャラクターを軸に据え、その後に『この人間なら何を懺悔するか?』と尻尾を付け足すスタイルで構成しています。その結果生まれた2段オチが、作品の正解でした」
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洋介犬さん自身のお気に入りは、我が子に「お前は人間ではない」と言い続けた男のエピソード。「人の業を描き切れた手応えがある」と語る通り、そこには人間の深淵が覗く。
取材協力:洋介犬(@yohsuken)
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