
鳩ヶ森(@hatogamori)さんは、2023年に「第2回朝日ホラーコミック大賞」を受賞した新進気鋭のホラー漫画家だ。現在はpixivで新作『仮門』を連載している彼が描く本作『周波数』は、「日常に潜む狂気」をテーマに、古いラジカセが拾った不気味な声をきっかけに静かな日常が変貌する様子を描いている。
ラジカセと恐怖の記憶



本作のテーマは「子供が夜の暗い自室で背中に感じる薄ら寒さ」だと鳩ヶ森さんは語る。自室で一人でいるときや入浴中、背後に何者かの気配を感じた経験は、誰しも覚えがあるのではないだろうか。特に敏感だった子供の頃のあの恐怖を、「たまには思い出してゾッとしようぜ!」という思いが込められている。
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モチーフとなったのは、鳩ヶ森さんが中学生のときに親から譲り受けた古いラジカセだ。手でつまみを動かして周波数を合わせるレトロな機械は、ときにノイズに混じって呪文のような意味不明な言葉を拾う。子供だった当時はそれが怪現象そのものに見えた。「日常にいよいよ恐怖が片足を突っ込んでくる」ような、断りもなく侵入してくる恐怖を目指したという。
異形のモノを描くこだわり
鳩ヶ森さんが最もこだわったのは「お化けの顔」の描写だ。これまで「人怖」を主に描いてきたため、異形の存在を恐ろしく見せるためのスキルを練習し、描き込んだ。化け物のビジュアルにおいて、これまでは「目」が重要だと思っていたが、実は「歯」がポイントであることに気づいたという。その練習の成果が、本作の異形のお顔に凝縮されている。
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作中では、火災事件のニュースが流れるなか、当初「遺体は3人」と報じられながら、のちに次女の遺体も発見されたという続報が入る。ラジオのつまみが合わせた周波数は、果たして人間が聞き取れる音域だったのか。読者からは、幽霊が出やすい場所は周波数19Hz以下が多いという指摘も寄せられた。すべてを語りすぎない静かなストーリー展開が、読後に拭いきれないおそろしい余韻を残す。
取材協力:鳩ヶ森(@hatogamori)
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