
右耳難聴や子宮内膜症など、自身の体験をコミカルな漫画で描くキクチさん(@kkc_ayn)。母親の自宅介護と看取りがテーマのコミックエッセイ『20代、親を看取る。』は大きな反響を集めた。
母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れてしまう話だ。母の介護経験から落ち着いて対応できることは増えたものの、一人っ子として頼れる家族がいないキクチさんは、様々な決断を迫られる。今回は、病状が好転しない父親の医療費という現実に直面するエピソードを届ける。
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ICUの恐怖と「来月の不安」…3日で11万円の現実




予断を許さない父親の容体を危惧し、「新薬だろうが何だろうがお金はいくらでも払う」と願ったのも束の間、キクチさんは病院で請求書を渡され、医療費という現実に直面する。「さすがに11万円という数字を見たときはショックが大きかったです。しかも実の親であれ、他人の銀行口座やクレジットカードは使えないので、医療費や入院費を支払うのは私。貯金があるとはいえ、3日でこの額面なら来月どうなってしまうのだろうという恐怖でソワソワしました」と、当時の心境を語る。
ICUは高度な医療のために高額になるため、キクチさんはすぐに国の制度などを調べたという。マメな父親が各種書類をきれいにファイリングしてくれていたおかげで、必要な情報を得やすかったと振り返る。
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クリスマスイブの猛ダッシュ…「がん保険」と不安の対処法
キクチさんは不安への対処法として、「先行きが見えないとすぐに不安になってしまうタイプで、特にお金については見通しを立てておきたいと思っていました。父が何歳まで生きた場合にどのような生活を送ることができるのかシミュレーションをすることで、ある程度は不安を取り除くことができました」と語る。また、保険の書類や通帳などを家族間で共有しておくことが、いざという時に役立つと助言する。
父親の保険内容を確認するため代理店へ向かったキクチさん。父親の契約は「がん保険」だったが、現時点ではがんと確定していないため、保障を受けられない可能性も出てきた。「保険の代理店へ行った日はクリスマスイブ。街がハッピームードのなか、私は商店街を自転車で爆走して、一刻も早くお金の不安を取り除きたいという必死な思いで向かいました」。
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保険担当者は「がんじゃないことが一番いいけど、もしがんだと診断されたとして、負担額や保障のシミュレーションしてみましょうか」と気遣いながら対応してくれたという。
家族が病に倒れた場合、病気だけではなく医療費や保険といった問題とも向き合わなければいけない現実が描かれた今回のエピソード。つらい状況も淡々と、時にクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画を、今後も楽しみにしたい。
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