11人組のグローバルボーイズグループ・INIの初のドキュメンタリー映画「INI THE MOVIE『I Need I』」が2025年10月31日に全国公開された。デビューから現在までの約4年間のメンバーの姿を映し出した本作品は公開前から話題となっており、公開から約2週間が経った現在もSNS上では「感動した」といった感想が後を絶たない。今回、ウォーカープラスでは後藤威尊さん・許豊凡さん・藤牧京介さんにインタビューを実施。劇中で描かれていたINIの葛藤や作品の裏話などについて話を聞いた。
これからの活動が映画になり得るような頑張り方をしなければならないと思った
――まずは、自分たちのドキュメンタリー映画が撮影・公開されると初めて聞いた時の率直な感想を教えてください。
【後藤威尊】映画がどういうものになるか想像もついていなかったですし、これから練習の風景とかいろんなところに全部密着してカメラが入るのかなと思うと、正直最初は「まじか」っていう少しネガティブな気持ちもありました。でも実際には「LAPOSTA 2025 SHOW PRODUCED by MEMBERS」のソロステージや「2024 INI FAN-CON TOUR [FLIP THE CIRCLE]」などイベントごとに終わってからすぐインタビューをしていただいて、それによって自分の気持ちの整理をした状態で次に臨むこともできたので自分のためにもなりました。インタビューのタイミングも本当に気を遣ってくださってストレスなくできたので、今となっては本当によかったなと思います。
【藤牧京介】全部言うな(笑)。
【後藤威尊】まあね(笑)。
【藤牧京介】僕としては、「本当に使えるのかな?」という感じでした(笑)。どこをどう使って完成するんだろう、ちょっと未知数だなって。でも威尊も言ったように、ライブが終わったあととかに「今日はどうでしたか」とその都度聞いてくれることはあまりないので、そういう時にライブで盛り上がっていた部分や会場で見た景色をあらためて自分で振り返るきっかけにもなりましたし、その大切さをすごく感じました。
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【許豊凡】今回の映画を撮影していただくにあたって、今のINIの活動にちゃんとストーリーを作ると言いますか、自分たちがしっかりと何かを成し遂げないと映画として成り立たないのではないかという不安もありました。なので、これからの活動がちゃんと映画になり得るような頑張り方を自分たちがしていかなければいけないな、と思いましたね。
――当初は不安を抱きつつも撮影に臨んだ「INI THE MOVIE『I Need I』」ですが、完成したものを見た感想はいかがですか?
【許豊凡】今までの出来事が時系列通りにひと通りきれいに入っていて、「こういうところも見せるんだ」と思った場面もありましたし、もちろんすべてではないんですが今までINIが感じた葛藤なども映し出されていたので、最近INIのファンになってくださった方も含めて「こういうことがあったんだな」と知ってもらえるような内容になっていると思います。
【後藤威尊】僕は本当に「鬼滅の刃」を超えたな、と思いました(笑)。
――ライバルは「鬼滅の刃」だったんですね。
【後藤威尊】そうですね、公開時期が近いっていうのもあったのでやっぱり意識した部分はあります。
【許豊凡】そんなに近くもないよ(笑)。
【藤牧京介】「鬼滅の刃」はちょっと前だしね(笑)。
【後藤威尊】でもそれくらい本当にわかりやすくて内容も濃くて、メンバー一人ひとりがどういう考えを持っていたのかを知ることができたし、早くいろんな人に見てほしいという気持ちがものすごく強くなりました。それこそファンの皆さんには絶対見てほしいですし、INIのことを知らない人でも楽しめる内容になってるのかなって。それくらい、自分たちのこれまでの歴史などをわかりやすくまとめてくださってたので、本当にたくさんの人に観てほしいと思いました。
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【藤牧京介】観終わったあとは、裏側をもっと観たいと思いましたね。というのも、メンバー一人ひとりインタビューをしていただいたのですが、使われていない部分もたくさんあるんですよ。
【許豊凡・後藤威尊】うんうん。
【藤牧京介】たぶんメンバー全員そうだと思うのですが、自分が話した100分の1くらいしか映し出されていなくて(笑)。だからもう、未公開映像も見たいなと思いました。もちろん映画自体は簡潔にわかりやすくまとまっていて、僕たちの思いも伝わるものになっていると思うので、だからこそもっと裏側を見たくなりました。
自分たちの道だけを進んでいても絶対いいグループにはなれない
――本当に「鬼滅の刃」を超えたら、ノーカット版の公開も期待したいですね。「INI THE MOVIE『I Need I』」では2024年5月頃から密着が始まっているようですが、その頃のINIは初の京セラドーム公演を成功させたあとで順風満帆なイメージがありました。一方で、映画の中ではグループやメンバー個々がそれぞれ抱える壁を乗り越えようとする姿が描かれています。このころを今振り返ってみて、いかがでしょうか?
