戦場で何が起きているのか?元傭兵が語るリアルな体験談を描く
この作品は、元傭兵である高部正樹さんにインタビューをして、そのリアルな体験談を描いたものである。編集者の勧めで始まった連載は、5年経った今も続いている。死体の片付けや腐臭、兵士の体臭など、戦場の過酷さが生々しく伝わる内容だ。
にしかわさん自身は、このような戦争の話についてどのように感じているのか聞いてみると「毎回嫌だなと思いながら描いています」と話す。なぜ高部さんがわざわざ戦場に行くのか、その動機はいまだに理解できないという。ただ、そういう仕事が得意な人間が存在することは確かだとも感じているそうだ。
日本に暮らす多くの人にとって、戦争は遠い世界の話だ。しかし、高部さんのように戦場を知る人物と向き合うことで、「戦争は他人事」と割り切るのが難しくなることもあるそう。
印象的なエピソードとして挙げてくれたのは「死体片付け」の話。だが、今回は「臭い」がテーマになっている部分が多い。腐臭や体臭、トイレの話など、生物的な臭いが戦場にはつきまとう。「この漫画の価値があるとすれば、その現実を描いている点でしょう」とにしかわさんは語る。
今後の作品について尋ねると、「映画館をテーマにした漫画を描きたい」とのこと。昭和のB級ホラーを年中上映しているような、汚れていてどこか愛らしい映画館を舞台にした物語を構想中だ。
戦争は今も世界のどこかで続いている。しかし、その現実を知る機会は限られている。この「日本人傭兵の危険でおかしい戦場暮らし 戦時中の軍隊の真実編」は、そんな知られざる現実を垣間見る貴重な作品だ。興味がある人はぜひ読んでみてほしい。
取材協力:にしかわたく(@denguma4989)