
戸塚ネオ(@totsukaneo)さんは、2025年8月にX(旧Twitter)で『コロナ禍の子どもの付き添い入院レポ』を公開し、大きな注目を集めた。長女が1歳半のときに喘息性気管支炎で突然入院し、コロナ禍の厳しい制限の中で“仕事を休めない母親”としての苦悩と、幼い子どもとの入院生活を描いた作品である。今回は、本作が生まれた背景や当時の思いを戸塚ネオさんに聞いた。
※本作にはセンシティブな表現があります。閲覧にはご注意いただきたい。
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漫画が生まれた理由と、当時の戸塚さんの決断



作品にはフィクションを交えつつも、入院当時の感情をそのまま描いたという戸塚さん。長女が喘息性気管支炎で入院したのは育休から復帰して間もない頃だった。すでに有給を使い切り、休めば欠勤として周囲に迷惑がかかる。そこで彼女は、昼間は仕事、夜は病院で付き添うという選択をすることになる。
「当時はとにかく必死で、気持ちをどこにも吐き出せなかった」と振り返り、コロナ禍が落ち着いたタイミングで“忘れてしまいたくない記憶”を漫画として残したいと思ったことが、本作の出発点だった。
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幼い娘の病状を知ったときの恐怖と後悔
最初の受診では風邪と診断されていたが、数日後にはゼーゼーと苦しそうな呼吸に変わっていった。医師からは「命に関わる状態ではないが、この年齢では念のため入院が必要」と説明され、戸塚さんは強い後悔に襲われる。
薬を飲ませ、看病もしていたものの、「もっと早く連れてくるべきだったのでは」と胸が締めつけられたという。まだ1歳半の娘が息苦しさに耐える姿を見るのは恐怖でしかなかったが、治療が進むにつれ症状が落ち着き、ようやく安堵できたと語る。
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交代できない付き添い、閉塞感と孤独感
コロナ禍の入院で最も大変だったのは「誰とも交代できないこと」だった。大部屋でありながら、カーテンを閉じて交流しないよう求められ、周囲に人がいるのに孤独を感じる日々が続いたという。食事、排泄、遊びのサポートまで、ほぼすべてを1人で担い、1週間近くベッドの隅で寝泊まりしながらの付き添い生活になった。
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支えてくれた保育士の存在と、母としての葛藤
戸塚さんが救われたのが、日中に病棟に常駐していた保育士のサポートだった。彼らのおかげで、彼女はわずかながら仕事に向かう時間を確保できた。しかし夜になると保育士は不在で、スタッフの人数も少ない。授乳期だった娘は食事を十分に取れず、「母乳が頼りなら続けるしかない」と、夜間は結局ずっとそばに付き添い続けたという。
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今後描きたい作品と、読者に届けたい思い
戸塚さんは今後も、読者が「わかる」「うちもそうだった」と共感し、少し気持ちが軽くなるような作品を描き続けたいと話す。子どものアレルギーによる経口負荷試験入院や、ほかの付き添い入院の体験談など、身近にあるのに情報が届きにくいテーマを取り上げたいという。
「知っているだけで心の準備ができることもある。体験を共有することで安心につながれば」と語り、これからも丁寧に描き続けていこうと思っているとのこと。
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本作では、コロナ禍における親子の入院生活がリアルに再現されている。他の作品も多く発表されているので、興味があればぜひ読んでみてほしい。
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