
「実家が貧乏なのに四年生大学に通っているのはおかしい、短大に変更しよう」「この言動は現実的ではないから変えよう」とある会議室。脚本を囲む制作陣は、これらを「作品を良くするための良心的な調整」だと信じている。しかし、その過程で原作が持つ独自の魅力や、著者が設定に込めた意図が削ぎ落とされ、結果としてファンが望まない「別物」へと変貌を遂げていくのだ。
漫画がドラマや映画、アニメになる際、必ずと言っていいほど話題になる「原作改変」。ファンが抱く「なぜそのまま作れないのか?」という純粋な疑問に対し、TV・映画・ドラマ制作の最前線を渡り歩いてきた、のりばさん(@MangaNoriba)が描いた実体験漫画が大きな波紋を呼んでいる。
続きを読む




「主演決定が第一条件」で歪む設定
X(旧Twitter)で7.7万いいねを記録した『なぜ“原作改変”は起こるのかの話』。そこには、視聴率、芸能事務所の思惑、そして制作陣が信じて疑わない「リアリティ」という名の調整が渦巻く、あまりにリアルな現場の実態があった。
のりばさんが目の当たりにした脚本会議の現場では、まず「主演俳優」の決定がすべてに優先される。監督にキャスティングの決定権があることはまれで、大手芸能事務所のパワーバランスによって配役が決まることも少なくない。
続きを読む
「原作にはいないキャラクター」が登場したり、キャラクターの性別が変更されたりするのは、事務所のバーター(抱き合わせ出演)調整などの大人の事情が絡んでいる。スタッフはオリジナル作品を熱望していても、知名度と視聴率のために「原作もの」が選ばれ、その枠組みの中に無理やり配役を当てはめていく構造ができあがっているのだ。
「リアリティ」という名の免罪符
さらに根深いのが、ドラマとしての整合性を求めるあまりの「改変」だ。脚本会議では、漫画特有の非現実的な設定に対し、「視聴者が違和感を持ったら見てくれない」という理由でメスが入る。冒頭で紹介したような「四大から短大への変更」などは、その典型例だ。制作サイドは良かれと思って調整しているが、それがかえって「原作クラッシャー」となってしまう。
続きを読む
アニメ現場との「圧倒的な温度差」
のりばさんは、CM、TV、映画、ゲーム、アニメと幅広いキャリアを持つ管理職。実写化の現場を「昭和の価値観が残っている場所もある」と評する一方で、アニメ制作の現場についても言及している。
アニメの現場には、原作を徹底的にリスペクトする精鋭たちが集まり、いかに原作を再現するかに心血を注ぐ。この熱量の差が、近年の「アニメの隆盛」と「実写への不信感」のコントラストを生んでいるのではないか。
続きを読む
のりばさんの鋭い分析に、ユーザーからは「妙に納得してしまった」「実写化のモヤりの原因がわかった」と多くの共感の声が届いている。なぜあなたの好きな漫画は、実写化で別物になってしまったのか。その答えがここにあるかもしれない。
取材協力:のりば(@MangaNoriba)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
記事一覧に戻る