
職場では「氷の男」と恐れられ、窓から飛び込んできたハトを素手で捕獲しても眉ひとつ動かさない。そんな鉄壁の冷静沈着さを誇る上司・恐田。しかし、彼が唯一その仮面を脱ぎ捨てる場所がある。それは、同じ部署の灯里(あかり)と暮らす自宅の扉を開けた瞬間だった。
栗みや(@kurimiya103)さんが描く『恐田さんは動じない?』は、会社での完璧な姿と、家で見せる「様子のおかしい」ほど甘い素顔のギャップを描き、読者のキュンを独占している。
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「何考えてるかわかんなくて怖い」 ―― その裏側にある純粋すぎる素顔



物語は、会社で起きた「ハト事件」から始まる。騒然とするオフィスで平然とトラブルを処理する恐田の姿に、同僚たちは「仕事はできるけど怖い」と敬遠気味だ。だが、恋人であり同棲相手でもある灯里だけは知っている。彼が誰よりも責任感が強く、そして自分に対してだけはいかに「動揺」しまくっているかを。
本作の面白さは、その徹底した「オン・オフ」の差にある。職場の強固なパブリックイメージがあるからこそ、灯里にだけ見せる、お化けを怖がったり、彼女の言動に一喜一憂したりする「ヒーローらしからぬ」一面が、読者の母性本能とときめきを同時に刺激するのだ。
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「お化け嫌い」は作者自身の投影。1年のラブコメ修行を経て生まれた入選作
本作は「第41回スクエニマンガ大賞」の入選受賞作。作者の栗みやさんは、以前は『死神さんは余命半年』というゆるキャラ系の作品を連載していたが、新境地を開拓すべく1年間ラブコメを猛勉強したという。
「恐田さんはラブコメ一作目で、好みのキャラクターデザインと『おばけが嫌い』という自分自身の主張をヒーローに付与して描いた作品です。描いているときは楽しかったですが、人が読んで楽しんでもらえるかは別問題なので……(受賞して)とてもホッとしました」
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「ギャップの魔術師」が描く、多層的なキャラクターの魅力
栗みやさんは、くらげバンチに掲載された『蛇神くんは寒いと変身しちゃうから』でも、マスコット、少年、化け物という三段階の姿を使い分ける巧みな「ギャップ萌え」を披露している。
「キャラクターのギャップを見てもらうことを意識して作りました。ビジュアル的にも三段階のギャップを意識して、それぞれ絵のタッチを変えて描いています」
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恐田さんも同様に、画力の向上とともに「冷酷な目つき」と「愛おしそうな眼差し」の描き分けがより鮮明になっており、その視覚的な情報が「二人の秘密の恋」に説得力を持たせている。
取材協力:栗みや(@kurimiya103)
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