発達障害グレーゾーンとは?診断が降りない苦悩と生きづらさを描く
クロミツさんが発達障害グレーゾーンを題材にした漫画を描くようになったきっかけは、仕事や人間関係で疲弊し、メンタルクリニックに通い始めたことだった。最初は不安障害との診断を受けたが、通院を重ねるうちに「自分は発達障害なのではないか」と疑念を抱くようになったという。幼少期から他人とのズレを感じていたこともあり、医師に相談し発達障害の検査をしたそうだ。
検査の結果、発達障害ではなく「グレーゾーン」の特性があると告げられたクロミツさん。診断結果に困惑したクロミツさんは「白か黒かの二択ではなく、初めて“グレーゾーン”という領域があると知って驚きました」と語る。特性の説明を受けてもうまく理解できず、自ら本を読むなどして調べ始めたそう。
初めて就職した会社では失敗が多かったようで、退職時に社長から「人が1年でできることを君は3年かかるかもしれない」と言われたと振り返る。当時はグレーゾーンという概念を知らず、ただ自分を責め続けるしかなかったという。
作品の中では、仕事でのミスの多さや自己肯定感の低さ、忘れ物や遅刻の頻発など、グレーゾーン特有の生きづらさが描かれている。漫画を描き始めたことで、同じ特性を持つ人々から多くの反響が寄せられ「『私もそうです』という声をいただき、自分だけではないと知って安心した」と語ってくれた。
「生きづらさに絶望するのではなく、そこから活路を見出していくことを描きたい」との思いが込められたこの作品。読者との共感を通じ、発達障害グレーゾーンという概念に新たな視点をもたらしている。興味のある人はぜひ読んでみてほしい。
取材協力:クロミツ(@kuromitsu1510)