
婚活中にマッチングアプリで年下男子のこうきと出会ったアラサー女子のアイコ。見た目もよく大手IT企業勤めの彼に期待を寄せたのも束の間、初デートの食事で「1円単位のワリカン」を提示され、衝撃を受ける。古い価値観を引きずるアイコと、合理主義の理系男子・こうき。一見わかりあえない二人が、恋を通じて互いの価値観をアップデートしていくラブコメ作品『「女はおごられて当然」と思ってる昭和引きずり女が、婚活した話』(以下、本作)の作者、コニシ ナツコさんに制作秘話を聞いた。
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「奢り・奢られ問題」から始まった真逆の価値観


本作は、タイトルにある通り「奢り・奢られ問題」からスタートしている。作者のコニシさん自身もこの問題に悩んだ経験があり、巷でもよく話題になることから、「真反対の考えのキャラクターが出会い、お互いの主張をぶつけ合うのはおもしろそうだな」と思ったのが始まりだという。
アイコのような昭和な価値観の女性と、合理主義のこうきが、どのように歩み寄っていくのかは、ストーリーを進めるうえで重要な要素だった。コニシさんは、「奢られたい」と思う女性はどんな子か、「奢りたくない」と思う男性はどんな人か、そしてその二人が価値観を変えるにはどんな出来事が必要か、と想像を膨らませながらエピソードを考えていったと語る。
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論破王・こうきを生み出す思考法
作中には、こうきが合理的な思考で相手を論破するシーンがたびたび登場し、読者にスカッと感を与えている。たとえば、同棲のための部屋探しで不動産会社が「先週内見した人がいる」と嘘をついたとき、こうきは「昨日新着として出ていた物件なのに、先週内見に来た人がいるわけがない」と即座に見破っている。
こうきの論破シーンのセリフは、コニシさんがいつも精査している部分だ。論理的思考の強い読者に「そんなふうに考えないよ」と思われないよう、「こうきだったらこの場面でなんて言うかな?」と、こうきになりきって考えるようにしているという。それでもこうきの思考がいまいちわからないときは、Chat GPTに聞くこともあると、意外な制作秘話を明かした。
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また、同棲のための部屋選びのエピソードでは、桜が見える部屋をアイコが気に入ったものの、事前に決めた条件に合わなかったためこうきの判断で断念するシーンがある。このときのこうきの「毎日の生活と年に1度しか咲かない桜どちらが大事です?」という言葉に、共感した読者も多い。
コニシさんは、個人的には家選びは第一印象や「なんかいいな」という抽象的な感覚も大事だと思っているという。こうきにツッコまれそうだが、最初に決めていた優先順位を無視して桜で決めるのはよくないだろうと語った。
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「こんな男絶対嫌!」と思っていたアイコが、固定観念を覆してくる年下の彼の言動にいつしか惹かれ始め、変わっていく様から目が離せない本作。婚活の参考になる描写も多いので、結婚を考えている人も読んでみて。
取材協力:コニシ ナツコ(@natsukoni81)
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