近年はドラマ『海に眠るダイヤモンド』や『続・続・最後から二番目の恋』、映画『六人の嘘つきな大学生』、『ほどなく、お別れです』などの話題作で注目を集めている西垣匠さん。
東宝が展開する才能支援プロジェクト「GEMSTONE Creative Label」による短編映画集の第2弾『GEMNIBUS vol.2』のラインナップの1本である『ソニックビート』では、主人公で高校陸上部員のイサオを演じている。
本インタビューでは、“精神世界”に閉じ込められるという不思議な世界観の本作の撮影エピソードや役柄について、さらに最近おすすめの映画などを語ってくれた。

高校陸上部員の役に挑戦「実は運動が苦手。走るシーンの撮影は少し緊張しました」
――本作の台本を最初に読んだ時の感想をお聞かせいただけますか?
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【西垣匠】本作は、主人公が過去の記憶と向き合い、一歩を踏み出す物語なのですが、きっと誰しもがそういった経験をしたことがあるんじゃないかなと思いました。“精神世界”という少しファンタジックな描写がありつつも、メッセージ性のある作品だったので、“どんな映画になるんだろう?”と、撮影がすごく楽しみでした。
――監督を務めた関駿太さんは現在24歳で、西垣さんよりも年下ですよね。
【西垣匠】そうですね。でも24歳とは思えないぐらい落ち着いていらっしゃって、クランクイン初日の監督のどっしりと構えた姿を見て“安心して身を委ねられる”と思いました。演出も丁寧でわかりやすかったです。
――主人公のイサオは陸上競技大会100メートル走予選のスタートラインに立ち、スタートを切ろうとした瞬間に突然“精神世界”に迷い込んでしまいます。イサオという役をどんな風に捉えて演じましたか?
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【西垣匠】監督は「おとなしい内向的な男の子」と仰っていたので、そこは意識しました。あと台本を読んだ時に、イサオの人物像が“若者特有の悩みを抱えた覇気のない人”という印象を受けたので、そういう無気力さもポイントにしながら演じていました。

――陸上競技場で走るシーンがありましたが、練習はどのぐらいされたのでしょうか?
【西垣匠】陸上競技場で数回ほど実際に走る練習をしました。今回、初めて陸上用のスパイクで走ったのですが、慣れないのもあってクラウチングスタートの姿勢から1歩目を踏み出すのが難しかったです。実は運動が苦手なので、練習を何回もしましたし、走るシーンの撮影は少し緊張しました。

――イサオくんが走っている姿がとてもかっこよかったです。
【西垣匠】ありがとうございます。走るシーンを撮影したのは2025年の1月で、衣装が陸上競技のユニフォームだったのですごく寒かったんです。体を温めるためにウォーミングアップをしてから撮影に挑んでいました。
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――学生時代に陸上部員だったのですが、入部して最初のころはどっちの足をスターティングブロック(クラウチングスタート時に使用する器具)の前に置いていいのかわからず悩んだのを覚えています。
【西垣匠】めちゃくちゃわかります!僕も同じように悩んだので、練習の時に先生に聞きました。あと、何回ジャンプしてからスターティングブロックに足をかけるのかとか、走り出してから何歩目で体を起こすのかとか、そういった細かい指導もしていただいたので、すごくありがたかったです。同じコースを走る選手役の方々と一緒に練習を重ねながら体を慣らしていきました。

プレッシャーは自分で勝手に感じるもの「目標があるからこそ失敗した時の不安な気持ちも生まれる」
――イサオが精神世界に閉じ込められてしまった原因は、極度のプレッシャーによるものでした。西垣さんは、お仕事の現場で極度のプレッシャーを感じることはありますか?
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【西垣匠】どの作品もクランクインの日は毎回プレッシャーを感じます。撮影が進んでいけば、どう演じたらいいのかが自分の中で定まってくるのですが、クランクインの日は事前に考えてきたものを最初に監督に見ていただくので、とても怖いですし、ものすごく緊張します。
――プレッシャーに打ち勝つための秘策はありますか?
【西垣匠】プレッシャーは自分で勝手に感じるものだと思っているので、打ち勝つものでもないというか、決して悪いことではないんじゃないかなって。事前に準備をすることで“ここまでやりきりたい”とか“これを実現したい”という思いが出てきますし、目標があるからこそ失敗した時の不安な気持ちも生まれるんですよね。そう考えると、これからもプレッシャーを感じられる自分でいたいなと思います。