【藤牧京介】京セラドーム大阪のステージに立たせていただいたことは本当にありがたいことですし、すごくうれしかったのですが、それは自分たちだけの力ではなくていつも応援してくれてるMINI(※INIのファンの名称)の力が大きかったなと思っています。だから自分たちの努力であのステージに立てたという実感があまり持てなくて、「立たせてもらった」という言いほうが正しいだろうなという気持ちがありました。そこから今までずっと、壁はずっと立ちはだかっている感覚です。もちろんその中でミリオンだったり、すごくありがたい賞をいただいたりする機会というのもあるのですが、だからといってそれで壁を乗り越えたという意識ではいたくないなと思いますね。INIとしてどういうグループになっていきたいか、自分たちの見せ方をどうしたいかみたいな悩みはずっとあって、少しずつ登っている段階だと思います。
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【後藤威尊】今言ってくれたとおり、ドームに立てたことやCDの売り上げみたいな面ってやっぱりMINIのみんなが頑張ってくれた結果という認識のほうが強くて。自分たちの実力やカッコよさを追求したうえで、自分たちの音楽で勝ち取ったものってまた別の指標な気もするんです。それこそリスナーの数だったりとか、そういう部分はデビュー当初からずっと一定ではあるなという認識がみんなにもあったので、自分たちの音楽をもっとたくさんの人に届けていきたいという思いはメンバー全員が持っていると思いますね。
――今の話にもありましたが、「INIはまだ世間には広く知られていない」という共通認識、ある種の焦燥感のようなものをメンバー全員が抱えている姿が劇中でも映し出されていました。この思いはいつ頃から芽生え始めたものですか?
【許豊凡】特に何かきっかけがあったわけではなく、ずっとあるものだと思います。アーティストとして生きていれば誰が何を言わなくても自然と感じることですし、音楽番組とかでいろんなアーティストと共演するたびに差を感じたりもします。「あ、この曲流行ってるな」みたいなことは、わざわざ世間の反応を受け取ろうとしなくても自然と感じてしまうものですね。
――ミリオンにドーム公演など、今まで成し遂げてきた功績を見ればINIが十分に素晴らしいグループであることは間違いないのですが、それでもまだ現状に満足していてはいけない、という意識があるんですね。
【藤牧京介】今って本当にいろんなグループが出てきてるので、嫌でも比べてしまうんです。さすがにそれを気にせずに自分たちがやりたいように、自分たちの道だけを進んでいても絶対いいグループにはなれないし、もちろん他と比べて劣等感ばかり抱いていたらよくないと思いますけど、どうしても数字って目に見えるものなので、この業界にいる以上ある程度は比べることも大切だと思います。ドームに立たせてもらったことは本当にありがたいですし、すごく幸せな瞬間だったのですが、世間に知られるアーティストになりたいという思いはまた別軸でもあるので、現状に満足しないように意識はしていたいです。
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――メンバー共通で感じている課題と向き合ってきた中で、今まで以上に世間に知られるために必要なものは何なのか、その答えにはもう辿り着いているのでしょうか?
