作画:尾花せいご(@seishoobi)さんと監修:西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんによる創作漫画『放課後おまじない倶楽部』は、迷信研究部に入部した少年と、不思議な雰囲気が漂う顧問との日々を描くオリジナル作品だ。
緻密で精細な絵とノスタルジックな絵柄に定評のある尾花さんの作画と、西洋魔術や西洋の魔物、伝承、迷信などの著書多数の西洋魔術博物館さんが監修した多彩な迷信やおまじないのエピソードが大きな魅力となっている同作。エピソードの紹介とともに、監修の西洋魔術博物館さんに作品内で描かれる伝承について詳しい話を聞いた。
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バレンタインにうってつけの恋のおまじない



西洋に古くから伝わる迷信や伝承を現代日本で実践してみようという奇妙な部活動「迷信研究部」に入部した栗丸君。バレンタインに皆が浮かれ切っている中「ぼくには関係ない…」と思いながら下駄箱を開けると…?








監修・西洋魔術博物館さんに聞く「続・恋のおまじない」
――将来の伴侶を知りたいおまじないが前回も今回もありました。恋占いの力強さを感じます…ほかにもありますか?
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【西洋魔術博物館さん(以下、西洋魔術博物館)】聖人祝祭日の前夜、鏡を覗きこむと将来の伴侶の姿が見えるというのは多いです。特定日に野外で見かけた小鳥や花の色から、伴侶の髪の色、瞳の色を知るというパターンもありますね。あと、リンゴやジャガイモの剥いた皮を後方に投げて、床に展開される形状を文字として読むやつ。来るべき相手の頭文字になるわけです。






――虫を使う恋占い的おまじない、てんとう虫はかわいいですが、女の子にはコワイ虫だったり、実践に勇気がいるものとかもあるのでしょうか?女の子たちの本気度が試されるような…?
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【西洋魔術博物館】昆虫ではありませんが、カタツムリやナメクジをつかまえてきて、窓枠などにとまらせるおまじないがあります。這い跡から文字を読み取り、将来の伴侶の頭文字を知るのです。








――てんとう虫の恋のおまじないは実はバリエーションが多いと伺いました。詳しく教えてください。
【西洋魔術博物館】まずてんとう虫を腕にとまらせます。あちこち動くさまを「ウェディンググローブの採寸をしている」と形容します。続いて指先に誘導して「東西南北――」の呪文を唱えます。いつまでたっても飛ばないようなら「お家が火事だよ、てんとう虫」などと脅かします。それでも飛ばないようなら草の葉の上に戻すという次第。ふっと息を吹きかけるヴァージョンもあります。
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――高校生の茶園さんは、迷信研究部の顧問・雨野先生をお慕いしています。禁断の生徒と先生、年の差恋愛になりますが、恋に暴走する茶園さんは「卒業後に」と一線を引いているのが印象的でした。年の差恋愛にまつわる迷信があればぜひ教えてください。
【西洋魔術博物館】これは時代と文化の違いでもあるのでしょうが、現代のわれわれが考える「年の差」は過去にはあまり当てはまらないというか。10歳差、15歳差くらいは当たり前の感覚だったようです。年の差に関するおまじないを探すとすれば、恋愛成就よりもむしろ「老いぼれ亭主がさっさと――」といった方面になりますねえ。
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――雨野先生が手作りのバレンタイン・バンを出会った生徒と先生全員に配っているようです。レスターシャー州の旧習とのことですが、詳しく教えてください。
【西洋魔術博物館】レスターシャーのバレンタイン・バンには干しブドウとキャラウェイ・シードが入っていて、老人と子供に配られたとディッチフィールド『英国の古習俗』(1896)にあります。19世紀半ばからバレンタインはロンドン等の大都会では郵便物主体のイベントになっていますが、カントリーサイドではまだまだ適齢期男女のブラインドデートの日だったのです。そういった方面に無関係の老人あるいは子どもたちにバレンタイン菓子を配っていたのでしょう。同様の事例として、ケンブリッジシャーのピーターバラではプラムケーキをバレンタイン・バンとして食していたそうです。



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