
漫画家・魚田コットンさん(@33kossan33)の自伝漫画『スカートの呪いが解けるまで』は、幼少期に受けた性被害のトラウマと、その呪縛からの解放を描いた作品だ。小学校低学年で見知らぬ男性にお尻を触られた痴漢被害、さらに小学校高学年時には、母親の再婚相手である義父が深夜に布団に入ってきたという、赤裸々な経験を綴っている。
※本作にはセンシティブな表現があります。閲覧には十分ご注意ください。
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結婚し、自身も子どもを持つ親となった今でも、性的な視線への敏感さは消えず、「自分の娘にはスカートを履かせたくない」と作品内で告白。同作の制作経緯や込めた思いについて、魚田さんに話を聞いた。
痴漢被害を訴えても「バカにした口調」で返された幼少期



魚田さんの性被害に対する違和感は、幼少期から始まっていた。園児のころからスカートやフリフリのワンピースといった「かわいい女の子像」を押し付ける祖母や母親の好みを受け入れられず、心の中では嫌悪感を抱いていたという。
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痴漢被害が起きたのは小学校低学年のころだ。健康ランドのゲームコーナーで遊んでいた魚田さんは、子連れの男性に声をかけられ、お尻を触られた。隣の友達や男性の子どもも気づかない状況で、魚田さんは何も言えなかった。
この出来事を母親に話すと、「ホントに触られてた?」「ちょっと触られただけやろ」と、母親はバカにした口調で返した。洋服の好みも痴漢被害も受け入れてもらえなかったことで、「わざわざ言うことじゃなかった」と魚田さんは自分自身を恥じた。こうした出来事により、母親との関係性の中で被害を言い出しにくい環境が作られていったという。
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一生忘れられない義父の性的虐待というトラウマ
追い打ちをかけたのが、母親の再婚相手による行為だ。小学校5年生の深夜、義父が突然布団に入ってきたことは、魚田さんにとって一生忘れられないトラウマとなった。義父は母親のいない隙を狙い、何度も魚田さんに触れたり、近づいたりを繰り返したという。
ブログでエッセイ漫画を描き始めた当初から、魚田さんは「つらかったこと」を漫画にしたいと強く考えていた。特に描きたかったテーマが、ブログで紹介していた「母の再婚相手が色々とアウトだった話」だった。この話が『母の再婚相手を殺したかった~性的虐待を受けた10年間の記録~』として書籍化されたことが、今回の作品を描く大きなきっかけとなった。
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「誰も楽しい気持ちにならない」つらい体験を描く理由
「こんな重くてつらいだけの話を描いて、誰も楽しい気持ちにならない」と当初は思っていた魚田さん。しかし、ブログに同じような経験をした人たちからコメントやDMが寄せられ、魚田さんが結婚し子どもを育てている姿が、コメントをくれた人たちの希望になっているという言葉に逆に感謝と勇気をもらった。
この経験が「こういう漫画を描こう」と決意した決め手になったと魚田さんは語る。漫画として発信する力が持てなかった人たちに代わり、「こういう思いしたことあるよね」「つらかったよね」「でもさ、自分たちは全然悪くないんだよ」というメッセージを伝えるために、この作品を描いたという。
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取材協力:魚田コットン(@33kossan33)
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