夫の人生の選択の仕方が誰かの参考になればうれしい
宣告後も変わらぬ生活をしていたが、1年半が経過し、倉田さんは「すい臓がんの告知を受けた夫。いわれた余命を超えて生きる夫との暮らし」というタイトルで漫画投稿を始める。
「病気が判明してから1年以上、周囲には秘密にしていました。日常が変わってしまうのが怖かったからです。でも、夫が出した本『エンドロール!末期がんになった叶井俊太郎と、文化人15人の“余命半年”論』をきっかけに世間に知られるようになりました。であれば、描きたいこと、皆に知らせたいことは山ほどあります。夫が亡くなった今も、私の気持ちの大部分を占めるのは夫のことです。描かずにはいられないし、これからも描いていきたいと思っています」
倉田さんにとってもつらい闘病生活だったが、唯一の救いは叶井さんがあまり変わらないでいてくれたことだった。「夫がいた時間は、闘病中も含め、私にとって人生の宝です」と大切な時間を振り返ってくれた。
「もう少し元気になったら、また続きを描いていきたいと思います。夫の生き方、人生の選択の仕方が誰かの参考になったりしたらうれしいです」と、続編の意向も話す。本作はKindleで無料公開中。また、闘病中の食事にまつわるエピソードを描いた「夫の日常 食べ物編(1): すい臓がんになった夫との暮らし」も読むことができる。
取材協力:倉田真由美(@kuratamagohan)