2025年7月4日より全国公開された『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』。本作は、地獄に生まれ、人間に育てられた深紅のヒーロー・ヘルボーイの新たな闘いを描いたホラー&バトルアクション。公開前に試写で観た本作の感想を紹介(以下、ネタバレを含みます)。

【ストーリー】
物語の舞台は1950年代のアメリカ・アパラチア。超常現象調査防衛局〈B.P.R.D.〉の捜査官ヘルボーイ(ジャック・ケシー)と新人エージェントのジョー(アデライン・ルドルフ)は、ひょんなことから山奥にひっそりと佇む寒村を訪れる。
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そこはかつて悪魔と契約を交わした人々の“罪”がいまなお燻る呪われた土地で、「歪んだ男」と呼ばれる悪魔の仕業によって相次ぐ奇怪な事件が起こる中、村人たちは怯えて暮らしていた。
ある日、トム・フェレル(ジェファーソン・ホワイト)という男が村へ戻ってくる。彼は20年前に悪魔と契約し、魂を奪われたという。そんなトムの帰還が、呪われた因縁を呼び覚ます。
欲望に手を染めた魔女、魂を喰らう悪魔、そして決して逃れられぬ“契約”の呪い。ヘルボーイは滅びの右腕を武器に、この地に巣食う闇に立ち向かうのだった…。
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3代目ヘルボーイ俳優×センスが光る監督のタッグで送る村ホラーに背筋がゾゾゾっ!
本作のメガホンをとったのは、ジェイソン・ステイサム主演の『アドレナリン』(2006年)やニコラス・ケイジ主演の『ゴーストライダー2』(2013年)などで知られるブライアン・テイラー監督。
親が突如として子どもを襲い始めるホラーコメディ『マッド・ダディ』(2017年)は、主演のニコラス・ケイジが暴走する父親を演じて大きな話題を呼んだ。映画ファンの心をつかみ、独自のセンスを光らせるブライアン監督が新たに挑んだのは、アメコミ界の巨匠マイク・ミニョーラの人気コミックシリーズ『ヘルボーイ』の映画化。
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『ヘルボーイ』シリーズは、これまでロン・パールマンが主演を務めた『ヘルボーイ』(2004年)、『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(2008年)、デヴィッド・ハーバーが主演を務めた『ヘルボーイ』(2019年)の3作が公開されている。個人的にはギレルモ・デル・トロ監督が手がけたロン・パールマン主演の2作品がお気に入りで、ヘルボーイの敵として登場するモンスターのユニークな造形が強く印象に残っている。
新たに作られた本作は、原作者マイク・ミニョーラが初めて脚本クレジットを得て、シリーズのルーツとも言える“ホラー”へと回帰した、いわば“再定義の一作”と言われている。
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今回ヘルボーイを演じたのは、ドラマ『ストレイン 沈黙のエクリプス』(2014年)のヴァンパイア役や『デッドプール 2』(2018年)でマーベルキャラクターのブラック・トム・キャシディ役を務めたジャック・ケシー。
ジャックがロン・パールマンやデヴィッド・ハーバーとはタイプの違うシュッとしたハンサムガイだからなのか、切り株状の角&全身赤色のビジュアルをしたヘルボーイが最初からカッコよく思えてしまうから不思議だ(ロン・パールマンとデヴィッド・ハーバーが演じたヘルボーイは物語が進むうちにカッコよく見えてくる)。
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本作がオカルト要素の強い内容であることから、ユーモラスなシーンがあまりなかったのは残念だが、その分ジャックのクールなヘルボーイを存分に堪能できた。

新人エージェントのジョーを演じたのは、Netflixドラマ『サブリナ:ダーク・アドベンチャー』(2018~2020年)や『バイオハザード』(2022年)、ドラマ『リバーデイル』(2017~2023年)などに出演するドイツ系と韓国系のルーツを持つ国際派俳優アデライン・ルドルフ。
知的な雰囲気を放ちながらも、時に無謀な行動を取るジョーにハラハラさせられっぱなしだった。そんなジョーを好演したアデラインは、BTSのMVなどを手掛けたホン・ウォンギが監督を務めるK-POPスリラー映画『Perfect Girl(原題)』でアーデン・チョーとW主演を務めることが決まっており、こちらの公開も楽しみだ。
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原作を忠実に再現したダークな世界観に引き込まれる
原作『ヘルボーイ:捻じくれた男(The Crooked Man)』は、2008年に発表された短編で、原作者のミニョーラ自身が「最もホラー色が強い」と語るエピソードのひとつ。“原作に忠実であること”を大事にしたブライアン監督は、ヘルボーイたちを襲う巨大な蜘蛛や“ボキッ”と音を鳴らしながら首を折る歪んだ男、不気味な魔女、宙に浮く女性に絡みつく大蛇などを劇中に登場させ、ホラー&オカルト感満載の映画を作り上げた。
ヘルボーイといえば石でできた右腕と巨大な拳銃で荒っぽく闘うのがお約束だが、本作ではそこまで激しい動きはない。そこが少し物足りなく感じたが、きっと監督は派手なアクションよりも得体の知れない恐怖(悪魔)に対して試行錯誤しながら闘うヘルボーイの姿を描きたかったのだろう。
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ダークな世界観に引き込まれ、圧倒されること間違いなしの本作。ヘルボーイと悪魔が繰り広げるバトルをぜひ劇場で楽しんでもらいたい。



文=奥村百恵
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