――精神世界のシーンはビデオテープや古いテレビなどが置いてある独特な空間が印象的でしたが、撮影はいかがでしたか?
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【西垣匠】セットに用意されていた小道具が印象的でした。小さいころの記憶にしかないビデオテープと薄型じゃないテレビを久しぶりに見ましたし(笑)、イサオがぐるぐる巻きにされていた椅子も歯医者さんや美容室にあるものと似ていておもしろかったです。小道具だけじゃなく、ライティングやスモークの焚き方もしっかりと作り込まれていたので、セットに入った瞬間から“ここは精神世界なんだ”と思うことができてお芝居がしやすかったです。
――ちなみに、イサオのような不思議な体験をしたことはありますか?
【西垣匠】不思議というか怖い体験なんですけど、家でシャワーを浴びている最中に、誰もいないのに「ねぇ」と呼びかけられることがあるんです。おそらく幻聴だと思うのですが、「ねぇ」と聞こえると背筋がゾワっとして。引っ越したほうがいいのかもしれません(笑)。
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西垣匠が最近おすすめの映画を語る

――近年は、映画『六人の嘘つきな大学生』、『隣のステラ』、『ほどなくお別れです』、ドラマ『海に眠るダイヤモンド』、『続・続・最後から二番目の恋』など話題作への出演が続いていますが、お芝居との向き合い方で変化を感じている部分があれば教えていただけますか?
【西垣匠】最近は、準備のためにフィールドワークを行う機会が増えました。たとえば、演じる役柄が料理人だったとして。レストランでアルバイトをするわけにはいかないですし、実際に料理人の修行をするのも難しいので、まずはお店に行ってみて、厨房を遠くから覗いてみる…といった感じのことをしています。
百聞は一見に如かずで、頭で考えるだけじゃなく、自分の目で確かめたほうが役作りに必要なことを見つけやすいので、なるべく行動するようにしています。
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――フィールドワークを実践することで、お芝居の手応えも変わってきましたか?
【西垣匠】正直、フィールドワークの効果は自分ではわからないのですが、やった時とやらなかった時のお芝居に違いが出るような気がするんです。あとフィールドワークをやると、それが自信につながるので、積極的に動くようにしています。

――ほかにお芝居で何か実践していることはありますか?
【西垣匠】例えば、泣くシーンだったら“泣くこと”をあえて意識しないようにしています。なぜなら、行動原理を理解しないまま泣くお芝居をすると、わざとらしく見えてしまうから。それは胸キュンシーンも同じで、“キュンとさせるためには…”と考え始めた挙句、カメラ映りを気にしてしまって“かっこいい顔をしなくちゃ”と意識してしまう。
それは違うと思うんです。極端な話、壁ドンをするシーンがあるとしたら、その役が壁ドンをしたい理由があるはずなので、なぜそういう行動をするのかを考えながら演じるようにしています。
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――先ほどフィールドワークの話が出ましたが、今後のために何か挑戦してみたいことはありますか?
【西垣匠】以前から乗馬をやってみたくて、昨年ファンクラブの企画で挑戦させてもらったんです。ただ、その時はのんびり屋のお馬さんだったので(笑)、次は早足で駆ける馬に乗ってみたいです。馬に乗れるようになると、乗馬のシーンにも説得力が出ますよね。近いうちに挑戦したいです。
――最後の質問になりますが、最近ご覧になって刺激を受けた映画をご紹介いただけますか?
【西垣匠】山田裕貴さん主演の『爆弾』がおもしろかったです。あと旧作ですが、久しぶりに観た『シックス・センス』が最高でした。二度目の鑑賞だったので最後の衝撃的な真実を知ってはいたのですが、“緻密に作られていて本当にすごいな…”とあらためて感動しました。ハーレイ・ジョエル・オスメントくんのお芝居も素晴らしくて引き込まれましたし、勉強になりました。僕、どんでん返しや伏線回収が見事な映画が大好きで、『シックス・センス』ってその先駆け的な作品だと思うんです。イチオシのホラー映画なので、ご覧になったことがない方はぜひ鑑賞してみてください。
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取材・文=奥村百恵
◆スタイリスト:石橋修一
◆ヘアメイク: 細野裕之
衣装クレジット=ジャケット(13万6400円)、シャツ(4万1800円)、パンツ(7万7000円)、シューズ(7万400円)/Y's for men/ワイズプレスルーム:問い合わせ先 03-5463-1540
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