「日本最後の清流」として名高い高知県の四万十川は、美しい自然に囲まれた景勝地として観光客に人気だ。川沿いをドライブするもよし、沈下橋(ちんかばし)を歩いて渡ってみるもよし、カヌーやラフティングなどアクティビティにチャレンジするもよしだが、今回は四万十川名物「屋形舟」に乗って遊覧を楽しんできた。澄んだ水面を間近に眺め、沈下橋を真下からくぐる迫力はまた格別だ。心洗われる絶景と四万十川の魅力を余すところなく堪能できる、優雅な舟旅をレポートする。

沈下橋や水辺の生き物、大自然、昔ながらの漁と見どころいっぱいの四万十川
四万十川は、愛媛県との県境にもほど近い高知県高岡郡津野町の「不入山(いらずやま)」を源流とし、ゆったりと弧を描くように土佐湾へと向かって流れる。「清流」と謳われるだけあって川底が見えるほどに透明度が高く、またその清流を守る山や森など周囲の自然も美しい。台風などで川が頻繁に増水することから、橋が押し流され流失してしまうことを防ぐため、欄干をなくして水面に沈むよう、わざと低く渡された「沈下橋」が有名だ。四万十川全体で47本の沈下橋が架かり、今でも地元住民の生活の道としての役割を果たしている。また、松明の灯りを使って鮎を捕獲する火振り漁や、椎木の枝でウナギやエビを獲る柴漬け漁など伝統的な漁が今も行われている。
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澄んだ水や清流を泳ぐ川魚を間近で眺めたり、頭上に広がる空や周りを囲む木々のパノラマを味わうなら屋形舟がおすすめだ。屋形舟ならより間近で四万十の清流を体感できる。今回は「四万十川 屋形舟 さこや」の遊覧屋形舟による四万十川遊覧をレポートする。

高知市内から約2時間!ドライブがてら佐田沈下橋のたもと「四万十川 屋形舟 さこや」へ
「四万十川 屋形舟 さこや」の船着場は四万十川の最も下流に架かる「佐田沈下橋(今成橋)」のたもとにある。高知市内からは車で約1時間50分、特急列車なら最寄りの中村駅まで約1時間45分、駅からはタクシーで15分ほどだ。

普段は漁師もしているという船頭の荒地さんの操船で、およそ50分の船旅をゆったり満喫できる。佐田沈下橋より上流へ進み、三里沈下橋の下をくぐり、途中で折り返して同じ船着場まで戻ってくるコースなので、車を駐車場に止めておいても心配ない。料金は大人(中学生以上)1人2000円、小学生は1000円だ。定期運航は行っていないので電話かメール、FAXで予約しよう。
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いざ乗船!清流を間近に感じられるおよそ50分の船旅
屋形舟は靴をぬいで乗船する。座敷きの船内は外から見るよりも広い。中央のテーブルを挟んで左右に分かれて座った。船着場を離れた屋形舟は、上流へと向かって進む。窓からは川面に手が届きそうなほどに近く、四万十川を間近で眺めることができるのがポイント。


この日は6メートルほどの川底が見える透明度だった。最も透明度が高くなるのは真冬で、1月、2月には10メートルくらいまで見えるのだとか。窓からのぞくと、確かに川底の石が見える。きらきらと太陽を反射する水面と、透き通る川の水がとてもきれいだった。


屋形舟の船頭以外にも、アユ漁や青のり漁をしているという荒地さんは兼業漁師。四万十の天然アユを使ったかりんとうと、青のりのかりんとう、乗船するとどちらか好きなほうがもらえる。“四万十を味わい”ながら船旅を楽しんだ。
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流域の山々から流れ出た多くの成分を含み、栄養豊富な四万十川の水は多くの生き物を育む。川に生息する生き物の多さは日本トップクラスで、実際に約220種を超える魚が生息している。豊かな生態系が保たれている四万十川では、一年を通してさまざまな漁が行われ、アユやウナギなどの川の幸でも有名だ。

