
炎上狙いで記事を投稿する記者。その投稿が元凶で、今度は自分が過剰なバッシングを浴びることになる。軽い気持ちで書き込まれるSNS界隈の誹謗中傷。それがもしも現実化してみたら?という奇妙な世界を描いた創作漫画、森本大百科(@mdaihyakka)さんの「炎上」は、「可視化すると怖い」「誹謗中傷する人に読んで欲しい」などの声とともに3万いいねがつく。昨今のネットリテラシーを問いかける話題作について、本作を描くきっかけなどを森本大百科さんに伺った。
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リアルで言われたら「ゾッとする!」SNS炎上の言葉の暴力を可視化



今作「炎上」はインターネット上で頻発する炎上現象を、現実世界に落とし込んだ異色の作品。ある日、1人の記者がカフェで炎上を誘発する記事を投稿すると、突然見知らぬ女性が駆け寄って来て「今、あそこの女子高校生があなたを気持ち悪いって笑っていたわよ!?」と大声で告げられた。「なんでこの人…わざわざそんなことを言いに…?」と、全く面識のない人物からの予期せぬ言葉に記者は困惑する。
さらに、女性は他の客に向けて同じ内容を大声で叫ぶと、店内にいた人々は瞬く間に拡散と批判を始める。記者は異様な雰囲気に耐えかね店を飛び出すが、道行く人々からも容赦ない非難を浴びせられ、執拗に追い回されてしまう。見ず知らずの人から、なぜこんな仕打ちをされているのか見当もつかず、記者は必死に逃げ惑うのであった…。
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作者の森本大百科さんは以前、業界関係者が書いたネットニュースの記事で「人の悪口を聞いてしまって腹がたった」という内容の記事を読んだ経験が、今作を描くきっかけになったと明かす。「悪口を言っていた人の名前は伏せて、悪口の標的にされた人の名前を伏せていませんでした。その記事のせいで『聞かなくていい悪口が、本人に届いてしまうやんけ』と、ずっと引っかかっていました」と振り返る。今作はその出来事をアナログに置き換えて描いたと話してくれた。
顔が見えないネットの世界では、無責任な批判が交差し、被害者への攻撃に加担しているという自覚が薄れがちだ。今作を通じて、ネット上で批判に晒される人々の心情を追体験できたら、現代社会におけるネット炎上の問題点を改めて認識するきっかけとなるだろう。
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取材協力:森本大百科(@mdaihyakka)
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