
右耳難聴や子宮内膜症など、自身の体験をコミカルな漫画で描いてきたキクチさん(kkc_ayn)。特に、母親の自宅介護と看取りをテーマにしたコミックエッセイ『20代、親を看取る。』は大きな反響を呼び、2023年に書籍化された。
新作コミックエッセイ『父が全裸で倒れてた。』は、母を看取ってから約2年後、今度は父親が病に倒れてしまう話だ。母の介護を経験したことで、冷静に対応できる部分は増えたものの、一人っ子として頼れる家族がいないなかで、キクチさんはさまざまな決断を迫られることになる。今回は、一人暮らしの父親と連絡が取れなくなり、心配して自宅へ向かう場面から始まる。
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真夜中の胸騒ぎと不安の連鎖




原因不明の父親の体調不良。母親を看取ってからも頻繁に会いに行き、病になる前は食欲もあったことから、キクチさんは最悪の事態を想定していなかったという。
病院での診断について、「気づかない内に新型コロナかインフルエンザにかかっていて、その後ウイルスは排出されたけど、後遺症が長引いているのではないか?ということでした。たしかに症状も微熱、喉の違和感、頭痛、倦怠感が主でしたので、納得感がありました」と当時を振り返る。
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胸騒ぎがして、夜9時半にパートナーと共に急遽実家へ向かったキクチさん。タクシーの中ではパートナーが「お義父さんって前も連絡とれないことあったし、携帯の通知に気づいてないだけだよ。何もなければ叱ってさ、すぐ帰ろう。それで後日病院連れていけば大丈夫だよ」と励ましてくれたという。キクチさんは、タクシーの時間がとても長く感じたと語る。
母のこともあり、「もし既に手遅れの状態だったら…」という想像も頭をよぎっただろう。しかし、「最悪の事態を想像するとパニックになりそうだったので、考えないようにしました。『体調がひどく悪化してベッドで寝込んでいるだけかもしれない。だったらまずは無事だけ確認して、それで翌日にでもすぐに病院に連れていこう』と、“最悪よりちょっと手前くらい”までを想定していました」と、当時の心境を明かした。
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手に汗握る展開で幕を開けた『父が全裸で倒れてた。』。つらい状況も淡々と、時にクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画は、今後も目が離せない。
取材協力:キクチさん(@kkc_ayn)
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