
日常のふとした隙間に、得体の知れない「何か」が潜んでいる。pixivで注目を集める佐藤さんの創作漫画『Kさんの不思議な話』は、語り手であるKさんが体験する、不気味で不可解な出来事の数々を淡々と、かつ鮮烈に描き出している。
出かけたはずの母親が庭で直立不動のまま佇んでいたり、カギのない部屋のドアを何者かがノックしたり。一見ありふれた風景が、次の瞬間には底知れぬ恐怖へと変貌する。読者から「久しぶりに鳥肌が立った」「不気味で不可解」と絶賛される本作の舞台裏について、作者の佐藤さんに話を聞いた。
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棚の隙間から響く「子守歌」と、髪を切り裂く未知の存在



シリーズの幕開けは、Kさんが抱く「隙間」への恐怖心から語られる。北陸に住んでいた頃、真夜中に部屋の棚の裏から聞こえてきた謎の子守歌。不審に思って隙間を覗き込んだ瞬間、風を切るような音と共にKさんの髪の先端が切り取られたという。
それ以来、ずっと何かがそこから覗いていた――。そんなトラウマ級のエピソードに始まり、物語は徐々に身近な「家族」への違和感へと侵食していく。特に第2話、3話で描かれる「どちらが本物の母なのか」という疑念は、読者の精神をじわじわと追い詰めていく。
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「自分が読んでもゾクゾクするように」。プロを目指し、理想のホラーを追求
佐藤さんがホラー漫画を描き始めたきっかけは、自分自身が読みたいと思う理想のホラーになかなか出会えなかったことにある。
「自分の中で『こういうホラーが観たい』という感覚があるのですが、あまり見かけないため、自分で描こうと思いました」
好きな作品として、Jホラーの金字塔である初期の『リング』や『呪怨』を挙げる佐藤さん。描く上でこだわっているのは、後から自分自身が読み返しても、ゾクゾクするような恐怖表現ができているかどうか。言葉で説明し尽くせない「不気味さ」が、画面の至るところに散りばめられている。
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「本当の答えは漫画の中に」。不可解であることを楽しむホラー体験
「注目ポイントは?」という問いに対し、佐藤さんは「漫画の中でそれが表現できていたら」と、多くを語らない。その余白こそが、読者の想像力を刺激し、さらなる恐怖を増幅させている。
「もっといろいろな話を描く時間が欲しいので、いつかプロになれるように頑張ります」と語る佐藤さん。現在は創作活動を続けながら、さらなる「ゾクゾクする体験」を読者に届けるべく筆を走らせている。
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母親だと思っていた存在が、もし違う何かだとしたら。その答えを知る勇気があるのなら、ぜひKさんの物語を覗いてみてほしい。ただし、あなたの部屋の「隙間」にはくれぐれもご注意を。
取材協力:佐藤
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