新しい文房具は、いくつになっても心をときめかせてくれる。書き味のよいボールペンだったらなおさらのこと。
日本で初めて国産ボールペンが作られたのは今から70年以上前の1949年のことだ。世界初のボールペンから数年ほど遅れての開発だった。
日本のボールペンはその後、独自の進化を遂げ、1980~1990年代に日本のメーカーが開発したゲルインクボールペンは、そのなめらかな書き味で世界的に広まった。2000年代以降は「なめらかさ」や「速乾性」といった機能性でさらに進化を遂げ、その高品質で壊れにくい特性から、海外ユーザーの熱い支持を得た。
現在、ボールペンは日本の文房具市場において最も売上高の大きいカテゴリーの一つに成長しており、日々進化し続けている。
本記事では、日本の文房具の歴史を語るにあたって欠かせないZEBRAにフォーカスし、ボールペンの過去と現在、未来を深掘りする。
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ZEBRAの社名の由来?ZEBRAってどんな会社?
ZEBRAは日本の筆記具メーカーとして、三菱鉛筆、パイロットコーポレーションと並ぶ、国内で高いシェアを誇る主要企業の一つだ。
その歴史は1897年(明治30年)、創業者である石川徳松が日本初の国産鋼ペン先の製造に成功したことから始まる。当初の社名は「石川ペン先製作所」だったが、1963年に「ゼブラ株式会社」へ変更。社名にある「ゼブラ(しまうま)」は、群れと調和して平和に暮らすシマウマのように、「社会との調和」や「人との調和」といった「和」を大切にするという企業理念から来ている。

ZEBRAの代表的な製品には、多くの人に愛用されるヒット商品が並ぶ。以下商品は誰もが一度は手にしたことがあるのではないだろうか。
ハイマッキー:1976年発売の両頭油性マーカー。太字と細字を1本で使い分けられる利便性で、長年多くの人々に愛され続けている。
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シャーボ:1977年発売の、シャープペンシルとボールペンが一体となった多機能ペン。複数の機能を1つの軸に持たせるという新しいコンセプトを確立し、多機能ペンの先駆けとなった。
サラサクリップ:2003年発売のジェルインクボールペン。なめらかな書き心地と豊富なカラーバリエーションで、特に学生から絶大な人気を誇る。売上本数は13年連続1位※を獲得しており、ZEBRAの主力商品となっている。
※日経POSサービス2012年1月~2024年12月文具市場(ジェルボールペン)各年間累計販売本数より。全国GMS/SM/CVS/DRG計
このように、ZEBRAは革新的なアイデアと確かな技術力で数々のヒット商品を生み出し、日本の文房具の歴史を築いてきた。ZEBRAの「和」の精神は、製品開発にも活かされ、人々の生活に寄り添った文房具を提供し続けている。
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懐かしい商品や最新トレンドに注目!ZEBRAボールペンの歴史
本項では、ZEBRAボールペンの歴史を時系列で振り返る。懐かしい商品の画像、最新技術やデザインの変化に注目だ。
■1950年代
1959年:ボールペン生産開始
保存性のよいボールペンインクの開発に成功し、ボールペンの生産を開始。これがゼブラのボールペン事業の始まりとなった。
■1960年代
1964年:3色ボールペン
いち早く多色ボールペンを商品化。1本で複数の色が使える利便性は、後の多機能ペンの礎となる。

1966年:クリスタル
「みえる・みえる」のキャッチフレーズで大ヒットした透明軸のボールペン。インクの残量が一目でわかるという、当時としては画期的な商品だった。

■1970年代
1976年:ハイマッキー
両頭油性マーカー。太字と細字を1本で使い分けられる利便性で、長年多くの人々に愛され続けている。
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1977年:シャーボ
シャープペンとボールペンを1本にまとめた、日本初の回転式多機能ペン。社会現象ともいえる大ヒットを記録し、ゼブラの代名詞となった。

■1980年代
1981年:ツインボールシステム
インクの逆流を防ぐ世界初の機構を開発。これにより、上向き筆記を実現した。
■1990年代
1992年:ジェルビー
水性顔料ジェルインクを搭載、キャップ式、鮮やかな蛍光色をラインナップ。

■2000年代
2000年:サラサ
水性顔料ジェルインクを搭載したノック式ボールペン。鮮やかな発色と耐水性、滑らかな書き味が特徴で、以降、ゼブラのジェルインクペンの主力シリーズとなる。

2003年:タプリクリップ
分厚いものにもはさめるバインダークリップを搭載した油性ボールペン。耐久性の高さと使いやすさで人気を博した。

2003年:サラサクリップ
バインダークリップを搭載したサラサシリーズ。1本100円という買いやすい価格と、豊富な色数に加え、デザイン性も高く、学生を中心に広く支持された。
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2004年:クリップ-オン マルチ
4色ボールペンとシャープペンが一体になった多機能ペン。手帳やビジネスシーンでの利用に特化し、ユーザーのニーズに応えた。

