2025年7月29日~10月15日(水)まで、サンズ・チャイナは「Art Macao 2025」に向けて、2つの活気あふれる展覧会を開催。ひとつは特別展「Dopamine:Fountain of Happiness」そして関連展「“Beyond the Frame:国際現代名作展」を実施。この特別展では、アジア・ヨーロッパ・アメリカの著名な現代アーティストたちが集結し、古代ローマ神話の永遠の美をそれぞれの創造的なスタイルで再解釈。
さらに世界で愛されている「セサミストリート」と融合をさせ、魅力的な展示を行っている。そんな「Art Macao 2025」に、アーティスト、そしてイラストレーターとして活躍中の日本人アーティスト・Jun Osonさんが参加。今回初めてマカオに来たというJun Osonさんが、展示が決まった際の心境や、アーティスト業の大変さ、さらにテーマである“幸せ”について語った。
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「僕が辿ってきた流れがわかるような展示に」
――まず最初に、今回の「Art Macao」への参加が決まった際の率直なお気持ちをお聞かせください。
【Jun Oson】マカオは2021年にもグループ展で参加をしたことがあるのですが、その時は数点作品を送っただけで、コロナ禍だったこともあり、マカオに来ることができなかったんです。ですが、今回はこうやってマカオに来ることもできてすごくうれしかったです。
――今回の作品のポイントはどこにあるのでしょうか?
【Jun Oson】ザ・ベネチアン・マカオの前の彫刻作品と、サンズギャラリーにも作品を出展しているのですが、どちらも方向性が全く違うんです。彫刻作品のほうは、まさにセサミストリートとのコラボで、先方から古代ローマとセサミストリートを掛け合わせたものを基本のテーマとしていただき、そこから自分なりの解釈を加えました。古代ローマということで伝統的な感じにしたくて、大理石っぽいデザインに仕上げています。
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【Jun Oson】サンズギャラリーの関連展は、部屋を割りふられ、そこの中で自由に展示ができ、こちらはセサミストリートと絡めなくていいとのことだったので、今までやってきた作品と、最近は油絵をやっているので、アクリル絵の具の作品と油絵の作品を同時に展示しています。僕が辿ってきた流れみたいなものがわかるような展示にしていますね。
――どのくらいの時間をかけて作成をしたのでしょうか?
【Jun Oson】彫刻のほうは、2、3週間アイデアを練りました。それと同時に絵も描いていたので、トータルで1カ月くらいで完成させたと思います。
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人気なキャラクターとのコラボは多数、気をつける点は“告知の仕方”
――古代ローマを再解釈とのことですが、テーマがなくイチから作りあげるときと、再解釈などといったテーマがあるときは、どちらのほうが難しさを感じますか?
【Jun Oson】僕自身はイチから作りあげるほうが大変だと感じます。何でもいいが困るのと同じですね。その分、再解釈はベースがあって、今回はセサミストリートと、さらに古代ローマとの融合だったので、方向性もかなり定まりましたし、そこまでテーマをいただくと先方が求めているものも想像しやすかったです。
――個展だとイチから作りあげる機会が多いですよね。
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【Jun Oson】そうですね。今回のグループ展のほうは、好きにしていいとのことだったので、すごく大変だなと思っていました。
――セサミストリートとのコラボとのことなのですが、セサミストリートとの思い出などはありますか?
【Jun Oson】若い方のほうがセサミストリートと馴染みがあるのではないかなと思います。僕が幼少期のころはほとんど馴染みがなくて、大人になってから深く知った気がします。お菓子のパッケージに描いてあるとか、そういうところで見ていた記憶がありますね。
【Jun Oson】あとは、2024年もセサミストリートの特別アート展のほうに作品を出展させていただいて、今になって、とても身近な存在に感じる場面が多いです。
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――セサミストリート以外にも、初音ミクやETなど世界的に人気のあるキャラクターとのコラボを多くされている印象なのですが、人気なキャラクターを描く際に、どんな点に気をつけていますか?
【Jun Oson】少しでも否定的な雰囲気に描いてしまうと、それを見た方の意見も否定的になってしまうと思うので、そこは気をつけています。あとは描く際ではないのですが、告知の仕方を気をつけています。
【Jun Oson】「似てないと言われたのですが…」などと記載しておくことで、そのうえで見ていただけるので、全員が作品をよいという時代ではない今、告知に工夫をするようになりました。
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コロナ禍でアートに投資をする人が急増、アーティスト業をするきっかけに
――Jun Osonさんは、2019年にイラストレーターからアーティストへの転身をされていらっしゃいますが、きっかけはなんだったのでしょう。
【Jun Oson】厳密に言うとアーティスト業が加わったという感じになります。そのきっかけはコロナ禍の時に行われた渋谷のDIESELアートギャラリーでした。それがかなり大きなギャラリーで。この仕事をいただく前までは、作品ってそんなに売れるものではないという印象だったのですが、コロナ禍だったこともあり、アートに投資をする方が世界中に増えたんです。
【Jun Oson】DIESELアートギャラリーに出した作品も、売れないだろうなと思いながら当時はインスタに投稿していたら、いろいろなところから連絡をいただいて、展示が始まるころには連絡を返すのが大変になるくらいメッセージが溢れていました。
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【Jun Oson】そうしているうちに、その展示期間中に香港やイギリスなどからも「展示しないか」といったご連絡をいただいて、知らない間にアーティスト業もやっていた、というのがきっかけです。
――では最後に、今回の「Art Macao」は"幸せ"というのもテーマに含まれているかと思うのですが、Jun Osonさんにとっての幸せとはなんでしょうか。
【Jun Oson】ちょうどこの間、動画サイトを見ていて、その動画の中で「幸せってなんだと思います?」という話をしているシーンがあって。なので、僕の言葉ではないのですが…。「幸せって幸せかって考えてない状態が幸せなんじゃないですか」とその方は言っていて、ほんとうにその通りだなと。"幸せ"を意識しない状態でいられることが1番の幸せなんじゃないのかなと僕も思っています。
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