漫画家グラハム子さん (@gura_hamuco)の息子くんが「最近、ゲームに負けるとA子に話しかける遊びが流行ってる」という話をしてきた。話しかけた姿をみて、笑って楽しむらしい。このような男子特有の会話や遊びをメンズトークという。今回は、グラハム子さんの「メンズトーク」を紹介するとともに話を聞いた。
「話しかけてどうするの?」→「遠くから男子が見てて、笑う」男子特有の遊びで女子を傷つける「メンズトーク」とは?【話を聞く】

おとなしい女子に話しかけるゲーム。それを遠くから男子が見て、笑う
今回紹介するのは、男子特有の会話「メンズトーク」について。たとえば「●人とやったぜ」「あいつボコした」などの男子特有の攻撃的、競争的なコミュニケーションを指す。「初めてメンズトークを知ったのは、水谷緑先生の『こころのナース夜野さん』(小学館)を読んでです。そこから興味を持ち、自分でもメンズトークについて調べていきました」と、グラハム子さんがメンズトークを知ったきっかけを話す。
「初めてメンズトークを読んだ『こころのナース夜野さん』では、暴力やDVをしてしまう加害者男性達の更生プログラムのお話でした。プログラムを受けていく中で、男性特有の生きづらさや、そうさせてしまう幼少期からの積み重ね、生きてきた社会・文化の影響に当事者も気づき、自分と向き合っていきます。」競争社会を生き抜くなかでも、資産、年収、学歴、仕事の能力、運動能力、女性遍歴などなど、自分が優位に立つための競争的、攻撃的なコミュニケーションはいまだにある。
ちなみに息子くんの仲間内では、「ゲームに負けるとA子に話しかける」という遊びが流行っていた。彼女のところに行って話しかけ、その様子を遠くから見て笑って楽しむのだとか。「それの何が楽しいの?」と聞くと、「みんなが笑ってると、楽しい気がしちゃう」と、息子くんは言った。
実はグラハム子さんは中学時代、同じような経験を持つ。当時は男子に「ハム子、かわいいね~」と、からかいの声をかけられる側だったという。このとき、ターゲットは普段から男子と絡んだりするような陽キャな子やかわいい女子は対象にならない。芋っぽい、おとなしい女子が狙われるため、された側はからかわれていることを知り、とてもみじめな気持ちになる。
「昔はただただ猛烈に不快だな、と思っていました。でもメンズトークが社会的な背景を持っていたり、男性の生きづらさの象徴である事を知ってからは、少し考え方が変わりました。不快なのはもちろん変わりませんが、メンズトークをしてしまう側も『根底には苦しさを抱えているのかもな』と。最近は『男らしさにも、いいものと有害なものがある』『それは社会の中で身につけてしまったものであり、今からでも変えられるもの』という価値観が少しずつ広まっていっていると思います。」大人になって考え方は変わったものの、同じように傷ついている子がいることに心を寄せる。
その後、息子くんには「『母さんも昔それをやられたことがあるけど、とても悲しくて惨めな気持ちになったよ、こんなこと誰にも話せなくて、家に帰って1人で泣いたよ』と自分の経験を伝えました。息子は静かに聞いていました。響いてくれているといいなと思います。」と話した。11歳という年頃の男の子は、母の声をどのように受け止めたのだろうか。
本作は、『娘がパパ活をしていました』を執筆中の出来事だった。女子高生たちがやっている「パパ活」についても、昔は「援助交際」と呼ばれていた。時代が変わっても名前が変わっただけで、根深い問題の中身はそう変わらないことに気づかされたという。
グラハム子さんはそのほか、オカルト研究者・角由紀子さんとタッグを組んだ『オカルト異世界ばなし』や『うちの夫は子どもがほしくない』(竹書房)、親に整形させられた実体験『親に整形させられた私が母になる~エリカの場合~』や『この街の誰かに嫌われています』『タワマンに住んで後悔してる』『夫の公認なら不倫してもいいですか?』など、多くの書籍を手掛ける。
取材協力:グラハム子(@gura_hamuco)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。