昨今のサウナでは圧倒的多数になっているのが「サ黙」や「黙浴」。サウナ室では会話をせず静かに過ごすことが、多くの施設で一般的になっている。何も考えずボーッとできる、自分と向き合う時間になるなど、サウナ室内で静かに過ごすことは苦にはならないが、会話が楽しめるサウナもいいものだ。ということで、都心にあり、おしゃべりOK、男女での利用もOKという、ドロップインと貸切サウナのどちらも完備した「HUBHUB下北沢」に行ってきた。

下北沢駅から徒歩圏内にある移動式ユニットを活用したサウナ

「HUBHUB下北沢」は2023年にオープンした移動式ユニットを活用したサウナ施設。もともとはコインパーキングだった場所を“新たな賑わい空間に変えるプロジェクト”として誕生した。大きな特徴はサウナのほかに専用ヘッドホンをつけて観賞するサイレントシアター(別途料金)を併設していること。没入型映像体験ができるため、サウナと一緒に、あるいはシアターのみを楽しみに来る人も多い。
続きを読む

京王井の頭線・小田急線の下北沢駅から下北沢南口商店街を進み、代沢三差路から三軒茶屋に向って茶沢通りを歩いて行くと、突然、大きな“ユニット”が現れる。サウナを主張するような外観ではないので、うっかり通り過ぎてしまうかもしれない。


扉を開けるとモノトーンでおしゃれな雰囲気のフロントとロビーがあり、その向こうに屋外の休憩スペースが見える。外観からは想像もつかない。「HUBHUB下北沢」には3つのサウナ室があるが、曜日によって用途が変わるのが特徴。基本は男性専用のパブリックサウナA棟が1つ、貸切用サウナB棟とC棟の2つだが、毎週木曜日のレディースデーはB棟が予約不要の女性専用パブリックサウナとなる。

今回はB棟でサウナ体験。貸切については基本的には前日までに予約をすればOK。希望の日時に確実に体験したい場合は早めの予約がおすすめだ。さて、受付でタオルを受け取ったらさっそく移動。ちなみにB棟は最大6名120分、C棟は最大4名90分となっているので、人数や利用時間などに応じてチョイスしよう。
続きを読む


こちらではサウナ利用時、水着着用が必須。外気浴スペースが、壁はあるもののオープンになっているので裸は絶対NGだ。水着は持参するか、500円でレンタルも可。タオルは料金に含まれている。外気浴の際に、必要なら+500円でポンチョをレンタルすることもできる。こちらはマストではないが、これからの寒い時期や男女で利用する場合にちょっと気になるという人にはおすすめだ。もちろん、ポンチョも持ち込みOK。
レディースデーには女性専用パブリックサウナになるB棟


B棟のドアを開けて靴を脱ぐ。トイレと脱衣所があり、洗面台にはアメニティもひと通りそろっている。化粧水や乳液はもちろん、クレンジングや洗顔料、洗い流さないトリートメントまでそろっていて、まさに手ぶらでOK。ただ、ヘアブラシはないので持参を。男女で利用する場合、脱衣所は1カ所になるので順番に着替えを済ませよう。

脱衣所から浴室までは1、2歩。ドアを開けると目のまえに水風呂があり、シャワーが両サイドに設置されている。その右手に木の扉があり、ここがサウナ室。どんなサウナかワクワクしながら扉を開けると、ん?“床”も壁も木で、ロウリュ用のバケツが置かれているが、肝心のサウナストーブが見当たらない。
続きを読む

階段状の床を1段上がってみると、サウナストーブ見っけ!ここのサウナ室はサウナストーブが座面の下に設置されている。サウナストーブを上から見るのは新鮮。座面も広いので、椅子に座るような姿勢でもあぐらや体育座りでもOK。

さっそくロウリュをしてみる。自分がサウナストーブの上に位置してロウリュするとは。この姿勢もちょっと独特というか、ほかではなかなかない。上に蒸気が広がってくるのでロウリュをするときは奥から手前に水をかけるようにしよう。

ストーブの位置が低く、座面の高い位置に座っていることもあり、ロウリュするとすぐに蒸気が広がって熱さを感じる。けっこう、しっかり熱い!ということで、いきなり続けて水をかけずに、1杯かけたら様子を見て、“おかわり”をかけるかどうか判断を。とにかく1杯で十分体感温度が上がるのは間違いない。
サウナ室内にいる時間は自由で、自分の感覚で出ればいいのだが、中にいる時間がわかるように時計を設置している施設が多い。「HUBHUB下北沢」のサウナ室には時計がない。まさに自分の感覚で本能的に動けばいいということだ。さらに、サウナ室での会話もOK。友達同士やカップルで利用するときは、やっぱりおしゃべりは楽しい。サウナ室という密室は他愛のない話をするにも、ちょっとした相談や報告をするにもちょうどいいかもしれない。意外と会話が盛り上がるので、熱さをがまんしないように注意しよう。
続きを読む

しっかりサウナで温まったら、シャワーを浴びて水風呂へ。普段水風呂が苦手な人も、友達やパートナーと一緒なら、ちょっと試してみたくなるかも。これを機に水風呂デビューしてみるのもいいかもしれない。

水風呂のあとは、体を拭いて外気浴へ。気温が落ち着いてきた今の時期は外気浴も本当に気持ちがいい。下北沢という立地のため、外気浴スペースがどうなっているのか気になっていたが、タープが貼ってあるので外からの視線などは気にならないし、ポンチョやTシャツなどを着てもいい。
B棟には外気浴スペースにもうひとつのサウナが!