2007年:シャーボX
ボディとシャープメカ、ボールペン替芯を自由に組み合わせ、なめらかな回転感や高剛性、手帳にもはさみやすいクリップなど、感性と合理性を両立した自分だけのオリジナルにカスタマイズできるシャーボ。

2009年:マイルドライナー
淡い色味で目に優しいラインマーカー。当時では珍しい白軸を基調したラインマーカーで女性を中心に人気となった。

■2010年代
2010年:スラリ
油性と水性を混合した「エマルジョンインク」を世界で初めて搭載。油性のしっかりとした筆記感と、水性の滑らかな書き味を両立した。

2014年:デルガード
芯折れや芯詰まりを防ぐ独自のシステムを採用したシャープ。折れないシャープを席巻し、学生・社会人にも人気となった。
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2016年:サラサドライ
インクが早く乾く「ドライジェル」インクを搭載。筆跡で手を汚すストレスを軽減した。

2018年:サラサセレクト
サラサのインクを自由に組み合わせて、自分だけのオリジナルが作れる多機能ペン。

2018年:ブレン
筆記時のペン先の振動(ブレ)を制御する独自の機構「ブレンシステム」を搭載。「ストレスフリーな書き心地」という新しい価値を提供し、大ヒットに。

2019年:クリッカート
空気中の水分を吸収する吸湿性のある成分を多く配合した「モイストキープインク」を搭載し キャップなしでもインクが乾かず、48色から選べて重ね塗りもきれいに楽しめるノック式水性カラーペン。

■2020年代
2020年:サラサグランド
サラサシリーズの高級モデル。金属製の軸で重厚感があり、ビジネスシーンにも適したデザイン。

2020年:ブレン3C
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ブレンの書き心地をそのままに、3色を搭載した多色ボールペン。

2021年:ブレン2+S
ブレンの書き心地をそのままに、2色とシャープペンを搭載した多機能ペン。

2021年:サラサナノ
ジェルボールペン「サラサ」シリーズの筆記線0.3ミリ/0.38ミリの極細タイプ。
細いペン先でもさらさらとした滑らかな書き味を実現。

2024年:サラサグランド0.3/0.5
サラサグランドは、2回目でビンテージカラーに刷新したうえ、3回目で本体を約5グラム軽量化・低重心化。手帳に書きやすい0.3ミリボール径を追加、クリップ位置やペン先長を見直し、書きやすさが向上。

ZEBRA担当者インタビュー
――歴史を振り返ると、あらためて「ZEBRAのボールペンが自分の人生にいつもあったんだな」と気づかされました。イノベーションを支える開発力と技術力がZEBRAの強みかと思いますが、そういった強みを長く持ち続けられている理由を教えてください。
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ゼブラの強みのひとつは、ユーザー視点を徹底していることです。小さな不満や「こうだったらいいな」を丁寧に拾い、インクから機構(ペン先やインクの流れなど、ボールペンが書ける仕組み全体のこと)まで自社で一貫開発できる体制でカタチにしています。さらに、企業理念の「和と挑戦」のもと、部署を超えて連携し、他社がまだ気づいていない課題にも挑戦し続ける文化があります。だからこそ、業界初の仕組みや書き心地を生み出せていると思います。
こうした積み重ねが、日々の「カク」(書く・描く)をちょっと特別にしてくれます。ゼブラのペンには、そんな細やかな工夫と挑戦のこだわりが詰まっています。

――今のイチオシボールペンを教えてください。
イチオシボールペンは「ブレンユー」です。「ブレンユー」は、ペン先の振動(ブレ)を抑える独自機構「ブレンシステム」で書き心地を安定させるゼブラのブレンシリーズの新モデルです。新しい油性インクを搭載し、より軽い力で濃く(※ZEBRA社従来品との比較)、滑らかに、どんな場所でもストレスなく書けるのが特徴です。7年の開発を経て完成し、すでに120万本以上販売され、多くの方に支持されています。書くことをもっと楽しくするボールペンです。
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――高級志向のボールペンが非常に好調な理由を教えてください。
デジタル化が進む今、「手書き」ならではの楽しさや温かみが再評価されています。単に書ければよいペンから、書きやすさや機能性に加え、デザインや所有する喜びに価値観がシフトしていることが大きな背景と考えています。
ゼブラでは「サラサグランド」など、書きやすさと上質なデザインを両立した商品を展開しており、こうした流れも後押しとなって、多くの方に支持していただいています。
――最後に一言お願いします!
ゼブラはこれからも「あったらいいな」をカタチにする挑戦を続けて、世界中に「カク」(書く・描く)楽しさやワクワク感を届け続けていきます。

進化し続けるボールペンは生活を少し楽しくしてくれる。今日もカバンや胸ポケットにボールペンを差して、出かけてみよう。
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