
郵便配達員たちは毎日、町の隅々まで郵便物を配達している。そんな現役の郵便局員が、実際に経験した不思議な話や怖い話を漫画化したのが『郵便屋が集めた奇談』だ。作者は、現役の郵便局員である送達ねこさん(@jinjanosandou)。同僚たちが体験した話を漫画化していくうちに、送達ねこさんのもとには他局からも体験談が届くようになっていった。今回紹介するのは、東北の郵便局員・宮澤さんから届いた、少し不思議なエピソードだ。
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「激エモ」な田舎に転勤…都会っ子が出会った「神友」



東北にあるA局は、美しい山々の稜線を望み、優雅に流れる川をバイクで行き来する、のどかな田舎の郵便局だった。都会から若手の局員・スエ君が転勤してきたが、周りの同僚の心配をよそに、彼は田舎の風景を新鮮に感じた。「激エモ」「オニやべぇ」「最高かよ」と、地元の人たちが見向きもしない“日常”を満喫していた。
そんな彼の一番のお気に入りが、配達エリアに立っていたお地蔵さんだった。「マジ神」とリスペクトし、ツーショット写真を撮っては「神友」と呼んでいた。このエピソードは、都会っ子の彼が地元の人たちからも忘れられた存在のお地蔵さんに出会い、不思議な事件に遭う話である。
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「夜勤者は心霊注意」…漫画が変えた局員の認識
本作『お地蔵さんと都会っ子』について、送達ねこさんに話を聞いた。この体験談は、東北の局から届いた話だ。「読者さんから感想と一緒に『自分も不思議なことがあって…』と届きます。漫画には会社で働く人の苦労や悩みも織り込んでいるので、話しやすく感じてくださるのかもしれません。スエ君の話を聞かせてくださった宮澤さんも、初めは漫画の感想をくださった方です」と、情報が集まる経路を明かした。
この体験談を漫画化して公開した後、A局から届いた後日談について、「スエ君がお地蔵さんに救われたことには宮澤さんは半信半疑だったが、漫画を読んで思うところがあったそうです」と語る。宮澤さんは、何もない田舎に配属された若手が辞めてしまうのではないかと心配していた。しかし、都会から来た若者にとって、お地蔵さんは楽しい田舎生活の友達として「救い」になってくれていた。「そう思って、今では宮澤さんもお供えをしているそうです」と、心境の変化を明かした。
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送達ねこさんのもとには、連載当初から不思議な体験談が集まってきていたが、初めはほとんどが関東周辺の話だった。それが、今では北海道や関西からも届いているという。さらに、Xで連日怪談をあげる企画をしたところ、漫画へのリプライとして不思議体験が寄せられた。
寄せられた体験談には、「夜勤者には心霊現象に注意する申し送りがあるよね」「うちの局では交差点で赤ん坊を見たら最寄りの神社へ入れと言われてる…」など、郵便局員ならではの証言が含まれていた。「興味深いリプは私もどんどんリポストで紹介しました」と語る。
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『郵便屋が集めた奇談』は、読者から「こういう不思議で怖い話って好き」「けっこう背筋がゾクッとしたけど、めちゃくちゃおもしろい…!」と好評だ。日本のどこかの町でひっそりと起こっている“怪異”を覗き見してみてほしい。
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