B棟にはもう1つサウナ室がある。外気浴場にあるこの扉、実はサウナ室。この扉の向こうにあるのは、最初のサウナ室とはちょっと違ったコンパクトなタイプ。


ドアを開けるとすぐサウナストーブがお出まし。こちらは先ほどとは違って、サウナストーブの横に向かい合って座れる場所がある。詰めて座れば片側に3名ずつ座れるぐらいのサイズ感。
続きを読む


こちらもロウリュOK。ちょっと変わった形のラドル(柄杓)で、ゆっくりと水をかけていく。ロウリュは蒸気で体感温度を上げるだけでなく、この音も魅力。癒やされるというか、浄化されるような感覚が気持ちいい。“無”になれるという人もいるが、“無”にならずとも、なんとなく体の力が緩められるような感じがする。
サウナ→水風呂→外気浴をコンパクトな動線で堪能できるのがいい。しっかり堪能したらサウナタイム終了。複数で利用する場合はシャワーや着替え、ドライヤーなどを順番に使うなど工夫して時間内にチェックアウトしよう。毎週木曜日のレディースデーはB棟が女性専用パブリックサウナになり、予約せずに入れるようになるので1人で利用したいときにはレディースデーがおすすめだ。
自分の好きな香りでロウリュが楽しめるC棟


もう1つの貸切サウナC棟もご紹介。こちらはお好みのアロマをプラスして楽しめる。受付で白樺、ヴィヒタ、グレープフルーツ、白檀の4種から好きな香りを選ぼう。香りの種類は変更になる場合もあるが、好きな香りでサウナを楽しめるのはうれしい。
続きを読む



C棟は体験していないが、これはまた違った楽しさがありそう。外で入る水風呂も今の時期は気持ちいいはず。外気浴でもみんなで一緒にのんびり過ごせるのはいい。外気浴スペースはドアと壁1枚で仕切られているだけなので、会話OKではあるが、楽しさのあまり大きな声にならないように注意しよう。
やっぱりちょっとうらやましくなる!男性専用のA棟


男性専用のサウナ室も特別に紹介する。こちらは予約不要で、誰でも入れる“ドロップイン”タイプのサウナ室。ちょっといいのは、温かいお風呂があること。最後にゆっくりお湯につかれるのはいい。

外気浴スペースにはととのい椅子とベッドタイプもあり、しっかり休憩できる。さらに、毎週月曜日のメンズデーはB棟も男性専用になるため、A、B棟が男性利用になる。両棟の外気浴スペースをつなぐドアが開放され、外気浴スペースから行き来できるように。なんともうらやましい!女性が同じように使える日もぜひ実施してほしい。
続きを読む
サウナの前後に利用できるシアタールームとガーデンカフェ

サウナ後はシアターエリアかガーデンカフェスペースでサ飯タイム。ガーデンスペースでは今後BBQができるようになる予定だが、先駆けてこの秋からフードメニューの提供をスタートした。サクッとサ飯を食べたいというニーズにぴったりの豆乳を使ったメニューを、2025年11月11日(火)まで提供する。豆乳には豊富な植物性タンパク質と、セロトニンを作り出す必須アミノ酸であるトリプトファンが含まれている。サウナ後に取り入れることでより深いリラックス効果が期待できるそうだ。

現在、提供されているのは「豆乳バターチキンカレーつけうどん」、「豆乳ビーフキーマつけうどん」、「豆乳ごまサバ冷や汁うどん」(各1000円)の3種。下北沢はカレーの街としても知られ、2025年も10月9日~26日(日)まで「下北沢カレーフェスティバル2025」が開催されているほど。カレーを使ったサ飯は下北沢らしい。
続きを読む

カレーと豆乳の相性はよく、「豆乳バターチキンカレーつけうどん」は甘味とコクの中に豆乳の優しい味わいがプラスされているが、わりと辛さを感じる。スパイスに程よく食欲をそそられ、具材がたっぷり入っているので食べ応えも十分。

「豆乳ビーフキーマつけうどん」は、スパイス感はあるものの、辛いという感じではなく、むしろ食べやすい。豆乳がまろやかに味をまとめていて、肉もしっかり感じられて食べ応えは十分。個人的にはかなり好みの味で、辛いカレーが苦手な人にはこちらをおすすめしたい。味覚が研ぎ澄まされた(?)サウナ後に、スパイスの香りと風味が心地いい。

和食のようなさっぱりしたものを食べたい人には「豆乳ごまサバ冷や汁うどん」がおすすめ。サウナ後の温まった体に染み渡る。サバの旨味と豆乳の相性がいいのも新たな発見で、辛味が苦手でなければ途中でラー油をかけて味変すると、変化した味わいも楽しめる。

逆に辛さが好きな人はラー油多めで最初からガツンとした味にしてもいい。カレーのスパイス感とは違った辛味が楽しめる。
続きを読む


サ飯を食べて、ちょっとだけだらっと休憩して終了。もはやこの時点では下北沢という都心部にいたことも忘れるぐらい、リラックスできた。ちなみに、サウナ前後にシアターやガーデンカフェスペースで過ごす時間はサウナ利用時間に含まれないので、食事だけでなく、読書やちょっとしたワークスペースとして利用することもできるそう。
普段は静かに入るサウナだが、サウナ室内でおしゃべりできるのは貸切だからこそ。女子会でも、ミニ同窓会でも、デートでも、友達同士やカップルで集まる場所として、「HUBHUB下北沢」のサウナという選択肢を激推ししたい。
取材・文=岡部礼子
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
記事一覧に戻る