岩手県山田町に拠点を構える水産加工会社・石山水産が、地元の天然真鯛を活用した新商品「天然真鯛の贅沢茶漬」を開発した。150年以上の歴史を誇る同社は、近年漁獲量の増加傾向が見られる天然真鯛に着目し、この商品を手がけた。三陸鉄道とのコラボレーション企画として誕生した本商品は、三陸鉄道開業40周年の記念品として販売されている。
創業150年の老舗が新たな挑戦!三陸の海に起きている変化とは?「天然真鯛の贅沢茶漬」に込めた想い
三陸の味覚を手軽に堪能できる冷凍茶漬け
「天然真鯛の贅沢茶漬」は、三陸の海で水揚げされた新鮮な天然真鯛を贅沢に使い、解凍するだけで本格的な味を楽しめる冷凍商品だ。上品な甘みと深い旨味が特徴の真鯛は、皮目をさっとあぶることで香ばしさを加えた。味付けにはゴマだれをベースとした秘伝のたれを使用。単品でも十分においしいが、カツオと昆布の合わせ出汁をベースにした特製出汁をかければ、贅沢な茶漬けとして楽しめる。
急速凍結技術による高鮮度を実現
石山水産では、アルコールを用いた液体急速凍結機を導入している。これにより魚の細胞を壊すことなく冷凍でき、獲れたてのような鮮度や見た目、味を保ったまま家庭に届けられる。熟練の目利きと長年の技術、そして最新設備の融合が、三陸の恵みを最大限に引き出している。
三陸の海の変化と新たな挑戦
石山水産は、三陸の海とともに生きるという理念のもと、ふるさとの人たちを元気にしたいという想いを抱き続けている。近年、三陸沿岸では海水温の上昇により、サンマやサケ、スルメイカといった従来の主要魚種が不漁となる一方、マダイやブリなどの暖水系魚種の水揚げ量が急増している。2024年には、岩手県内でのマダイの水揚げ量が過去最多を記録した。
※岩手大漁ナビより。2024年、岩手県内全市場における生鮮規格。
こうした環境変化を前向きに捉え、石山水産はマダイを「新しい三陸の恵み」と位置づけ、新たな魚種の活用に積極的に取り組んでいる。本商品には、その変化への適応と未来の漁業への希望が込められている。
「天然真鯛の贅沢茶漬」商品概要
商品名:天然真鯛の贅沢茶漬
価格:オープン価格
内容量:天然真鯛 漬け刺身(ごまだれ)80グラム×1パック、特製だし30グラム×1パック
販売場所:石山水産公式オンラインショップほか、一部提携店舗
今回の新商品について、担当者に話を聞いてみた。
ーー今回の商品の狙いは?
ここ数年で大きく変化している三陸の海洋環境と、それによる漁場です。直近では黒潮大蛇行の終息が発表されていますが、それ以外の要因もあり、これまでとは異なる魚種が多く穫れるようになっています。このことは私たち生産者にとって、さまざまな対策や適応を迫られる事態であり、日々頭を悩ませています。
それと同時に、新たなチャンスとしても捉えており、今回紹介する「天然真鯛の贅沢茶漬」のような漁獲量がいっきに増えた魚種の製品開発や、これまであまり目を向けてこなかった隠れた三陸名物にスポットライトが徐々に当たり始めています。
消費者の方には、こういった従来の三陸のイメージとはひと味違う魚種の製品を召し上がっていただくことで、そのおいしさから三陸の海の豊かさと、その背景にある環境の変化に目を向けていただきたいと考えています。
ーー「天然真鯛の贅沢茶漬」の目玉は?
三陸産の天然真鯛のおいしさを、一番おいしい状態でご家庭にお届けできる石山水産の目利きと技術です。
天然真鯛はしっかりとした身質と、噛むほどに広がる旨味が特徴です。そのおいしさをご家庭でいつでも手軽に召し上がっていただけるように、熟練の目利きで原料を選りすぐり、長年培われた技術と、高鮮度を実現する急速凍結の最新技術を組み合わせることで、三陸の海からそのまま全国においしさを届けることができます。
ーーアイデアはどのようにして生まれた?
近年、天然真鯛の漁獲量が急増したことがきっかけです。地元ではもともと漁獲量が少なかった魚種であったため、製品としての出荷はほとんどありませんでしたが、このような状況を受けて岩手三陸の第三セクター鉄道である三陸鉄道とのコラボレーションによって製品開発が始まりました。
天然真鯛を一番おいしい状態で召し上がっていただくために、漬け込みだれや皮目のあぶり加工、添付の出汁の配合などを試行錯誤して生まれたのが、この商品です。
変わりゆく海から届く新しい味。新たな三陸の魅力を、自宅で手軽に味わってみてはいかがだろうか。
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