
郵便配達員たちは毎日、町の隅々まで郵便物を配達している。「あの配達先には行きたくない」とはなかなか言えないのが現実だ。しかし配達をしていると、稀に「嫌な感じ」のする住宅に遭遇することがあるという。遠くから見ただけでも背筋がゾッとし、近づけば震えだけでなく頭痛もひどくなるという、霊感のある郵便配達員が実際に経験したかなり怖い物件の話である。
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あのときの厄災が最悪物件へと彼を駆り立てた



その2階建ての古いアパートは、階段の下にいるだけで鳥肌が立つほどだった。調べてみたが、有名な事故物件サイトにも載っていない。2階の一番奥の部屋から漂ってくるまがまがしい気配を感じながら、ほかの住戸への配達をこなしていた。その問題の部屋には人が住んでいる気配はなかったため、「配達がなきゃ近づかないしいっか!」と油断もしていたという。
そんな彼に、その部屋まで行かねばならない事情ができてしまった。それはコロナ禍に政府が約260億円もの大金をかけて行った「ガーゼ製布マスクの全戸配達」である。まさかこんな形で彼のもとに厄災が降りかかってくるとは、思いもよらなかっただろう。問題の部屋は人が住んでいないと思われたが、郵便局の原簿上は人が住んでいることになっていたので配達に行かざるを得ない。泣いても駄々をこねても避けられない現実を前に、彼は意を決して配達に向かう。そして彼は今でも目に焼き付いて離れないおぞましい光景を目にするのだった。
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霊感のある配達員が語る最悪物件の実態
郵便局員が実際に経験した怖い話を漫画化したのは、現役の郵便局員である送達ねこ(@jinjanosandou)さんである。漫画を描いているうちにその噂を聞きつけた郵便局員から話が届くようになり、今では他局の郵便局員からも体験談が届くようになったという。本作『嫌な家』について送達ねこさんに詳しく話を伺ってみた。
この話はM支店に勤務するYくんの体験談で、2つの「嫌な物件」すべてYくんが遭遇した事案だという。Yくんはいわゆる「霊感」がある人だ。送達ねこさんは「Yくんのような人は日々、私たちにはわからないような苦労があるんだろうなと思いますが、結果的に危険なところを回避できるのではないかと思います。大抵の人はわからないでそのまま住んでしまうと思うんですよね…」と語る。
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回避したい場所にも郵便物があれば配達に行かざるを得ないのが郵便配達員だ。「読者からは『命より仕事を優先するのが日本人って感じ』と感想をいただいたこともあります」と、内情を明かした。「郵便屋が集めた奇談」は、読者から「こういう不思議で怖い話って好き」「けっこう背筋がゾクッとしたけど、めちゃくちゃおもしろい…!」と好評だ。日本のどこかの町でひっそりと起こっている“怪異”を覗き見してみよう。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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