
人の好意が「数値」として見えてしまう能力を持つ主人公・桜田。廊下で繰り広げられる男女の会話も、彼女の目を通せば「男子の好意79、相手は42」といった具合に、残酷なまでの温度差が筒抜けだ。そんな彼女の隣の席に、素行が悪いと有名なヤンキー・桃山がやってくる。恐る恐る彼の数値を確認すると、そこには「98」という、付き合える基準(80)を遥かに超越した異常な数値が浮かんでいた。
酢忍(@tan_sushinobu)が描く『隣の席のヤンキーの好感度が丸見え』は、好きという感情が物理的に可視化されることで巻き起こる、予測不能な恋愛模様を描いた短編作品だ。
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女子には冷淡、自分にだけ「98」。数値が証明する本気のギャップ



桃山はヤンキーでありながら整った顔立ちをしており、常に女子に囲まれている。桜田は最初、「誰にでもいい顔をするチャラ男なのだろう」と疑っていた。しかし、群がる女子たちに対する彼の好感度は「23」と、驚くほど低い。文字通り興味がないレベルだ。
ところが、桜田と目が合った瞬間に桃山は激しく動脳し、好感度は不動の「98」を刻み続ける。自分のことを本気で好きすぎるヤンキーという事実に、桜田はどうにかして数値を下げようと、あえてダメなところを見せる。しかし、その必死の抵抗が逆効果となり、数値はさらなる「限界突破」を予感させる勢いで跳ね上がっていく。
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作者が語る制作秘話。イケメンが描けず「候補は4人いた」
本作は少年ガンガンの担当編集者へのネタ出しから生まれた作品だ。作者の酢忍によれば、主人公の桜田は最初からキャラクターの軸が決まっていたが、相手役の桃山の造形にはかなり苦労したという。以下はインタビューにおける作者の言葉だ。
「これは、少年ガンガンの担当さんと新作の読み切りを作るのに何個かあげたネタだしのうちのひとつでした」
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「男の子の桃山君は候補が4人ほどいて、イケメンが描けなくて苦労したのを覚えています」
完成した桃山は、ヤンキーらしい鋭さと、好きな人の前で見せるピュアな反応を併せ持つ魅力的なキャラクターとなったが、その裏には作者の試行錯誤があった。
SNSでの反響と「業界の厳しさ」。数字に翻弄された連載への道
本作はpixivを中心に大きな反響を呼び、シリーズ化を望む声も多かった。しかし、酢忍はインタビューで漫画業界のシビアな現実を吐露している。SNS(X)での反応や雑誌掲載時の数字が伸び悩み、すぐに次の新作を考えざるを得ない状況に直面したという。
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「ありがたいことにpixivでは反響をいただいたんですが、Twitter(現在のX)と本誌掲載時の数字があまりなくて、すぐ次の新作を考えないといけなくなりました。業界の厳しさをあらためて実感しました」
現在、本作の続編を描く予定はないとのことだが、現在は『生産魔法師のらくらく辺境開拓』などの連載を経て、読者が「声に出してツッコミたくなる」ような短編を精力的に発表している。
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取材協力:酢忍さん
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