子どものころ、遠足やおでかけの際のおやつとして食べたという人も多いであろう「ハイレモン」。10円玉くらいのタブレット型のお菓子で、薬のような形状をしているのが子ども心をくすぐるお菓子だ。
2025年で発売45周年を迎えたハイレモンだが、2024年にテレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)で紹介され、今では疲労回復に効果的と注目されているのをご存知だろうか。
おやつだけでなく“夏の必需品”としての役割も得た、45年の歴史を誇る同商品。今回は、長く愛される理由やこれまでの歩みについて、アトリオン製菓株式会社 企画開発部長の高宮隆一さんに話を聞いた。
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ビタミンCが注目され始めた時代に誕生
ハイレモンといえば、ともに親しまれるお菓子として「ヨーグレット」がある。1979年に発売されたヨーグレットは機能性健康食品を目指したもので、その種類をさらに増やそうと、1980年に生まれたのがハイレモンだった。
「アメリカの化学者であるライナス・ポーリングさんが1970年代に発表した、ビタミンCと風邪の関係性を書いた著書がきっかけで、ビタミンCへの関心が高まっていた時代です。ビタミンCは今ほどあって当たり前の成分ではなく、“今後より注目が集まる可能性”と“人類にとって有用な成分”との考えから採用を決定。ビタミンCのイメージから、レモン味のお菓子になりました」
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こうして、「おいしくてちょっぴりヘルシー」というコンセプトのもと、ハイレモンが誕生した。命名については諸説あるそうで、パッケージをよく見ると、英語表記で「HI-LEMON」と書かれている。ハイレモンの「ハイ」は「high」(高い)ではなく、あいさつなどで使われる「Hi」を指しているようだ。
「一説では、『ハイ、レモンあげる』から『ハイレモン』になったと言われています。また、先に発売していたヨーグレットとはあえて名前の関連性を作らず、独立したブランドとして立ち上げたそうです」
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まさかの子ども受け。その理由とは?
ハイレモンは発売時、健康機能を持たせて大人をターゲットにしていたため、子どもにも受け入れられたのが想定外だったのだとか。幅広い層から人気を集めた要因としては「ほかにはないPTPシートを使ったことから、お菓子を取り出すという行為が楽しく、人気に火が付いたのではないかと推測しています」と高宮さん。

45年間愛され続けているハイレモンだが、見た目や味についてはあえて大きく変えていないという。ビタミンCやオリゴ糖の配合量、パッケージのロゴは時代に応じて少しずつ変更されているが、原型を失わないように注意しているそう。特に、パッケージの白・黄・緑のカラーはハイレモンのアイコンとして大切にしている。
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「食体験は食べ物本体だけでなく、それに付随する“行動”も体験の一部と考えているのですが、ハイレモンを食べる際、PTPシートから押し出す行為もまた食体験となっているんです。その原体験を大切にしたいので、いつ食べても『あのころ食べたハイレモンだ』と感じてもらえるように、変化は最小限にしています。また、PTPシートを採用したのは、ハイレモンが健康機能を持っていることから、ほかのお菓子との差別化を図るためです」
PTPシートを採用することで、子どもにとっては物珍しく印象にも残りやすい。ちなみに、箱タイプのパッケージも発売当初から変わらないようだ。
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“懐かしのお菓子”から“夏の救世主”へ
ハイレモンはレモンや黄色いパッケージのイメージから、“夏”を連想する人も多いのではないだろうか。実際、糖分とビタミンCが配合されているため、夏場の疲労回復にも効果的だということが広まりつつある。
「2024年の『ホンマでっか!?TV』で“夏バテにハイレモンがよい”と紹介されたのがきっかけで、より夏のイメージがついたように思います。糖分とビタミンCが疲労回復に対して効果的とのことで、当時は在庫が完全になくなってしまうのではないかと思うくらいでした」
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この反響を受け、アトリオン製菓株式会社は、夏の健康維持を支えるための「ハイレモン塩飴C」を2025年に発売。商品ラインナップを増やし、スーパーだけでなくコンビニやドラッグストアでも手に入りやすくしたという。


今後のハイレモンの展望について、高宮さんはこう語る。
「小学生くらいまでは、親の買い物について行き、スーパーでハイレモンを見る機会があったと思います。しかし、一人で出かけられるような年齢になると、スーパーよりコンビニを利用する機会が増え、自然とハイレモンは“懐かしいもの”になっていく。今後は、そんなふうにライフステージが変化しても“懐かしいもの”ではなく、“今も食べるお菓子”になってほしいです」
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「ハイレモンはお菓子ではありますが、子どもだけではなく、どの年代にも受け入れてもらえるポテンシャルと普遍性を持っていると思っています。これからも、親世代から子ども、孫へと受け継がれながら、食べ続けてもらいたいですね」
本記事を読んで「懐かしい」と思った人は、この機会に自分の体調やライフスタイルに合ったハイレモンを探してみてはいかがだろうか。
取材・文=織田繭(にげば企画)
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