2025年9月13日(土)から11月9日(日)まで、名古屋市の徳川美術館で秋季特別展「尾張徳川家 名品のすべて」が開催される。開館90周年という節目の年に行われる今回の特別展は、同館史上初めて全館を使用するという異例の規模。家康の遺産「駿府御分物(すんぷおわけもの)」をはじめ、信長・秀吉から受け継がれた天下の名宝、そして尾張徳川家に代々伝わる大名道具の数々が、まさに“オールスター集結”といった豪華さで展示されるのだ。
もう二度とない規模かも…。徳川美術館が「すべて出す」と決めた90周年特別展の中身がすごすぎる!「尾張徳川家 名品のすべて」が9月13日より開催
美術館職員も驚愕!「ここまでするか」の声が上がった展示内容
「展示室見ました!?」
「見た。凄すぎじゃない?」
「ここまでするか感、ありますよね…びっくり」
今回の展示替え作業から一夜明けた朝、徳川美術館の職員たちの間で交わされた会話が、公式X(旧Twitter)で話題を呼んでいる。その理由は投稿された展示室の写真を見れば一目瞭然。なんと1枚の写真に「銀溜白糸威具足(ぎんだめしろいとおどしぐそく)」と通称「顰像(しかみぞう)」、「長篠合戦図屏風」が収まっているのだ。
さらに、青磁香炉「千鳥」の奥に唐物茶壺「金花」「松花」が並び、その間には藤原定家自筆書状「山門状」まで配置されているという贅沢さ。
「いずれも普通なら1点で展覧会の目玉になる名作ばかりです」と学芸員が語るように、今回の特別展は、通常なら蓬左文庫展示室と本館展示室のみで行われるところを、名品コレクション展示室も含めた全館で開催。まさに徳川美術館が総力を挙げて贈る、90周年にふさわしい記念展となっている。
家康が九男・義直に託した「駿府御分物」――信長・秀吉ゆかりの品も
1616年に家康が没した後、その膨大な遺産は将軍家と御三家(尾張・紀伊・水戸)に分け与えられた。徳川美術館には、御三家筆頭である尾張徳川家の初代・義直(家康九男)が相続した遺品が「駿府御分物」として伝わっている。刀剣・書画・茶道具・衣服など多岐にわたり、なかには室町将軍家や織田信長、豊臣秀吉といった歴代の権力者の手を経た名宝も少なくない。
これらの展示品を見れば、家康が息子に託したものが単なる財産ではなく、武家の誇りと文化の継承であったことがよくわかる。
悲劇の茶人・利休の「泪」も特別展示!尾張徳川家伝来の大名道具
江戸時代を通じて将軍家に次ぐ家格を誇った尾張徳川家。その暮らしを彩った大名道具の数々も見逃せない。今回の展示では、初代義直所用の「銀溜白糸威具足」をはじめ、鎌倉時代の重要文化財「長生殿蒔絵手箱」、琉球から渡った重要文化財「花鳥七宝繋文密陀絵沈金御供飯」など、時代も産地も多彩な名品が並ぶ。
特に注目したいのが、秀吉に切腹を命ぜられた千利休が最後の茶会に用いた竹茶杓「泪(なみだ)」(前期展示)。千利休-古田織部-家康-義直へと伝来したこの茶杓は、茶の湯文化における最高峰の逸品であると同時に、戦国時代の悲劇を今に伝える歴史的遺品でもある。
後期展示では、岩佐又兵衛筆の重要文化財「豊国祭礼図屏風」も登場。豊臣秀吉の七回忌に行われた豊国祭礼の様子を描いた貴重な作品で、力強く繊細な筆致で描かれた群衆の狂騒や熱気は見るものを圧倒する。
14万点もの知が眠る「御文庫」の世界
尾張藩の書物倉「御文庫(おぶんこ)」は、家康から譲られた「駿河御譲本(するがおゆずりぼん)」約3000点を基に形成された、日本屈指の大名文庫だ。幕末には約5万点にまで膨らんだ蔵書は、明治維新の混乱で3分の1が流出したものの、現在も14万点という膨大な書物類が「名古屋市蓬左文庫」として受け継がれている。
今回の展示では、内藤東甫が編纂した尾張藩の地誌「張州雑志」(江戸時代18世紀)も登場する。100冊にも及ぶ大著で、江戸時代の尾張がどのような土地だったのか、人々がどのような暮らしをしていたのかを知ることができる第一級の史料だ。
開幕日の9月13日は限定クッキー缶も販売!
90周年記念にふさわしい特別なお土産として、カフェタナカとコラボレーションした徳川美術館限定クッキー缶「ビジュー・ド・ビスキュイ~TOKUGAWA~」(3942円)も登場する。墨色の美しい限定缶には、愛知県産の食材や家康ゆかりの素材を使用したクッキーがぎっしり。
特別展開催中の館内ミュージアムショップでの店頭販売は2025年9月13日の開幕日と、11月18日(火)の2日間のみ。なくなり次第終了となるため、確実に手に入れたい人は開館時間に合わせて訪れるのがおすすめ。オンラインショップでの受注販売は10月1日(水)、11月1日(土)、12月2日(火)の各日10時からを予定している。
展覧会情報とお得な楽しみ方
会期は前期2025年9月13日~10月13日(祝)と後期10月15日(水)~11月9日(日)に分かれており、一部展示替えが行われる。つまり、すべての名品を見るには2回訪れる必要がある。
開館時間は10時から17時(最終入館16時30分)で、月曜日は休館(祝日の場合は翌火曜日)。入館料は一般1600円、高大生800円、小中生500円だが、土曜日は高校生以下が無料になる。200円お得になる前売券は、2025年9月12日までオンラインチケットサイトで購入可能。
隣接する徳川園と合わせて訪れれば、尾張徳川家の歴史と文化を一日かけてじっくりと堪能できる。秋の行楽シーズン、名古屋が誇る文化の殿堂で、日本の美と歴史の結晶に出合ってみてはいかがだろうか。
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