ドラマストリーム『シンデレラ クロゼット』(2025年7月1日よりTBS系にて放送/Netflixにて先行配信中)は、ヒロインがメイクやファッション、出会う人々をきっかけに成長をしていく新感覚ラブストーリー作品。本作でW主演の一人を務めるのが、地上波ドラマでの主演が初となる松本怜生さんだ。

2022年にドラマストリーム『パパとムスメの7日間』で連続ドラマ初レギュラー出演を果たし、その後数々の話題作に出演。連続テレビ小説『おむすび』でも、その好演が話題となり、2026年放送予定の大河ドラマ『豊臣兄弟!』への出演も控え、今後の活躍に期待が高まる。
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そんな松本さんに、俳優を目指した理由や自身のターニングポイントとなった作品について振り返ってもらいながら、出演ドラマについても語ってもらった。
俳優になるためSNSに注力
――まずは芸能界入りのいきさつを教えてください。
【松本怜生】小学生のころから13年間、野球をやっていました。でも、高校生のころに二度も大きなケガをしてしまい、野球の道へ進むのを断念したんです。ケガの治療で入院しているときに、いろいろなドラマや映画を観ていて、画面の向こうの世界にとても嫉妬していることに気がつきました。
――嫉妬というのは?
【松本怜生】僕はそれまで野球しかやっていなかったけれど、青春をしたり、別の職業を目指したりと、多種多様な生き方があるんだなと思って。そして俳優だったら、役を通して今からでもさまざまな生き方を経験することができるかもしれないと思いました。
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――経験してこなかった青春を取り戻せるかも、と。
【松本怜生】そこから芸能界について調べだして、まずは東京の事務所に入らないと始まらないと思ったので、事務所の方々に興味を持ってもらえるようにSNSアカウントを作ってフォロワー数を増やそうと思ったんです。

――俳優になるために、SNSでの活動を頑張っていたんですね。
【松本怜生】そうなんです。ただ、最初のころはその理由を知られたくなくて嘘をついていました。なんというか、俳優になりたいから応援してくださいとすがるような感じが嫌だなと思ってしまって。僕自身、あまり人に夢を語りたくないタイプでもあるし、俳優になるためにフォロワーを増やしていますと公言するのもなんか違うかなと思ったんです。
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――思い描いた道順をたどり、今こうして俳優として活躍している状況をどのようにとらえていますか?
【松本怜生】今の状況は信じられないほどの奇跡です。僕と同じぐらい、両親も驚いていると思います。たくさんの人に支えてもらいながら今の僕がいるなと日々感じていますね。

――これまでの活動の中で、俳優としてのターニングポイントだったと感じる作品や出来事があれば教えてください。
【松本怜生】時代劇の『あきない世傳 金と銀』(NHK BS)ですね。主演の小芝風花さんをはじめ、八嶋智人さん、高島礼子さん、舘ひろしさんと名だたる先輩方とご一緒させていただきました。しかも、クランクインの最初の撮影が舘ひろしさんとのシーンだったんです。緊張を飛び越えて、やるべきことをやるしかないと気合いを入れ直したことを覚えています。
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この現場で経験したこと、吸収したことはメモに取って今も見返していますし、僕自身が気づいていなくても成長できた部分がたくさんあるんじゃないかなと思いますね。

――お芝居で悩んだとき、どなたかに相談しましたか?
【松本怜生】小芝さんにたくさん相談させていただきました。小芝さんはとても親身になって答えてくれる方でした。すごく謙虚な方なので、「私なんかが……」と言いながらアドバイスをくださるのですが、とても勉強になりましたし、相談できる方が近くにいるということでとても心強かったです。

俳優人生で初めての「できないかも」という壁
――7月より放送するドラマ『シンデレラ クロゼット』では、地上波ドラマでの主演も初めてとのことですね。
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【松本怜生】とにかくうれしかったです。TBSさんの深夜ドラマ枠「ドラマストリーム」に出させていただくのは、今回で3回目になります。僕が初めてドラマにメインキャストとして出演させていただいたのが、同じ枠のドラマ『パパとムスメの7日間』でした。あのころはお芝居を始めて半年ほどでしたし、段取り、テスト、香盤表など業界用語についても、この現場で学びました。だから、この枠で主演をやらせていただけるというのは、目に見えて成長を感じられる、うれしいことだと思いました。

――主演を務めることに、プレッシャーはありましたか?
【松本怜生】主演ということへのプレッシャーは特にありませんでしたが、原作を読み、今回僕が演じる神山光という人物がどんな存在なのかを知った段階で、「できないかも」という不安に駆られました。こんな感覚になったのは本当に初めてのことだったので、自分でも驚いたぐらいです。
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――具体的にどういったことでしょうか。
【松本怜生】光は性別も心も男性ですが、女装をファッションのひとつとして楽しんでいる男の子です。美を追求する光は、女装をしているときは誰が見ても女性に見えますし、一人称も“私”になって、声も女性っぽい声質になるんです。だから、最初はヒロインの春香に同一人物であることを気づかれない、というところからストーリーが展開していきます。
視聴者の方が、「誰が見ても同一人物だってわかるじゃん」と思ってしまったらダメなわけで、女装をしているときの光を表現するのはとてもハードルが高いなと思いました。監督やプロデューサーとも相談しながら、最終的には自分の中で吹っ切ってやるべきことをやろうと思えるようになりましたが、現場入りするまではとても悩みましたね。
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――メイクやファッションを題材にしているドラマですが、松本さんはこれまでメイクやファッションによって、いい変化や影響を受けたと感じるエピソードはありますか?
【松本怜生】僕は野球をしていた18歳まではずっと坊主だったので、引退したあとに髪を伸ばして、独学でメイクもするようになりました。高校卒業後、久々に友人たちに会ったら「格好いいね」とたくさん言ってもらえてとてもうれしくて。なりたい自分になることの大切さや楽しさを知りましたね。
――俳優として将来のビジョンについて考えていることはありますか?
【松本怜生】目の前にある作品を一番大事だと思って向き合うようにしています。それをずっと続けられる俳優でいたいです。大きな賞もいつかは受賞したいとは思いますが、そのためにもすべての作品に全力で向き合って、少しずつステップアップしていくことが大切なのかなと。そしてその先に、賞のような、ご褒美だと思えるものがついてくればいいかなと。僕はもともと飽き性なのですが、俳優はまったく飽きないし、この仕事しかできないと思っています。だから、できるだけ長く続けていきたいですね。

撮影=八木英里奈
取材・文=榎本麻紀恵
ヘアメイク=中原ありさ
スタイリスト=岡村春輝
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