そんな魚を狙って鳥も集まる。この日も、アオサギやシラサギがあちこち飛んでいた。豊かな自然と川の流れに集まるさまざまな生き物が見られるのも、屋形舟での遊覧ならではの楽しみ方かもしれない。

船旅のハイライト!沈下橋をくぐって通過
沈下橋とは、川の増水時に水の下に沈むことを想定して作られたシンプルな橋のこと。欄干がなく、橋桁と橋脚だけの簡素な造りなので、川が氾濫しても流されにくい。四万十川にはこの沈下橋が47本現存している。もちろん人間が作ったものであるものの、自然の景観に溶け込み四万十の魅力のひとつとなっている。観光スポットとして有名だが、橋自体は今でも周辺住民の生活道路として使われている。夏場には、橋から川へと飛び込む子どもたちの遊び場にもなるのだそう。
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およそ50分の船旅の途中、屋形舟が三里沈下橋の下を通過するポイントがある。沈下橋の下をくぐるチャンスはなかなかないので、これは屋形舟ならではの楽しみだ。直前にすれ違った屋形舟の船頭さんや乗客とお互いに手を振り合った。すれ違うときに挨拶代わりに手を振るのだそう。

三里沈下橋をくぐると、いよいよ折り返し地点。この辺りは「瀞(とろ)」といって、川の水が静かに流れる場所。この日は、穏やかながらも多少の風があったため波が見られたが、風のない日は水面が凪いで、まるで鏡のように見えるのだとか。

ここで、船のエンジンを止めて櫓(ろ)だけで操船する。走行中は危険なため、窓から手などの体を出すことは禁止されているが、エンジンを止めている間は船の速度も落ちるので、水に触ることができる。「今から櫓で漕ぎます。水に触ってもいい時間ですよ。ザブトンを濡らさないようにだけ、気をつけてくださいね」、という荒地さんの声かけで、乗客はみんな窓から手を出して川の水に触れていた。
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希望すると船首に出ることができる。ライフジャケットを着て1人ずつ順番に屋形舟の船室から出て舳先に立ち、360度広がるパノラマを楽しんだ。この日は穏やかながらも風が吹いていたので、鏡の状態は見られなかったが、それでも空は広く爽快な気分を味わえた。

ここからは折り返して、屋形舟に乗り込んだ船着場まで同じルートを戻る。日の傾き始めた四万十川をゆったりと航行しながら、船頭の荒地さんとの会話を楽しむ。帰りはあっという間に感じられた。

屋形舟を降りたら、フォトスポットとしても有名な佐田沈下橋へ。乗船場から歩いてすぐの距離だ。佐田沈下橋は全長291.6メートル、四万十川の沈下橋の中で最も長く、そして最も下流に架かる橋だ。道幅が狭く、欄干もないので視界がとても広い。写真映えするポイントなので、ぜひ実際に歩いて渡ってみてほしい!沈下橋は観光用ではなく、地域の人たちの生活道として日常に欠かせない橋なので、車両での横断は控えてほしいとのこと。ただし、車で渡るのはかなり勇気がいるかもしれない。
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「四万十川 屋形舟 さこや」でさまざまな四万十川体験を
「四万十川 屋形舟 さこや」では、櫓を漕いで人力で船を進める櫓体験、兼業漁師の船頭が投網で漁をする様子を見られる伝統漁法の見学や、初夏の夜の遊覧ホタル舟など、遊覧船だけでなくさまざまな体験ができる。また、屋形舟を貸し切る食事付きの宴会舟やウェディングのサービスなどもある。いずれも公式サイトを参照のうえ、電話、メール、FAXで予約しよう。

四万十川 屋形舟 さこや
住所:高知県四万十市佐田 佐田沈下橋近く
電話:090-5147-4023
出港時刻:随時
料金:遊覧船 大人(中学生以上)2000円、小学生1000円
駐車場:無料駐車場あり
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