
ほんの数分、目を離した隙だった――。携帯電話の着信に気を取られたその瞬間、幼い少女は忽然と姿を消した。あの日の“たった数分”が、その後の人生を変えてしまう。本作『仮門(かりもん) 消えた少女―10年目の真実』は、娘を失った家族と、その周囲にいる人たちの10年後を描いたミステリー作品である。止まっていた時間が再び動き出し、10年前の失踪事件の夜に何が起きたのか、そして犯人は誰なのかという謎が徐々に浮かび上がっていく。
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連載2年をかけて描き切った“日常に潜む狂気”



本作の連載がSNSで始まったのは2023年9月ごろ。当初は「犯人を予想する漫画」というキャッチを掲げ、読者と一緒に推理しながら進むスタイルで注目を集めた。人気は徐々に広がり、記事化をきっかけにコメントが殺到。ストーリーが進むにつれて反響はさらに大きくなり、電子書籍化へとつながった。
作者の鳩ヶ森(@hatogamori)さんは「2年もかかってしまいました(笑)。当初は半年ほどでサクっと終わらせるつもりだったのですが、『子どもの失踪』というデリケートなテーマを描く中でいろいろ考えることもありました。それでも途中でプロットの変更はしませんでした」と語り、構想を貫いた制作姿勢を明かしている。
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電子書籍で明かされる“真相編”と予想外のキャラクター
電子書籍版では、物語の核心に迫る「真相編」が収録され、七海の失踪の真実がついに描かれた。「はい。電子書籍では七海の失踪の真相がやっと明かされましたが、これは最初から頭の中で決めていたものをそのまま描いています」と鳩ヶ森さん。
一方で、ちょいワル風の登場人物・猪口の出番が増えたのは想定外だったという。「単に"イケオジ"を描くのが楽しかったのかもしれません(笑)」という言葉からは、シリアスな物語の中にも創作の楽しさが垣間見える。
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読者とともに歩んだ推理型連載の魅力
SNS連載では、pixivのコメント欄で読者が犯人を予想しながら作品に参加するスタイルが印象的だった。「作品タイトルに『犯人を予想する漫画』と掲げているので、読者がいろいろ予想しながら書き込んでくれたのはとてもうれしかったですね」と語る鳩ヶ森さん。
「最初のころはこまめに返信していたのですが、だんだん時間の余裕がなくなり交流できなくなったのはつらかったです。でもすべてのコメントには、必ず目を通しています!」と語り、応援が創作の支えになっていたことを明かした。「pixivで応援してくれた皆さんがいなければ、ラストシーンまで描けなかったと思います。本当にありがとうございました」という感謝の言葉が印象的だ。
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平凡な日常の隣に潜む“悪意”を描くミステリー
鳩ヶ森さんが掲げるコンセプトは「日常に潜む狂気」。特別でもない日々のすぐ隣に、じわりと近づく悪意が潜んでいる――そんなテーマが本作の根底にある。怪異ではなく人の感情が生む恐怖だからこそ、物語はより現実味を帯びて胸に迫る。10年前の幼女失踪事件の夜、いったい何が起こっていたのか。真実へと迫る極上ミステリーとして注目したい一作だ。
取材協力:鳩ヶ森(@hatogamori)
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