
自身の電車でのトラブル体験をベースにした半実録漫画『女性専用車両で粘着おぢと戦った話』や、友人の体験をベースにした『お宅のお子さんが車を傷つけました』などをSNS等で発表している漫画家のますまゆさん。その親近感のある社会的なテーマや、リアル感の伝わる描写などから、フォロワー約10万人のInstagramアカウントでは、コメント欄で議論が巻き起こることもしばしば。本記事では、そんなますまゆさんの作品のなかから、『夫の不倫相手は17歳年上の激ヤバ呪物でした』を紹介。本作のキャラクターやその背景について話を聞いた。
新婚で幸せの絶頂だったあおい。しかし、夫のモラハラ気質、さらには結婚前から関係を持っている女性との不倫が発覚する。その女性はかなり年上で、言動は失礼で不遜。傷つきながら夫・賢二の誠実な謝罪によってなんとか再出発を誓い合ったものの、最近再び彼の言動がおかしくなり…。
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――「賢二、私のこと好き?」不倫をやめていないとわかっていながらも自分への気持ちを確認してしまうあおい。このセリフ(言動)は切ないです。ますまゆさんがこのシーンにこめたものをお聞かせください。
ますまゆさん:本当は、夫は自分を好きでもなんでもないということはもうわかってしまっていて、それでもこの人はなんて答えるのかな?という絶望の淵からの問いになります。また、嘘でもいいから好きと言って安心させてほしいという、サレタ側の深い哀しみのシーンとして描きました。
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――「これ以上惨めになりたくない」「最後にもう一度信じていい?」というセリフはやはり、あおいは最後の最後で、もう一度賢二を信じようとしているのでしょうか。
ますまゆさん:本当に信じようとはもうしていません。でも、もう一度望みをかけた形でないと怖くてスマホが見られない心境なのだと思います。
――自分を奮い立たせるための、一縷の希望なのですね。しかし、このあとあおいは、賢二とわかなへの復讐を誓うことになります。そして行動を起こしていくのですが、ますまゆさんが全編を通して伝えたいことがありましたら、お聞かせください。
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ますまゆさん:不倫をギャフンとやり返す物語、という基盤はありつつ、「仕返ししたら全部スッキリしてお終い」とはいかないのが現実かなという思いもあり。モラハラ・不倫・SNSや掲示板での悪評という三重苦で自分の存在価値を見失ってしまった女性が、復讐を達成してもなお虚無を感じつつ、それでも自分の誇りを取り戻しまた這い上がっていくという建て付けを目指して描きました。自分の価値を見失いがちな方へエールを送れたら幸いです。
「最後にもう一度だけ信じたい」。そんな気持ちで己を奮い立たせて、真偽のほどを確かめようとするあおい。「頭ではもう夫の不貞をわかっていても、心で整理しきれない」「勇気が欲しい」という気持ちは共感できる人もいるのではないだろうか。この先、あおいが歩むのは厳しい道のりになっていく。今後の展開からも目が離せない。
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取材協力:ますまゆ(@masumayu_)
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