
愛猫を亡くした人たちから「何度も読みたくなる」と反響が寄せられている漫画がある。白熊便利軒ホセさん(@sasadebris)による「猫の柄の話し」だ。猫は死後、天国で一旦すべて真っ白な姿に戻り、新しい命を得るときに再び柄を与えられ転生するという設定が話題を呼んでいる。今回は、本作の制作の裏側について作者の白熊便利軒ホセさんに話を聞いた。
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天国で柄を選び、生まれ変わる猫たち



天国で真っ白な姿に戻った猫たちの前に、熊の姿をした「神様」が現れる。神様が置いた新しい柄のボトルから、猫は自分の好きな柄を選べるという設定だ。猫たちは「俺はシャム!」「俺はペルシャだ」と意見を言い合い、瓶の中の遺伝子(シロップ)をかけることで新しい姿となる。
転生を迎えた猫にシロップをかけると、かっこいいハチワレ猫に。期待通りだったのか、新しい人生にワクワクした様子で地上へ向かうトンネルをくぐっていく。この物語は、愛猫を亡くした飼い主の「いつか生まれ変わって帰ってくるかも」という温かい思いを込めて描かれている。
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この「猫は白毛が基本で、柄の遺伝子のシロップを耳や尻尾の先からたらすと染まっていく」という設定は、作者がラジオで猫の柄について研究している方のインタビューを聞いたのがきっかけだという。シロップがたっぷりだと柄がまんべんなく入るし、少し足りないと白足袋、半分ぐらいならハチワレになるというのがおもしろいと記憶に残っていた。
作品を描こうと思ったのは、友人が長年一緒に暮らした愛猫を亡くしてしまったことがきっかけだ。「直接励ますのは恥ずかしかったし、おこがましいので、作品で何かできたらなと」と考えた。そのため、主人公の猫は、友人の愛猫と同じキジトラ猫(作中でいう「しましま」猫)になっている。
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作者が作品に込めた思いとこだわり
本作はイベント出展用に描いた短編漫画だが、多くの読者から反響が寄せられている。愛猫を亡くした方から「うちもいつか帰ってくるといいな」というコメントが届くと、「帰ってきますよ」と思いながらコメントを返しているという。作者は、「もう会えないと思っているより、いつか生まれ変わって帰ってくるかもと思って暮らしていたほうが楽しいじゃないですか」と思いを述べる。
作者自身は猫を飼っていないそうだが、仕事をリタイアしたら保護猫と暮らしたいと語る。本作のこだわりについて、「猫の柄」の方は、猫が神様にお願いするシーンを描きたいがために描いたようなものだという。あのコマの猫は幸せだった記憶を思い出せて満足しており、泣き笑いの表情をしている。
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ちなみに、白熊便利軒ホセさんは、猫の漫画以外に人間の世界で「便利屋」をやっている白熊と、捨て子熊のお話「白熊便利軒」を描いており、どちらかというと熊漫画のほうがメインだと語った。猫の漫画は、今後も「地上に帰りたくない子」など、いくつかのプロットを形にしていきたいと意欲を見せる。
猫の気持ちがこうだったら、と思いを馳せて読める愛らしさたっぷりの漫画は、温かい気持ちで満たされる。自分の愛猫を思い出して、何度も読んでみてほしい。
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取材協力:白熊便利軒ホセ(@sasadebris)
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