
猫に触れれば全身に湿疹が走り、痒みで呼吸さえままならなくなる。血液検査の結果は、最も症状が重い「クラス6」の猫アレルギー。そんな絶望的な体質を持ちながら、物心ついたときから「無類の猫好き」を公言する男がいる。
漫画家・猫飼太陽(@nekokaitaiyou)が放つ『描描猫猫 猫アレルギーだけど猫飼いたすぎ物語』は、単なるペット愛好漫画ではない。猫を飼いたいという執念が、アレルギーという生物学的限界を超えようとする、滑稽で切実なサバイバル記録だ。
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友達選びの基準は「猫を飼っているか」。歪んだ情熱が招いた出会い



猫飼の猫欲は、幼少期から常軌を逸していた。両親に飼育を禁じられていた反動からか、友達を選ぶ基準は「どんな猫を飼っているか」の一点。高校時代には、虚言癖のあるいわくつきの同級生とも「シャム猫を飼っている」という理由だけで迷わず友人になった。
しかし、無情にも体は拒絶反応を示す。鼻水やくしゃみに始まり、蕁麻疹はみるみる悪化。食事療法、神社への祈願、果てはアレルギーが少ないとされる品種への接触試行など、あらゆる手段を講じて「猫との共生」を模索した。その異常なまでの執着心こそが、本作の推進力となっている。
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清野とおるも驚愕。霊体験より「猫体験」の方が怖かった?
本作誕生のきっかけは、意外なところにあった。数年前、猫飼が体験した「幽霊らしきもの」の話を耳にした漫画家・清野とおる氏が取材に訪れた際、霊体験よりも「猫への異常な執着」の方が面白いと食いつかれたのだ。
その場にいた編集者の後押しもあり、連載が決定。長年封印していたかつてのペンネームを捨て、「猫、飼いたいよう」という直球の想いを込めた「猫飼太陽」として再デビューを果たした。作中では自身の愛猫(ゆめちゃん)を1コマ、1線単位に情念を込めて「猫いて(かいて)」おり、もはや漫画を作るというより、一匹の猫を創り出すような執念で臨んだという。
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ラストに隠された仕掛け。背景の「色」が物語る異質の味わい
読者から「むしろホラー」「ラストに驚いた」という声が続出する本作。その演出の鍵は、ページの背景色にある。エピソードごとに「白」「黒」「スクリーントーン」の3種で構成されており、この色の変化を意識することで、物語に潜む独特の味わいが浮き彫りになる仕掛けだ。
あまりの作風の近さに、SNSでは「清野とおるの別名義ではないか」という噂も流れたが、これは清野氏本人の快諾を得たうえでの「全力の寄せ」によるものだ。単行本を出し切り、「当分漫画を猫く(かく)つもりはない」と語る猫飼太陽。そのあまりに純粋で、どこか狂気を孕んだ猫愛の結末は、ぜひその目で確かめてほしい。
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取材協力:猫飼太陽(@nekokaitaiyou)
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