
数年前からホラー漫画を描いている色白ゆうじろうさん(@mrwhiteblogger)は、SNSを中心に短編漫画を発表している。彼の独特な世界観は魅力的で、どの作品も続きが気になるものばかりだ。今回はX(旧Twitter)に投稿されている漫画「コナメリ(1)~(4)」を紹介し、作者に本作が誕生したきっかけなどを聞いた。



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超人気動画投稿者の衝撃的な行動と「コナメリ」の復讐
山口県には「コナメリ」という海産物がある。独特の香りを持ちながらも、脂肪分が豊富で豊かな甘みを持つのが特徴だ。
コナメリはカンパチほどの大きさだが、クジラの一種であり、坐骨市に面した響灘近海でよく見られるという。そんなある日、坐骨市役所にこれまでにないPRの好機が訪れた。
アメリカ人の超人気動画投稿者、ドクタージェネシスがコナメリを食べて動画撮影をするというのだ。当日、市役所の食堂にドクタージェネシスが現れ、「やあ!みんな!アジアゲテモノツアー最終日だよ」「今回食べるものは日本の海に生息する不気味なサメだ」などと英語で話し始める。
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そして、実際にコナメリの料理を見たドクタージェネシスは「オーマイガー」などと言って驚き、醤油も付けずに口の中に入れる。すると、「こんなのあえて食べるものではない」と言って吐き捨ててしまう。
この配信を見た産業局長からは激怒の電話が来るなど、大幅なイメージダウンとなった。男性職員はコナメリの料理を見ながら「独特だがとてもおいしいのに」「せめて醤油をつけて食べてくれたらよいのに…」と独り言を言う。
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職員がその場を去ったあと、コナメリの目からどろどろとした血の涙が流れた。そして、アメリカに帰国したドクタージェネシスは、コナメリから復讐をされて惨めな死を迎えるのであった。
作者が語る「コナメリ」誕生秘話と食への思い
作者の色白ゆうじろうさんが本作を描いたきっかけは、ある早朝の出来事にある。彼は子どもと下関市の響灘へ釣りに出かけた際、日の出前の暗い海面に野生のスナメリが2頭ほど無表情にうねって泳いでいるのを目撃した。水族館で見る愛嬌のあるスナメリとは異なり、野生の持つ凄みに恐怖を覚え、そこから本作を思いついたという。
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コナメリの復讐が恐ろしい展開を見せることについて、色白ゆうじろうさん自身は食べ物を粗末にする人々に強い思いを抱いている。戦中を経験した祖父母から、食べ物を粗末にしないよう常に言われて育ったという。食べ物は「命を頂く」ことにほかならず、作中のドクタージェネシスのように粗末にするべきではないと考えているのだ。
取材協力:色白ゆうじろう(@mrwhiteblogger)
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