
子どものころ、河原や山の石を拾って大人から注意された経験はないだろうか。現役の郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さんが描く漫画『拾う』は、そんな何気ない行動に潜む恐怖を描いた作品だ。今回は、集荷先での不気味な出来事と、同僚の恐ろしい実体験に迫る。



N支店で働く郵便局員のリコさんは、あるご婦人の自宅へ荷物の集荷に訪れた。中身はただの石だったが、ご婦人は登山でこれを持ち帰ってから不幸が立て続けに起こったのだという。不安になって寺へ相談した結果、山の管理者に返却するよう助言され、送り返す手続きをしていたのだ。
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この不気味なエピソードを聞き、リコさんにも思い当たる節があった。小学生の帰り道、彼女はある“もの”を拾い、異常なまでに執着した過去がある。汚れているにもかかわらず本人にはとてもよいものに思えて仕方なく、一度は親に捨てられたものの、ゴミ収集車を追いかけてまで取り戻したというのだ。
著者の送達ねこさんによると、本作を読んだ人たちからも「河原の石は絶対に拾ってはいけないと言われていた」「縁に傷がつくらしい」といった反響が数多く寄せられたという。縁に傷がつけば、出会うべき人に出会えず、逆に出会ってはならない人を引き寄せてしまう。特別な力が宿るとされる石の言い伝えは世界中にあり、たまたま拾った石ひとつで運命が狂ってしまうとしたら恐ろしいと、著者はその神秘の奥深さを語る。
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では、幼少期のリコさんがゴミ収集車を追いかけてまで執着した“もの”とは一体何だったのか。著者が本人に詳細を尋ねてみたところ、災いの再演を今も恐れているという理由で、頑なに口を閉ざされてしまったそうだ。
道端に落ちている見知らぬものが、自分にだけは魅力的に見えてしまう瞬間があるかもしれない。しかし、リコさんが体験したように、よいものに見えるからといって本当に安全だとは限らない。日常の裏側に潜む怪異を描いた『郵便屋が集めた奇談』は、私たちの身近にある得体の知れない恐怖を突きつけてくる。
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