「しないの?パパ活。1時間ご飯食べるだけで1万円とか、めっちゃ稼げるよ」バイト代だけじゃ足りない!「顔合わせだけ」と、安易な気持ちで始めたら?【作者インタビュー】

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「1時間ご飯食べるだけで1万円とか。めっちゃ稼げるよ」と、中学時代の旧友がパパ活で稼いでいると知り、安易に足を踏み入れてしまう高校生の千紘。ある日、母親のもとに警察から電話がきて、娘がパパ活をしていたことを知る。「もし、自分の娘がパパ活していたら?」。自身の経験と現役女子高生に取材を重ねて描いた、漫画家グラハム子さん (@gura_hamuco)の新書「娘がパパ活していました」を紹介する。
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「顔合わせだけで2万」入口の甘さに騙されないで!搾取する人間が一定数いることを知ってほしい
郊外に住む千紘(15歳)は、渋谷の私立の女子高に進学。内部進学の同級生たちはお金に余裕もあって、大人っぽくおしゃれ。千紘はみんなについていこうとファミレスでバイトを始め、カラコンやまつ毛をあげるだけで、ぐっと印象がよくなっていく自身の変化が楽かった。ある日、中学時代の友達にバイトや学校のことを話すと、「バイトって、コスパ悪くない?」「1時間ご飯食べるだけで1万円」「めっちゃ稼げるよ」と、パパ活をすすめてきた。友達が言うには、学校の2~3割の女子がパパ活をしているという。バイト代以上の金額がたった1時間、会うだけで?と揺れる千紘。
制作のきっかけは「編集さんからの依頼でした。私としても『女の子や女性の心の成長』は今までもこれからもずっと描き続けていきたい大きなテーマなので、『ぜひ、描きたい!』と思いました。また、編集の松田さんはコミックエッセイ界の有名な方で、私が9年前に初めてコンクールに応募したときの審査委員長だったんです。そのときはあと一歩のところで夢叶わずだったのですが、おもしろいと言ってくださって、それがずっと心の支えでした。そんな経緯もあって、今回お話をいただいたときはすごくうれしかったです」と、経緯を話す。
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スマホがなくては生きていけない世界。SNSのDMで見知らぬ人と簡単につながることも、親世代は経験したことがない。危機感のない子どもたちの言動、行動には途方に暮れることも多く、「もしも娘がパパ活をしていたら、親としてどうあるべきか?」をテーマに制作されたのが、本書「娘がパパ活していました」だ。
こだわりを聞くと「娘サイド、母サイド、一方に偏ることなく描くよう意識した」と話す。「娘も母もそれぞれが今見えている世界を精一杯生きている、というのが伝わるようにしたいと思いました。母目線は、今現在の私です。娘目線は、昔の私を思い出しながら描きました。」と、グラハム子さん。
制作にあたり「パパ活事情」についても、現役女子高生に取材。「女子高生2人に取材をさせていただきました。派手な子などではなく、ごく普通のかわいい子たちです。その2人は自分ではやっていなかったのですが、『知人でやっている人がいる』ということで、いろいろとお話を聞かせていただきました。私が高校生のころも援助交際は存在しましたが、援交をやっている子は都会にいるほんの一部の遠い存在、身近にはいない、という印象でした。でも今回取材をして、『パパ活は援交に比べてずっと身近な存在である』と感じました。やはりスマホ、SNSの存在がすごく大きいと感じます」
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「ご飯を食べるだけなら」という気軽な気持ちで、パパ活を始めてしまう千紘。しかし、当然トラブルへと発展していく。「『ご飯を食べるだけなら』世の中そんな甘くはありません」と、グラハム子さんも言う。「ほとんど、むしろほぼ全てと言っていいほど、パパ活男性はそれ以上のことを求めています。ご飯は“最初の入り口”なだけです。でも、高校生のころの私にはそれがわからなかったんです。心がキレイで純粋で、経験不足で、世間知らずで、無知でした。」
「ただ、無知ながらも、『なんか嫌だな』『なんか怖いな』という違和感を覚えることはあったんです。若い子はその違和感を無視しないでほしいなと思います。『なんか』の部分はまだわからなくても、嫌だったり怖かったりしたら、まず距離を置いてほしいです。とくに性に関しては、嫌なことや怖いことを乗り越えることが成長ではありませんから」(グラハム子さん)
反対に娘が「パパ活」をしていると知った母親は、どうすればいいのだろうか?自分の子どもが「まさか」という思いと、あのとき感じた違和感に「もしかして」と思う母親。娘を持つ母親ならきっとこういう思いになるだろうと、同じ目線で読むことができる。
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グラハム子さんに、特に気に入っているシーンについて聞くと、「ちょっとネタバレになってしまいますが、母が娘にビンタするシーンです。もちろん一番大きいのは怒りだけれど、怒りだけではなく、悲しさだったり、信じたくない気持ちだったり、自分を責める気持ちだったり…。さまざまな感情が入ってのビンタです。表情や構図を何度も描き直しました」1コマに詰め込まれた気持ちは、親ならばきっと共感する場面だろう。
「私には今小学生の子がいます。あと数年したらスマホを持ちSNSを始めるでしょう。私が高校生だったころと、スマホやSNSが当たり前にある今の中高校生では、見えている世界が全く違うと思います。親である自分が経験していない世界の歩み方をどうやって子に伝えればいいのか、とても難しいです。本作に出てくる母もすごく悩んで、娘に想いを伝えました。自分だったらどうするだろう?と読みながら考えていただけたらうれしいです。この漫画が読める年齢のお子さんがいらっしゃる方は、ぜひ親子で一緒に読んでいただけたらうれしいです。親の立場からも子どもの立場からも、ぜひいろいろな感想を聞かせてください」
知らない男性に「性の対象として見られる嫌悪感」を体験した女性もいるはずだ。読者からは「世の中には搾取する人間が一定数いること、自分の心と身体の大切さ、守る術を学べる機会があってほしいと思います」という声も届く。本書は2025年2月15日発売。
そのほか、グラハム子さんは、現在重版出来の「オカルト異世界ばなし(竹書房)」や親に整形させられた実体験「親に整形させられた私が母になる~エリカの場合~」「美淑女戦隊 オバサンジャー」「この街の誰かに嫌われています」「タワマンに住んで後悔してる」「夫の公認なら不倫してもいいですか?」など多くの書籍を手掛けている。
取材協力:グラハム子(@gura_hamuco)
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