【藤牧京介】答えに辿り着くのは、まだまだ先だと思います。ただ、やっぱり自分たちのクリエイティブ力みたいなものは絶対あったほうがいいと思っていて。自分たちがやりたい楽曲をできて、それが認められた時が一番うれしいです。今応援してくれてるMINIの皆さんやINIを知らない人たちがどういう楽曲を好きなのか、それを反映させながらクリエイティブに携わることができたら一番いいなと思いますが、今はまだけっこうざっくりとした提案しかできない状況なので、そこがもっとできたら理想に近づいていくのかなと感じていますね。
よりファンの皆さんにフォーカスした“MINIのためのツアー”になった
――クリエイティブの話になりますと、2025年はアルバム・ツアーを通して「Pineapple Juice」を推してきたということが劇中でも描かれていましたよね。
【許豊凡】実は「Pineapple Juice」を映画であそこまでフォーカスしていただいたのは、ちょっと意外だったんです(笑)。
【藤牧京介】僕もです(笑)。
【許豊凡】クリエイティブに関しては今までにもいろんなことをやってきたので、作詞や振付にメンバーが携わった曲は他にもたくさんありますし、「Pineapple Juice」はその中の一部という感覚ですね。でも、もちろんあの曲を通じて「実はメンバーがこういうこともやってますよ」と知ってもらえるのはすごくうれしいです。
【藤牧京介】「Pineapple Juice」はもちろんメンバーみんな好きでしたし、推していきたいねという話もしていたのですが、タイトル曲ではなかったのでなかなか難しい部分もあったりして。メンバーそれぞれがいろいろとチャレンジしてきた中のひとつ、ということが伝わったらうれしいです。
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――今までメンバーが作詞作曲や振付に関わってきた中で、2025年最新のINIのクリエイティブを端的に表す曲としては、代表曲だったということですよね。
【後藤威尊】振付にも作詞にもメンバーが関わっていると考えると、確かにそうですね。曲を選ぶ段階でも満場一致でしたし。
【許豊凡】映画では、人によって観え方が変わってくる部分もあったかもしれません。だからこそいい意味で、映画に映し出されていたすべてを重く受け取りすぎず「INIにはこういう出来事がありました」くらいの感覚で観ていただければと思います。
――今回の映画の中で、特にがっつりと密着されていたのが「2024 INI FAN-CON TOUR [FLIP THE CIRCLE]」かと思います。これは、どのようなツアーだったのでしょうか?
【後藤威尊】今までやってきた「2022 INI ARENA TOUR[BREAK THE CODE]」や「2023 INI 2ND ARENA LIVE TOUR [READY TO POP]」とは違って、よりファンの皆さんにフォーカスした“MINIのためのツアー”になったのかなと思います。それと同時に昔からINIに携わってくださっているKyoさんが演出してくださって、自分たちのやりたいことにも挑戦させてもらえましたし、メンバー一人ひとりがフォーカスされたライブにもなりました。ファンの皆さんとの距離も近かったので、より絆が深まったと思います。
――このファンコンサートツアーで、特に印象が深かったことはありますか?
【藤牧京介】大阪・万博記念公園での公演は今までフェスとかでよく立たせてもらっていたステージだったのですが、平面の会場なので見渡す限りパンパンにお客さんがいて、しかもそれがフェスとは違って全部MINIだったというのがすごく新鮮でした。屋内公演とは違って派手な照明の演出とかもないし、お客さんとの距離も近い分、普段とは違う景色が見られたので、初めての野外でのワンマンライブは楽しかったですね。あと自分は初めて出身地の長野で凱旋ライブができたので、それはやっぱりうれしかったです。
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――凱旋ライブって、やっぱり気持ち的にも気合いが入るものなのでしょうか?
【藤牧京介】気合いが入る…と思っていたんですけど、なんか恥ずかしくて(笑)。
【許豊凡・後藤威尊】(笑)。
【藤牧京介】いざ凱旋ライブをやったら「こっ恥ずかしいなぁ」という感じで、ちょっと思っていたのとは違いました(笑)。もちろん幸せな気持ちだったんですけど、恥ずかしさがありましたね。長野だからなのか、なんかいつもより見られてる気がするなって。考えすぎだと思いますけど(笑)。またやりたいですね。
【許豊凡】全11都市を巡ったのですが、映画チームが全都市・全公演に来てくれたんです。僕たちよりも早く会場に入って最初から最後まで撮影してくれて…それがすごいありがたかったですし、監督さん含めて映画チームの熱い気持ちを感じました。今までのツアーだと、地方に行って東京に帰って仕事してまた地方に行ってみたいな感じだったんですけど、「FLIP THE CIRCLE」は公演が終わったらそのまま次の都市に行くようなスケジュールも多くて、スタッフさんとメンバーとみんなで一緒に周るというのがすごく思い出に残りましたね。あとは本当に超個人的な話なんですけど、「FLIP THE CIRCLE」の前後で僕の体重がけっこう変わって、激痩せしました(笑)。たぶんこの映画を通じて、前半と後半の顔つきが全然違うと思います。
――それは、いい痩せ方だったんですか?
