時代小説を漫画化するにあたっての苦労や創意工夫とは?
当時、自身の漫画に対して悩みや迷いがあり「ドツボにはまっていた時期があった」と話す漫画家の宮本福助さん。宮部みゆきさんのコミカライズ版を担当することになったとき、最初は原作がこんなにおもしろいのだから「まんま描けばいいんじゃないの?」と単純に思っていたのだという。しかしいざ蓋を開けてみれば、物語の前編だけでネームが軽く100ページを超えてしまうという結果に…。宮本さんは「そこからは担当さんといかに漫画用にメリハリをつけるか、どこを削りどこを大きく見せるかなどをひたすらネーム調整していた」と原作が面白すぎるが故の苦労を明かしてくれた。
本作を描くにあたって「三行以内に台詞を収める、それより長くなる場合は段落を分けるなど、見やすい画面を心がけている」と教えてくれた宮本さんだが、同時に「原作の登場人物の語り口調がとても好き」なのだと原作ファンならではの思いも語ってくれた。そしてやはり一番気になるのは原作を読んだことのある読者の反応なのだそう。
最後に宮本さんは「世界観を壊さず漫画にできているでしょうか…大丈夫でしょうか…。私も『三島屋変調百物語』ファンの一人として精一杯頑張ってコミカライズしますので、一緒に主人公・おちかちゃんの成長を見守ってもらえるとうれしいです。今後ともどうぞよろしくお願いします!」と不安な気持ちを話しながらも、読者に向けて前向きなメッセージを残してくれた。
細やかな作画で映し出される宮部みゆきのホラー時代小説「三島屋変調百物語」。コミカライズ版だからこそ見ることができる表情や感情の揺れ動きが魅力的な本作を、ぜひ見逃さないでほしい。
取材協力:宮本福助(@fukusuke_m)