【許豊凡】はい、いい痩せ方でした!「FLIP THE CIRCLE」でいい汗をたくさんかいて、自然に絞れました。
すべてのマイナスな感情がライブやってる時はなくなって心の底から幸せになれる
――映画の中でも印象的だったのが、藤牧さんがリーダーの木村さんとすれ違ってしまったことがあるというエピソードです。この時のことをあらためて振り返ると?
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【藤牧京介】映画の中でも話していますが、リーダーに頼りすぎていた部分があったと思います。当時は「グループとはこうあるべき」という思いがすごく強くて。でも言ったほうがいいことと言わないほうがいいこと、言うにしても言い方に気を付けなきゃいけないという部分をすごく考えているリーダーだから、当時はそこをもどかしく感じてしまったんですね。その結果、「グループはあなたがまとめてくれないと!」というマインドになってしまっていたので、そこは本当によくなかったなと思っています。
――その経験を経て、自分の中で変わったことはありましたか?
【藤牧京介】良くも悪くも、考えすぎないようにはなりました。今思えば、人のことを考えるより自分のこと考えるべきだったなって。自分と見つめ合ったほうが自分にとってもいいなと気づけたので、少し経ってから柾哉にも「気負いすぎないでね」と伝えました。その時、柾哉も「まずは自分と向き合いたい」みたいなことを言っていたので、自分のことだけ考えていればいいよ、という話をしたのは覚えてます。まずは自分がいろいろと動いてそれがチームのためになればいいなというマインドに変わりました。
――いきなり集められた11人が同じグループとして活動する中で、後藤さんと許さんも似たような経験があったのではないでしょうか?
【後藤威尊】僕は、これまで自分のことでいっぱいいっぱいだったところがあって、京介とか柾哉ほどグループのことに対して気が回ってなかったのかなとは思います。どちらかというと「自分はグループに対して何ができるんだろう」と悩むことが多かったのですが、「LAPOSTA 2025 SHOW PRODUCED by MEMBERS」のソロステージを経て最近はそれを見つけつつあるので、これからは自分が言うべきところはしっかりと言って、少しでもグループの力になれたらなと思います。けっこう気を遣うタイプではありますが、何も言わないというのも無責任だと思うので、一歩引いて俯瞰しながらいい塩梅で言っていきたいです。
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【許豊凡】僕は、最初の頃は出身地などの関係で自分の中でいつの間にか1対10という構図が強くなってしまっていて、それが自分の首を絞めていたような気がします。でも正直に言ったらもっと変な感じになってしまうんのではないかという不安もあって、いつの間にかそのことから目を背けるみたいな姿勢になってしまっていました。でも、それがどこかのタイミングでよくないなと気づけたんです。「みんなが理解してくれない」と思っていたのも考えすぎだったし、この違いこそが自分としてもINIとしても武器にしていける部分だなって最近すごく思ったので、そこの心境の変化はありました。
――ありがとうございます。それでは最後に、最愛の存在であるMINIについて聞かせてください。今回の映画の中でも、MINIに対する深い愛がメンバーの皆さんの口から語られていたかと思いますが、どんな時にMINIの大切さを実感しますか?
【藤牧京介】僕は、やっぱりライブですね。さっきもインタビューの中で触れたような、自分たちにとっての悩みや葛藤から解放される瞬間なので、この活動をしていて一番の楽しみがライブですし、自分にとってすごくありがたい時間です。この業界にいると、どうしても他のアーティストと比べないわけにはいかないし、本当に悩みは尽きなくて。そういうすべてのマイナスな感情がライブをやってる時はなくなって心の底から幸せになれますし、MINIの大切さやありがたみを感じられる時間だと思います。
【後藤威尊】僕たちのライブもそうですし、夏のフェスなどに暑い中で足を運んで大きな声を出して応援してくれたりとか、CDの売り上げやSNSで盛り上げてくれたりとかも含めて、とにかく日頃からたくさんの愛をもらっているということを常に感じています。映画の中でMINIのみんなが泣きながらINIの魅力を話してくれているシーンがあって、そういうのを見ると「こんなに愛されてるんだな」と泣きそうになったし、あらためて大切にしたいなって思いましたね。
――MINIにとってINIがどんな存在でありたいと思いますか?
【許豊凡】MINIから深い愛を受け取る機会が多い分、MINIの皆さんも元気になりたい時にふと僕たちのことを思い出して、僕たちの存在が頑張れる力になったらうれしいですね。MINIの皆さんにそっと寄り添う存在になれたらなと思います。
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